テレビ東京で生まれた『テレビ演劇 サクセス荘』シリーズがまさかの映画化となり、12月31日より『映画演劇 サクセス荘 〜侵略者Sと西荻窪の奇跡〜』が全国で公開される。同作は都会の片隅にひっそりと佇む一軒のアパート「サクセス荘」を舞台に、芸人、漫画家、占い師、料理人など個性豊かな住人の物語を描いている人気シリーズで、「本番一発勝負」が特徴。
映画でも同じく一発撮りで勝負し、住人である和田雅成、高橋健介、高野洸、高木俊(※高ははしごだか)、黒羽麻璃央、spi、立石俊樹、有澤樟太郎、荒牧慶彦、定本楓馬、玉城裕規、寺山武志、小西詠斗、唐橋充(劇中部屋番号順)に加え、ゲストとして佐藤流司、北園涼、橋本祥平、北村諒が謎のセレブ集団・通称S4として登場する。今回は、1期から出演する玉城裕規にインタビュー。映画化に対しても最初から「やるだろうと思っていた」という玉城に、作品の見どころなど話を聞いた。
■「やるだろうな」と思っていた
——今回映画化ということで、最初に受けた印象を教えていただければと思います。
いつか絶対にやってほしかったですし、やるだろうなと思っていたので、「ついにこの時が来たな」という感じでした。
——いつ頃から「やるだろうな」と思っていたんですか?
もう、最初からですね。展開するのであれば、舞台化よりも映画化なのかな、と。「テレビ演劇」と謳っているので、今後も「○○演劇」としてもっとチャレンジするんじゃないかと思っていました。
——今回の映画化で驚いた、「こう来たか」と思った展開はありましたか?
今回敵対するS4です! キャストを見て「こう来たか」と楽しみでしたし、彼らが攻めてきていたので、迎え撃つと言うより撃たれた感じ(笑)。敵としての圧もあり、役者としての個性もそれぞれ出されていたので、「うわ〜、きたよ〜」みたいな感じでした。仕事に対して本当に真面目で真摯に向き合っている人たちですし、きっと負けず嫌いでしょうから、みんなきっちり準備をして撮影に臨んでいました。
——皆さん注目かと思いますが、S4の中であえて個人的に注目メンバーを挙げるとしたらどなたですか?
皆さん共演したことある役者さんなんですけど、北園君がどういう役作りをしてくるのか興味がありました。別作品で共演させていただいた時の役が個性的だったので、どういう立ち位置で来るんだろうなと気になってましたし、実際に対峙して「うわ、怖〜い」と思いました(笑)。サクセス荘が平和ボケしてるからなのか、4人とも隙がなかったですね。サクセス荘のメンバーと同じような絡み方をすると、はじけ飛ばされる(笑)。小型犬がわんわん! と大型犬に吠えて、キャインキャインと飼い主のところに帰ってくるみたいな感覚でした。
——1期から今までいろいろな方に取材をしてきましたが、注目メンバーを尋ねるといい意味で「玉城さんがヤバい」という声を聞くことも多かったです。
いや、ヤバくはないです!(笑) 1期に比べると、軽減して来ていると思います。最初の方は台詞もゆっくり言っていましたし、テンションをぐっと抑えた感じだったけど、徐々に明るい部分やテンションの高い部分、人間みが出て来ています。具体的に相談してそうなったというより、これまでの話数を重ねてだんだんここまでやって来ました。
——それほど定期的に『サクセス荘』をやっているということだと思うんですが、出ている方たちにとってはどういう感覚なのでしょうか?
「この時期が来たね」みたいな(笑)。数年でしかないですけど、人生の1部ではあります。だからこそ、自然とほかの住人とのファミリー感も築き上げられていったように思います。今回の映画ではこれまでのオールスターが勢ぞろいで、「ここにいることを忘れるはずがないじゃない」という台詞もあるんですが、本当に嬉しい気持ちになっていますし、なんだか不思議な感じです。
■普通の映画だと思って観に来ないで
——ずっと続けることによって、自身の変化などは感じますか?
やっぱり、何かがあった時のリカバリーが、よりできるようになりました。舞台でも、何かが起こってリカバリーすると、その場の空気というかテンションが1個上がるんですよね。もちろん本来は何も起こらないでスムーズに行く方がいいんですけど、1期から今まで続けてきた中で、そういう空気を起こそうとするところはあって。起こそうとするという作業は極めたいというか……でも考えてやると嘘くさくなるので、人為的じゃなくちょっとしたアクシデント的なものを起こせる能力が欲しいなと思いました(笑)
——何か起こった時こそ一致団結して、グルーヴ感が生まれるということでしょうか?
そうなんです。なので、特殊能力があるといいなと(笑)。僕の能力だとばれないまま、他の人に対して発動して、いいグルーヴ感が生まれるのを見て「よしよし」と満足したいです。
——今回「映画演劇」ですが、玉城さんがこれまでに心に残っている作品はありますか?
『デッドマン・ウォーキング』という映画です。学生の時に観た作品で、ずっと自分の心の中に残っています。死刑制度について描いた物語で、役者さんの目がとても綺麗で印象的だったんです。
——ちなみに高木さんは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』との回答で「サクセス荘も『バック・トゥ・ザ・フューチャー』」と言ってましたが、何か今作とつながるところは…?
それは……ちょっとよくわかんないですね(笑)。でも、『サクセス荘』の可能性は無限だなと思います。世界観もいくらでもふくらむし、いろいろな広がりをみせてくれるので、そういう意味でも夢があると思います。今回は映画演劇になって、改めて住人の夢に対しての気持ちやの絆がより深くなっていると思うので、これまでも『サクセス荘』を観てきてくださった方には、ぜひそこを感じてほしいです。ゲストのキャラクターもキーになっています。
『サクセス荘』を映画から初めて観る方は、本当に、普通の映画だと思って観に来ないでほしい!(笑) 何も考えないで、楽しんでほしいです。フラットな状態で来るからこそ、夢について自身のことも振り返ったりできるだろうから、映画という概念を持たず、 サクセス荘で夢を持っている人たちを観に来てほしいと思います。
■玉城裕規
1985年12月17日生まれ、沖縄県出身。俳優として幅広く活躍し、主な出演作品に『弱虫ペダル』シリーズ(12年〜13年)、『Messiah メサイア』シリーズ(13年〜15年)、『曇天に笑う』(15年・16年)、舞台『刀剣乱舞』シリーズ(18年〜)、舞台『HELI-X』シリーズ(20年〜)、ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』(21年)などがある。
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