舞台『ミネオラ・ツインズ~六場、四つの夢、(最低)六つのウィッグからなるコメディ~』のキャスト・スタッフが6日、開幕を前にコメントを寄せた。

  • 左から小泉今日子、大原櫻子

    左から小泉今日子、大原櫻子

同作はニューヨーク郊外の小さな町ミネオラで生まれ育った一卵性双生児の姉妹マーナとマイラの姿を通して、1950年代から1980年代の激動の時代に女性たちが何を考え何を体験してきたかを痛烈な風刺を込めて描いたダーク・コメディ。ポーラ・ヴォーゲル作、徐賀世子翻訳、藤田俊太郎演出という布陣で東京・スパイラルホールにて7日から31日まで上演される。

見かけは全く同じなのに性格は正反対で、約30年の長い年月の中で常に「両極」から対する一卵性双生児の姉妹・マーナとマイラを大原櫻子が演じる。日本初上陸となる本作で、作者ポーラ・ヴォーゲルは運命の双生児姉妹を1人の女優がカツラと衣装を目まぐるしく変えながら演じ分けるよう、戯曲の冒頭に指定したという。そして「常にホルモンの影響による興奮状態で演じて欲しい」という難題も指示。大原は芝居と音楽の両分野を自在に行き来し、観客を魅了する難役に挑む。姉妹の狂乱の渦には、小泉今日子と八嶋智人もそれぞれ二役を演じながら参戦。小泉が、大原演じる双子姉妹それぞれの恋人役、八嶋が双子姉妹それぞれの息子役を演じる。

演出:藤田俊太郎 コメント

上演中、キャスト皆がウィッグ、衣装を矢継ぎ早に変えながら、アメリカの50~80年代を駆け抜けます。
稽古を通して、現代的なテーマを発見する度に驚きました。これはアメリカの話ではない、私達の戦いなのだと感じています。
戯曲の言葉、女性の価値観を大事に、魂を込めて演出しました。観客の皆様には、この魅惑に満ちた悲喜劇を見終えた後に、明日に向かうエネルギーを感じていただけたら幸いです。

大原櫻子 コメント

稽古が始まる何か月も前から、台本を片時も離さず、この戯曲に向き合ってきました。台本も早々に1冊ボロボロになってしまったほど(笑)。そして、実際に稽古が始まってしばらくは、本当にゴールが見えてくるのか不安で、生みの苦しみと闘っているような毎日でした。でも、小泉今日子さん、八嶋智人さんという心強い先輩たちに支えられ、ようやく光が見えてきました。約1カ月の公演期間中、この特別にエネルギーが必要な「マーナ」と「マイラ」を精一杯生きていきたいと思っています。

八嶋智人 コメント

超保守のマーナとリベラルなマイラ。2人はそれぞれ自己矛盾を抱えています。日本でも、分断や多様性が身近な問題になって、立場や主張が極論化するほど自己矛盾していくのを目の当たりにする、そんな演劇が今だからこそ理解できる。未来に繋ぐ事ができると思うのです。
そしてその真ん中に立つ大原櫻子さんが日に日に役を進化させてゆくさまは本当に凄い!
僕は大原さんの14歳の息子役。無理あるぞと思うでしょ? それも演劇の醍醐味! 是非そこも楽しんで下さいませ。

小泉今日子 コメント

コロナ禍で様々な現実が可視化された今が、この作品を楽しむベストタイミングだと思います。日本でもジェンダーや多様性について関心が高まる一方で、違う立場の人間同士が分断されがちな風潮もあって。だからこそ異なる立場の二役を一人の俳優が演じる趣向が面白いですね。長い歴史の中で女性の立場は変わっていないとも言えますが、少しずつ変化してきたはず。その過程にあるこの作品をコメディとしてお届けできたらと思います。個人的には、若いジムがオジサンみたいにならないよう頑張らないと!(笑)

撮影:宮川舞子