年を重ねてからのビジュアルについては、吉沢本人と演出陣で深く話し合ったそうで、「特殊メイクで90歳をリアルに作ることもできますが、3話も4話も特殊メイクでやることはこのドラマにとっていいことなのか。特殊メイクは作ったものなので、長ければ長いほどそこが気になってくるのではないかと試行錯誤し、見た目で“おじいちゃんです”ということを追求しないというのが、演出陣とご本人が話して出た結論です」と説明。

「老けメイクもしますし、特殊メイクも最晩年は使いますが、年に合わせて見た目を老けさせることより、物語の中で自然な流れを損なわないことを優先し、歩き方や話し方などお芝居で年を取った感じを自然に出していただいています」と述べ、「ただ、おじいちゃんだからゆっくり話すかというと、怒るときはおしゃべりな栄一のままです。これまでの流れの中で自然に年を取っていく栄一を見せています」と補足した。

吉沢自身、「年齢感を意識しすぎると栄一としてのエネルギー、勢いが落ちてしまう。言葉のスピードや声質、体の動きなど、年を取っているという芝居を細かく作っていますが、第1回から続いている栄一のエネルギーは最後まで続くように、そこを一番に考えました」と語っていたように、栄一らしさは年を取っても変わらない。

最終回「青春はつづく」で栄一は、ワシントンの軍縮会議に合わせて再び渡米し、移民問題など悪化した日米関係の改善に尽力。関東大震災が発生すると、救援の最前線に立って内外の実業家に寄付を呼びかけ資金を集める。また中国の水害に対しても、自宅からラジオを通じて募金への協力を呼びかけるが、満州事変が勃発。救援物資は受け取りを拒否されてしまう。それでも栄一はあきらめず、病床から自らの思いを伝え続ける。

最後まで走り続ける栄一、そして吉沢亮の熱演をしっかり見届けたい。

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