「滑稽」という意味をしっかり理解できていますか? 滑稽はもともと「話が上手である」という意味ですが、そこから「おもしろい」という意味で使われるようになりました。

今回は、滑稽という言葉を深掘りし、類語や英語表現などをご紹介。滑稽噺や滑稽新聞についても触れています。ぜひ、参考にしていただき、語彙力アップにつなげてください。

  • 滑稽の意味

    「滑稽」について解説します

滑稽とは

滑稽は「こっけい」と読みます。どのような意味なのかくわしくみていきます。

滑稽の意味とは? 悪い意味なの?

滑稽とは「笑いの対象となるようなおもしろいこと、おどけたこと」「あまりにもばかばかしいこと」という意味です。ユーモアがあっておもしろいという肯定的な意味と、ばかばかしくてみっともないという悪い意味のどちらも含みます。悪い意味の場合でも、滑稽は「笑い」が伴われるものに対して使います。

また、滑らかな語り口で言いくるめることや、口が達者でおもしろいさまなども「滑稽」ということがあります。

滑稽の語源

一説には、中国の歴史書「史記」で使われ、もともとは話が上手であることを滑稽と呼んでいたとされています。日本では、話が上手であることをおもしろいことと置き換え、広く使われる言葉になりました。

滑稽の使い方・例文

ここでは、滑稽の使い方を例文でご紹介します。

  • 彼のプライドの高さは実に滑稽だ
  • 彼女のミスを隠そうと嘘をつく姿は滑稽に見える
  • 彼の幼少期のエピソードはなかなか滑稽だった

1つ目と2つ目は「ばかばかしい」「みっともない」といった悪い意味での例文、3つ目は「ユーモアがある」といった良い意味での例文です。

滑稽の関連語

ここでは、滑稽の関連語をご紹介します。

滑稽本

滑稽本とは、江戸時代後期を中心に書かれた小説のジャンルです。町人の日常を町人たちの会話を通じて滑稽に描き出しているところが特徴で、有名なものに「東海道中膝栗毛」などがあります。

滑稽画

見る人の笑いを誘う絵のことを、滑稽画といいます。誇張したり、風刺を交えたりして描かれた絵のことです。

滑稽噺

滑稽噺(こっけいばなし)の「噺」とは、人に聞かせるための物語という意味があります。滑稽話とは、落語などの演題のなかであまりにもばかばかしかったり、おもしろかったりするものの総称です。

滑稽新聞

明治後期から昭和にかけて活躍したジャーナリスト・文化史家の宮武外骨(みやたけがいこつ)の発行物のなかに「滑稽新聞」というものがあります。明治34年に大阪で創刊され、当時の政治などを風刺したことで庶民から人気を得ました。明治41年に廃刊となっています。

  • 滑稽の意味

    滑稽とは、おもしろいことやばかばかしいことという意味です

滑稽を含む四字熟語

ここでは、滑稽をという言葉を含む四字熟語を2つ、紹介します。

滑稽洒脱(こっけいしゃだつ)

洒脱とは、「あかぬけていて、さっぱりと洗練された趣があること」という意味です。この言葉を付け加えた滑稽洒脱とは、「言葉が巧みでおもしろく、俗気がなくさっぱりとしたさま」という意味になります。つまり、褒め言葉として用いられる言葉です。

野卑滑稽(やひこっけい)

野卑とは、「下品でいやしいこと」という意味です。この言葉を付け加えた野卑滑稽とは、「下品でみっともないさま」という意味になります。強い否定の意味が込められた言葉です。

  • 滑稽の使い方

    滑稽は、いい意味にも悪い意味にも使われます

滑稽の類語

次に、滑稽の類語を紹介します。滑稽の意味にある、おもしろさ、ばかばかしさというニュアンスを含む言葉です。

ひょうきん

ひょうきん(剽軽)とは、「軽率で、おどけた感じがすること」という意味です。一般的に「ひょうきん」とすべてひらがなで表記します。おどけた雰囲気で明るく、みんなから慕われるような人を「ひょうきん者」ということもあります。

コミカル

コミカルとは、「おどけているさま」という意味です。また、風刺などを織り込みながら観客を笑わせる「喜劇」のようなさまを指します。

痛快

痛快(つうかい)とは、「たまらなく愉快で、胸がすくようでとても気持ちのいいこと」という意味です。「今までの努力がすべて報われる、痛快のゴールだった」などと使います。

阿保らしい

阿保らしい(あほらしい)とは、「ばからしい、あほらしい」という意味です。滑稽の意味にある「ばかばかしい」と同じニュアンスの言葉です。

荒唐

荒唐(こうとう)とは、「話に根拠がなく、とりとめのないこと」という意味です。「荒」と「唐」という漢字はどちらも広く、大きいという意味があることから、荒唐にはばかばかしいというニュアンスが含まれています。同じ意味の四字熟語に「荒唐無稽(こうとうむけい)」があります。

  • 滑稽の類義語

    滑稽の類語には、ひょうきんや痛快などがあります

滑稽の対義語

滑稽の類語の次には、対義語を確認しましょう。類語と対義語の両方を知ることで、滑稽という言葉への理解を深めることができます。

つまらない

つまらないとは「詰まらない」とも書き、「興味が感じられずおもしろくない」「無意味でばかばかしい」という意味です。

「無意味でばかばかしい」という意味は滑稽にもありますが、滑稽は笑いを伴うことに使われるというところで違いがあります。

下らない

下らない(くだらない)とは、「真剣に取り上げるだけの価値がなく、ばからしい」という意味です。興味が感じられないときに使うのが「つまらない」に対し、内容はいかがと思うがどこか惹かれるときには「下らないがおもしろい本だ」などと表現することもあります。

厳格

厳格とは、「不正や怠慢を許さないほど規律に厳しいさま」という意味です。滑稽の意味にある「ユーモアやばかばかしいさま」は一切含んでいません。

  • 滑稽の対義語

    滑稽の類語と対義語を知り、理解を深めましょう

滑稽の英語表現

滑稽の英語表現にはいくつかあり、笑いを誘うという意味の「funny」、おどけているという意味の「comical」、ユーモアに富むという意味の「humorous」、ばかばかしいという意味の「ridiculous」などがあります。伝えたいニュアンスに近いものを選びましょう。

例文
She has a good sense of humor.(彼女はユーモアのセンスがある)
He said funny things and made us laugh.(彼は冗談を言って私たちを笑わせた)
I think that is so ridiculous.(それはとてもばかばかしいと思います)

  • 英語表現

    滑稽の英語訳にはhumorousなどがあります

滑稽は良い意味でも悪い意味でも使用される

滑稽には、おもしろおかしいという意味のほかに、ばかばかしいという意味があります。いい意味とよくない意味の両方で使われますが、滑稽は「笑い」を伴うものに対して使われる傾向にあります。同じばかばかしいという意味の「つまらない」は、心を動かされる「笑い」の要素がないことから、類語ではなく対義語だと考えられます。

この機会に英語表現や四字熟語なども一緒に覚えて、語彙力アップにつなげましょう。