ビジネスシーンでよく使われる「油を売る」という表現。「どこで油を売っていたんだ」などのフレーズを聞いたことがある人は多いと思いますが、正確な意味を理解できていますか?

本記事では、油を売るの意味や正しい使い方などをくわしく解説します。また、油を売るの類語や対義語もあわせて紹介。ぜひご一読ください。

  • 油を売るとは?

    「油を売る」の意味や使い方はもちろん、類語や対義語も紹介していきます

「油を売る」の意味とは

「油を売る」は、「無駄話などをして仕事を怠けること」という意味のことわざです。

仕事の最中に怠けていたり、無駄な話をしながら時間をつぶしていたりする状態を表します。一時的に仕事をサボっている時に使われる言葉のため、1日中怠けているような状態の人には使われません。

「油を売る」の由来は江戸時代の油売り

油を売るは、江戸時代に髪油を売る商人が、客を相手に話し込みながら商いをしていたことに由来する言葉です。

当時の油売りは量り売り方式でしたが、油の粘り気が強いため瓶などに移す際にかなりの時間がかかったようです。そこで、油売りはその場をつなぐために世間話やうわさ話などをしながら対応していたといいます。

したがって、江戸時代の油売りは決して仕事をサボっていたわけではありませんが、転じて「だらだらと仕事をする」というニュアンスで使われるようになりました。

売油翁が由来は誤り

中国の故事に、油売りの老人が登場する「売油翁(ばいゆおう)」というものがあります。高校の授業や大学入試などで扱われることがあるため、聞いたことがある人も多いでしょう。

この売油翁が油を売るの由来であるという説もあるようですが、これは誤りだといいます。油売りが出てくることから混同してしまうケースも多いので、注意してください。

  • 油を売るとは?

    油を売るは、無駄話などをして仕事を怠けることという意味のことわざで、江戸時代の油売りが由来です

「油を売る」の使い方と例文

油を売るという言葉は、自戒の意味を込めて反省する時や、怠けている人を注意する時などに使います。

日常会話で使うこともありますが、仕事に関する言葉であるためビジネスシーンで見聞きする機会が多いでしょう。

ここからは、油を売るを使った例文を紹介します。間違った使い方をしないよう、確認しておきましょう。

例文

・油を売っている暇があるのなら田中さんの仕事を手伝ってください。

・彼はいつも営業中にカフェで油を売っているため、いつまでたっても成績が伸びないようだ。

・書類を出しに行っただけなのに1時間以上かかるなんて、どこかで油を売っていたのですか?

・クリスマスは1年で一番忙しい時期のため、油を売っている場合ではないだろう。

  • 油を売るの使い方と例文

    油を売るは、怠けている人を注意する時などに使います

「油を売る」の類語

油を売るという言葉には、言い換え表現として使える類語がいくつかあります。

知っておくと日常生活やビジネスシーンで役立つ機会があるかもしれないので、あわせて確認しておきましょう。

道草を食う

「道草を食う」は、「目的地に行く途中で他のことに時間を費やす」という意味のことわざです。

馬が道端の草を食べて進行が遅れる様子から、「途中で手間取る」という意味で使われるようになりました。

「目的以外のことで時間をつぶす」というニュアンスを含むため、「油を売る」の類語として使用できます。

例えば、仕事中にコンビニで時間をつぶしている状態などを「油を売っていて戻ってこない」と言いますが、「彼は道草を食っていて戻ってこない」という言い方もできます。

手遊びする

「手遊び」は「暇つぶしなどにすること」という意味の言葉です。

つまり「退屈しのぎをすること」であり、無駄な話をしながら時間をつぶすことを意味する油を売るの類語となります。

本来やるべきことと違うことに時間を費やしている状態を表したい時に使えるでしょう。

  • 油を売るの類語

    油を売るの類語も覚えておくと、ビジネスシーンで役立つことがあるかもしれません

「油を売る」の対義語

油を売るの類語とともに対照的な意味を持つ対義語も覚えておくと、語彙力アップにつながります。

ここからは対義語を紹介するので、言葉が持つニュアンスをしっかり理解しておきましょう。

骨身を惜しまず

「骨身を惜しまず」とは、「労力や面倒をいとわない」という意味の言葉です。

一心に働くさまを表すため、無駄話などをして仕事を怠けるという意味の油を売るとは対極の意味を持つ言葉といえます。

例えば、上司に対してやる気があることを示す時に、「骨身を惜しまず一生懸命働きます」といった表現が使えます。

一心不乱

一心不乱は、「一つのことに集中して他のことに注意を奪われないさま」という意味の言葉です。別のことに気を取られずに物事に取り組んでいる様子を表すため、油を売るの対義語といえるでしょう。

例えば、「一心不乱に仕事に取り組む」や「一心不乱に勉強に励む」といった使い方をします。

なお、中世においては「いっしんぷらん」とも言われており、「雑念を捨てて仏に帰依(きえ)する」という意味の仏教語として使われていました。

  • 油を売るの対義語

    対照的な意味を持つ対義語も確認しておきましょう

「油を売る」の英語表現

海外の取引先や友人などとやり取りする機会が多い人のなかには、油を売るの英語表現を知りたいという人もいるでしょう。

油を売るは、「ゴロゴロする、ブラブラする」といった意味の「loaf around」や、「無駄話をする」という意味の「shoot the breeze」、「時間を無駄にする」という意味の「waste time」などで表現することができます。

ここからはこれらの表現を使った例文を紹介するので、用法や使用シーンを確認しておきましょう。

英語表現の例文

・Stop loafing around and give me a hand.(油を売ることをやめて手を貸してください)

・It’s more hectic than I thought. No time for shooting the breeze.(想像していたより忙しいですね。油を売っている時間はありません)

・If you keep wasting time, you probably can’t be successful on your business.(もしこのまま油を売り続けるなら、恐らく君はビジネスにおいて成功することはできないだろう)

  • 油を売るの英語表現

    油を売るの英語表現は、「loaf around」や「waste time」などです

油を売るという言葉を使ってみよう!

「油を売る」は、無駄話などをして仕事を怠けていることを意味することわざで、江戸時代の油売りが由来となっています。

自戒の意味を込めて反省する時や、怠けている人を注意する時などに使われるため、ビジネスシーンで見聞きすることが多い言葉です。用法を覚えて正しく使えるようにしておきましょう。また、類語・対義語も把握しておくと表現の幅が広がります。この機会にあわせて覚えてみてください。