「ローマは一日にして成らず」は、ビジネスシーンでもよく使われることわざです。聞いたことはあるものの、意味や正しい使い方がいまいちわからないという人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、ローマは一日にして成らずの意味や使い方、類語、英語表現などをくわしく解説していきます。
ローマは一日にして成らずの意味
「ローマは一日にして成らず」は、「大きなことを成し遂げるには時間がかかる」という意味です。ローマは、イタリアの現在の首都・ローマではなく、「ローマ帝国」を指しています。
古代ヨーロッパ最大の帝国といわれたローマも、築くまでには約700年という年月がかかりました。このことから「大きなことを成し遂げるには長い時間がかかる」という意味合いで、ローマは一日にして成らずが使われるようになりました。
ローマは一日にして成らずは誰の言葉?
ローマは一日にして成らずは、誰の言葉であるのかはっきりとはわかっておらず、由来は諸説あります。なかでも有名なのは、邦訳の「ドン・キホーテ」に載っていた言葉であるという説。しかし、原書の「ドン・キホーテ」には記述がなく、ローマは一日にして成らずに似ているスペインのことわざが記載されているだけだといいます。
これは、英訳する際にスペインのことわざを見た英訳者が、イギリス人に馴染みが薄いと考え、ローマは一日にして成らずに意訳したのが原因とされています。邦訳の「ドン・キホーテ」は原文が英訳であったため、原書にはないローマは一日にして成らずが載っていた、というものです。
ローマは一日にして成らずの類語
ここからは、ローマは一日にして成らずの類語や、似た意味のことわざを紹介していきます。
千里の道も一歩から
「千里の道も一歩から」とは、「大きなことを成し遂げるには、身近なところから始めるのが大切だ」という意味のことわざです。中国の古典「老子」の「千里の行も足下より始まる(千里もあるような長い道のりも足下の一歩から始まる)」という一節が由来となっています。現代では事業に対して使われるのが一般的です。
大器晩成
「大器晩成」とは、「偉大な人物になる者は、大成するまで時間がかかる」という意味の四字熟語です。「大きな器は完成するまでに時間がかかる」ことから、「大人物は遅れて頭角を現す」といった意味合いで使われます。近年では、晩年になってから成功した人を「大器晩成型」と表現することもあります。
継続は力なり
「継続は力なり」とは、「継続すれば、何事も成功につながる」という意味の言葉です。実際には継続しても成功に結び付かないことはありますが、続けることの重要性や、継続することの大切さを端的に述べた言葉として広く知られています。
ローマは一日にして成らずの対義語
ローマは一日にして成らずの対義語には、下記のようなものがあります。
・栴檀は双葉より芳し(せんだんはふたばよりかんばし)
「栴檀は双葉より芳し」は、白檀という植物が発芽のときから良い香りを放つことから、「大成する人は小さいころから他の人よりも優れている」という意味の言葉です。
・蛇は寸にして人を呑む(じゃはいっすんにしてひとをのむ)
「蛇は寸にして人を呑む」は、蛇は一寸ほどの小さなときでも人を呑み込もうとする気迫を持っていることから、「優れた人は幼いころから人とは違う素質を示す」という意味のことわざです。
ローマは一日にして成らずの英語表現
ローマは一日にして成らずの英語表現は「Rome wasn’t built in a day.」です。ビジネスで英語を使う機会がある人はぜひ覚えておきましょう。なお、フランス語では「Rome ne s’est pas faite en un jour」といいます。こちらもあわせて覚えておくと役に立つかもしれません。
ローマは一日にして成らずの使い方
ローマは一日にして成らずは、短期間では成し遂げられないことを伝えたいときなどに使います。長い年月をかけて築かれたローマ帝国をたとえに出せば、期間の長さを具体的に示せるでしょう。短期間で完成したものに使うのは適切ではありません。
・「今回のイベントは準備に2週間かかった。ローマは一日にして成らずだ」
上記の場合、ローマは一日にして成らずという言葉を使うには期間が短いと言えます。
ローマは一日にして成らずの例文
ローマは一日にして成らずの例文は、下記のとおりです。
- 「大規模な都市開発だから、あと30年はかかるだろう。まさにローマは一日にして成らずだ」
- 「ローマは一日にして成らずというだろう。今は地道に努力するしかない」
- 「大事業を成し遂げるには、ローマは一日にして成らずということを忘れないようにしよう」
ローマは一日にして成らずを使ってみよう
「ローマは一日にして成らず」とは、「大きなことを成し遂げるには長い時間がかかる」という意味のことわざです。ビジネスシーンでも使う機会が多いことわざなので、使い方を覚えておきましょう。また、類語も覚えておくと表現の幅が広がります。ぜひこの機会に覚えてみてはいかがでしょうか。