新しいことを始める時や決心する時などに使う「善は急げ」という言葉。聞いたことがある人も多いと思いますが、意味を正しく理解できていますか?
今回は、善は急げの意味や使い方を例文つきでくわしく解説します。また、類語や対義語についてもくわしく紹介。間違った使い方をしないためにも確認しておきましょう。
「善は急げ」とは?
「善は急げ」は、生活や社会常識などに関わる教訓・風刺などを意味する言葉である「ことわざ」の1つです。四字熟語ではないので間違えないように注意しましょう。
「善は急げ」の意味
善は急げは、「良いことは躊躇せず、ただちに実行すべきである」という意味を持ちます。ポジティブなイメージで使われることの多い言葉です。日常会話でもビジネスシーンでも使えるので、覚えておくと便利でしょう。
「善は急げ」の使い方と例文
善は急げは、良いことはためらわずに実行すべきという意味を持つ前向きな言葉のため、座右の銘にしている人も多くいます。
また、戒めの意味を込めて使われたり、アドバイスをする時に用いられたりすることも少なくありません。
ここからは、善は急げを使った例文を紹介するので、正しい表現で使えるよう確認しておきましょう。
例文
・彼女は「善は急げ」を座右の銘にしているため、何事においてもすぐに取り掛かるようだ。
・提出期限は3日後だが、善は急げというので今日提出しておこう。
・すぐに先方に伺ったおかげで契約を締結することができた。まさに善は急げだ。
「善は急げ」に似たことわざ
善は急げには、似たことわざである類語がいくつかあります。知っておくとさまざまなシーンで役立つため、あわせて確認しておきましょう。
思い立ったが吉日
「思い立ったが吉日」は、「何かをする決心をしたら、その日のうちに取りかかるべき」という意味のことわざです。
吉日とは縁起のいい日のこと。何かを始めるときは縁起のいい日を選びたくなるものですが、吉日を待っていては物事が実現できなくなってしまうかもしれません。
このことから「思い立ったその日こそが物事に取り組むべき日である」という意味合いで使われます。善は急げとほとんど同じ意味だと考えていいでしょう。また、「思い立つ日が吉日」や「思い立ったら吉日」という言い方をするケースもあります。
鉄は熱いうちに打て
「鉄は熱いうちに打て」は、「絶好のタイミングを逃してはいけない」という意味のことわざです。
鉄は熱く柔らかいうちに形を作らなくてはいけないことから、「物事には時機があるため躊躇せず行動するべきである」という意味合いで使われます。
「善は急げ」と同じような使い方ができるほか、「教育や鍛錬は若く柔軟なうちにすべきである」という意味も持っている言葉です。
旨い物は宵に食え
「旨い物は宵に食え(うまいものはよいにくえ)」は、「美味しい食べ物は味が落ちる前に食べてしまえ」という意味です。「宵」とは日が暮れて間もないころや日暮れから夜中までの間を指しています。
美味しいものでも宵のうちに食べないと味が落ちてしまうということが転じて、「いいことは早々に取りかかるべき」というニュアンスで使われるようになりました。
善は急げの類語であり、戒めの意味を込めて使われたりアドバイスをする時に用いられたりすることわざです。
「善は急げ」の対義語
善は急げと対照的な意味を持つ言葉も確認しておくと、より言葉に対する理解が深まります。
ここからは、善は急げの対義語を紹介するので、言葉が持つニュアンスをしっかりと確認しておきましょう。
悪は延べよ
「悪は延べよ」は、「悪いことは延期したほうがいい。そうすれば状況が変わって行わなくて済むかもしれないから」という意味の言葉です。「善は急げ悪は延べよ」というように、善は急げに続けて使うこともあります。
待てば海路の日和あり
「待てば海路の日和あり」は、「悪天候が続いていても待っていればそのうち航海に適した天気になる」という意味のことわざです。
「じっくり好機を待つこと」を表しており、善は急げとは反対の意味を持っています。
なお、もともとは「待てば甘露(かんろ)の日和あり」という言葉だったものの、甘露が馴染み深くない言葉であったことから、派生して「海路」が使われるようになったと言われています。
「善は急げ」の英語表現
ビジネスにおいて海外の取引先などとやり取りする機会がある人は、英語でも善は急げを使いたい場面が出てくるかもしれません。
しかし、善は急げを直訳した英語表現はありません。ただし、イギリスのことわざである「Strike while iron is hot」という言葉が、善は急げの類語である「鉄は熱いうちに打て」という意味のため、善は急げの英語表現としても使えます。
ほかにも、「Make hay while the sun shines(日が照っているうちに干し草を作れ)」や、「There is no time like the present(今ほどいい時はない)」なども、善は急げと同等の意味の表現として使えるでしょう。
善は急げを正しく理解しよう
「善は急げ」は、「良いことは躊躇せず、ただちに実行すべきである」という意味で、日常生活でもビジネスシーンでもよく使われることわざです。
ポジティブなニュアンスを持つ言葉のため座右の銘にする人も多く、新しいことを始める時や何かを決心する時などに使われます。
似た意味のことわざでは「思い立ったが吉日」や「鉄は熱いうちに打て」などがあり、反対の意味のことわざには「悪は延べよ」などがあります。あわせて覚えておくと、より理解が深まるでしょう。
また、英語表現も把握しておけば、ビジネスシーンで役立つことがあるかもしれません。ぜひこの機会にまとめて覚えてみてはいかがでしょうか。