「男女共同参画社会」という言葉が使われるようになってから、参画という言葉が使われることが増えています。漢字から意味は何となくイメージできるかもしれませんが、正確な意味はよく知らない人もいるかもしれません。
この記事では、参画の意味や読み方、参加など類義語との違いなどを紹介します。
参画の意味や読み方
「参画(さんかく)」は「事業や政策などの計画に加わること」という意味です。事業や政策などの計画において、実行段階から「参加」するのでなく、計画段階から加わるという意味で用いられます。
比較的かたい言い回しなので日常生活で使う機会はそう多くなく、政策やビジネスシーンなどで用いられる言葉です。
「参」「画」それぞれの意味
参画に使われている「参」には「加わる」「仲間入りする」という意味があります。「画」の意味は「はかる」「はかりごと」です。
動詞「参」と目的語である「画」との組み合わせで、「計画に加わる」という意味である参画という熟語となりました。
「男女共同参画社会」とは
参画という言葉が広く知られるようになったのは、「男女共同参画社会」という言葉が生まれてからです。「男女共同参画社会」とは、男女共同参画社会基本法第2条で下記のように定義されています。
男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会
つまり男女共同参画社会とは、性別が理由で不当に排除されてきた分野に男女ともが参加できるよう、制度が整備された社会のことです。女性が職業に参加することと、男性が家庭への参加を促すことが、主なテーマとされています。
参画の使い方
参画という言葉の具体的な使用例を紹介します。
動詞としての使い方
・社運をかけたプロジェクトに参画することになった
・有名大学の研究に参画します
・来年度からは友人の会社で経営に参画する予定です
・有識者として法案の作成に参画することになりました
・プロジェクトに参画して3週間が経過した
参画が動詞として使われる場合、上記のように「参画する」という表現が使われます。
名詞としての使い方
・このプロジェクトの参画企業には、さまざまな分野の企業が名を連ねている
・彼女は当プロジェクトの参画メンバーです
・男女共同参画社会の実現を目指す
・組織全体で経営への参画意識を高めるためには、自ら積極的に動くべきだ
このように参画は、政治や経営に関する言葉として使われることが多いです。
参画と参加の違い
参画とよく比較される類義語として「参加」という言葉があります。ここでは、参加の意味や参画との違いについてみていきましょう。
参加とは
参加には、下記のような意味があります。
・同じ目的を持つ集団のメンバーとして加わって行動をともにすること
・法律上の関係や訴訟に、当事者以外の第三者が加わること
日常生活の中では、前者の意味でよく使われます。
参加の使用例
・テレビの討論番組に参加することになった
・このプロジェクトに参加することとなりましたのでよろしくお願いします
・参加者がそろったので会議をはじめます
・次回のミーティングにも参加させていただきます
・そろそろ歓送迎会の参加者を確認しておいてください
・新製品発表会に参加するとA社に連絡しておかなければならない
このように参加は、さまざまなシーンでメンバーとして加わる場合に使われる言葉です。
参画と参加との違い
参加の意味は「メンバーとして加わって行動をともにすること」であり、仕事やパーティー、個人的な集まりなど、さまざまな分野で使われる言葉です。
一方、参画は「政策や事業などの計画に加わること」をあらわしています。参加に比べて使われる意味が限られている点が最大の違いです。
参画の類義語
参画には、参加以外にも似た状況で使われる言葉がいくつかあります。参画の代表的な類義語「関与」「加入」「加担」の意味や、参画との違いをみていきましょう。
■関与
「関与(かんよ)」には「ある物ごとに関係すること」という意味があります。参加するほどでなくても何らかのかかわりを持つ場合にも用いられ、広い意味で使われる言葉です。また、使われる分野も限定されていません。
事業や政策などの分野で使われる参画に比べて、「関与」は意味も使われる分野も広い点が大きな違いです。
■加入
「加入(かにゅう)」の意味は、「団体や組織などの仲間に加わること」です。会や団体、組織などに入って、その一員であることを強く意識する状況で使われます。具体的には、保険や政党、組合やスポーツチームなどに加わる場合に使われる言葉です。
事業や政策などの分野で使われる参画と重なる部分はありますが、まったく同じというわけではありません。
■加担
「加担(かたん)」には下記のような意味があります。
- 力添えをすること、仲間になること
- 荷物を背負うこと
「加担」は、古くは「荷担」と表現されていましたが、「加担」と書くことが多くなっています。
「加担」は何らかの集まりだけでなく、人に対して力添えする場合にも使われる言葉です。事業や政策で使われる参画に比べて、「加担」は幅広い内容で使われます。
参画・参加の英語表現
ビジネスや日常生活などで英語を使う機会があるならば、参画の英語表現も覚えておくと役立ちます。ここでは、参画や類義語である参加の英語表現をみていきましょう。
participation / participate
・female participation (女性の参画)
・The manager has asked all her employees to participate in the new project
(マネージャーは全社員に新プロジェクトへの参加を呼びかけている)
「participation」には「参加」「関与」などの意味があり、参画の英語表現として使われます。「participate」は「participation」の動詞ですので、「参画する」の英語表現として覚えておきましょう。
参加の英語表現は複数ある
参画の類義語である参加には、いくつかの英語表現があります。
「participation」は参画の英語表現として使われることもありますが、参加の英語表現として使われることも多いです。
「entry」には「加入」「入会」などの意味があり、団体へメンバーとして参加する場合などに参加の英語表現として使われることがあります。
「joining」には「仲間入り」「加盟」などの意味があり、何らかの集まりに加わる場合に参加の英語表現として使われる表現です。
参画の意味を理解して適切に使おう
参画とは、「計画に加わる」ことを意味する言葉です。「男女共同参画社会」という言葉で使われていることから、耳にする機会も多いでしょう。
似た状況で使われる言葉に参加がありますが、参加の意味は「物ごとを行う一員として加わること」を意味します。参画は計画を立案する側として加わることですが、参加はメンバーとして加わる点が大きな違いです。
参画と似たような状況で使われる言葉はいくつかあります。この記事の内容を参考に、使いわけられるよう理解しておきましょう。