――先ほどおっしゃった「一人ひとりが強くなった」の意味がよくわかります。タフなチームへ導いていくために、キャプテンとして何を心がけていたのでしょうか。

これがあまりないと言ったらあれですけど、一人ひとりが自立している選手ばかりなので。あえて声をかけるとか、特別に何かをしなくてもきちんと自分たちで軌道修正していける。なので、あまり僕の出る幕はなかったと感じています。とはいえ、個性のある選手も大勢いるので、そういったパワーがバラバラにならないように一人ひとりをまとめて、キャプテンとしてひとつの方向へ持っていけるようにはしてきたつもりです。夏場になかなか勝てなかった時期でも、ここは崩れちゃダメだ、こういう時期は必ずあるからみんなで我慢して、もう一回仕切り直しして絶対に乗り越えようとか。そういったことは常に意識して、率先してやるようにはしていました。

――苦しい時期を乗り越えながら、他チームを攻守両面で圧倒する昨シーズンの勝ち方とはまったく異なる、しぶとさを身にまとった川崎が現れたのではないでしょうか。

相手に先行される展開が続き、ゲーム内容も「今日は全然ダメだ」というような、いわゆる負けゲームのような展開でも最後まであきらめずに戦い続け、攻め続けて結果的に逆転したゲームが続きました。そこには「絶対にリーグ戦は優勝する」という明確な目標があったし、そのためにはどんなゲームでも、何がなんでも絶対に勝つ、という部分をチームとして統一できていまた。試合ごとにヒーローがどんどん出てくるのはチームとしてもすごく勢いがつきましたし、チームの総合力といったものを感じながら、リーグ戦で白星を重ねられたと思っています。

――9月22日の鹿島アントラーズ戦で決めた宮城天選手のJ1初ゴールとなる決勝点には驚かされましたし、同26日の湘南ベルマーレ戦で足をつらせながら知念慶選手が決めた決勝点には魂が震えました。ともに後半アディショナルタイムのゴールでしたね。

やっている選手たちもそうでしたけど、見ている方々も感じるものがものすごく多いゲームが続きましたよね。どんなに苦しくても全員で耐えて、最後にゴールを奪って勝ち切る。そういったしぶとさも見せられるようになってきた。すべての試合で先制して、相手を圧倒し続けて、という展開だけじゃなくて、苦しみながらも粘り強く勝ち点を積み上げられたのは、チームにとってものすごく力になったと思います。