毎週土曜日あさ9時から、テレビ東京系にて好評放送中のウルトラマンシリーズ『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』。物語は終盤に向け、さらなる盛り上がりを見せている。

  • 水野直(みずの・ただし) 俳優。1979年生まれ、石川県金沢市出身。アルファセレクション所属。映像出演の他に、コメディ集団【杉並ファイブ】の主宰として、脚本・演出・出演を務めている。ウルトラマンシリーズには『ウルトラマンX』(2015年)第10話ゲストのほか『ウルトラマンジード』(2017年)レギュラー(久米ハルヲ役)を経て、現在『ウルトラマントリガー』(2021年)にサクマ テッシン役で出演中。多くの映画、テレビドラマ、バラエティ、イベント司会、舞台、CMなどで活躍する。 撮影:宮田浩史

今回は、GUTS-SELECTの最年長隊員であり、移動司令本部ナースデッセイ号のパイロットを務めるムードメーカー、サクマ テッシン隊員を演じる水野直にインタビューを行った。個性派ぞろいのチーム内で、ひときわ濃厚な存在感んを発揮する水野は、『ウルトラマンジード』(2017年)の銀河マーケット店長・久米ハルヲ役以来、2度目のレギュラー出演となる。メイン監督を務める坂本浩一監督からの信頼も厚い水野は、本作『ウルトラマントリガー』およびGUTS-SELECTメンバーに、どのような思いを抱いているのだろうか。テッシン役にかける強い意気込みを訊いた。

――『ウルトラマンジード』で水野さんが演じられた久米ハルヲは、主人公・朝倉リク(演:濱田龍臣)を優しく見守る庶民的なムードが魅力のキャラクターでした。今回はなんと、ウルトラマンシリーズの定番というべき防衛チームの一員ということで、オファーがあったときはどんなお気持ちでしたか。

それはもう、すごくうれしかったですよ。世代的にも初代『ウルトラマン』の科学特捜隊、アラシ隊員(演:毒蝮三太夫)やイデ隊員(演:二瓶正也)みたいな、カッコいいだけでなく人間味のある隊員像に憧れていましたから、テッシンを演じるにあたっては、お2人のキャラクターを意識したところがあります。坂本監督とも、テッシンがこのチーム(GUTS-SELECT)の中でどういうポジションにいればいいのか、最初のころに話し合いました。シズマ会長の宅麻伸さんを除くと、僕がチームの中で最年長なので、それを意識しつつタツミ隊長(演:高木勝也)や隊員のみんなをうまく支え、下方から盛り上げていけたらいいなって思って芝居をしています。『トリガー』ではコミカルな話がある一方で、激しく感情を揺さぶるようなシリアスな回もあります。怪獣が暴れて建物が壊れ、人々が避難したりする描写もたくさん出てきますが、そんなとき、GUTS-SELECTとして「人の命を守るために行動する」という大前提をしっかり踏まえて、役に取り組んでいました。

――トリガーに変身するマナカ ケンゴ役・寺坂頼我さんの、最初の印象はいかがでしたか。

まず台本を読んだとき、ケンゴの「スマイル、スマイル!」というセリフに驚きました。こんな底抜けに明るいセリフを違和感なく言える役者が、果たしているのだろうか、こりゃ難しいセリフだぞって思ったんです。たとえば僕がニコリと笑いながら「スマイル、スマイル!」ってやっちゃうと、一瞬でウルトラマンがコメディになりますからね(笑)。でも、現場に入って頼我が最高の笑顔で「スマイル、スマイル!」って言っているのを見たとたん「(このセリフを言える人が)いた!!」とビックリしたんですよ。初期の撮影で覚えているのは、第2話でケンゴがGUTS-SELECTに入隊したとき、アキト(演:金子隼也)に冷たくされて、僕(テッシン)に相談してくるところ。「僕、うまくやっていけるかな」みたいな表情をした頼我が僕を見つめてきた、あのときの彼の目にすごく「ヒーロー」を感じたんです。みんなと仲良くなりたい、みんなの笑顔を見たいといったケンゴの思いが、頼我の表情から自然に読み取れた。こいつはトリガーだ、ヒーローだなって気持ちになったんです。それがきっかけとなって、さらにGUTS-SELECTの個性的なメンバー同士の芝居がやりやすくなりましたね。

――テッシン隊員はナースデッセイ号のパイロットという設定ですが、操縦するシーンではどんな部分に注意されていますか。

ナースデッセイ号のコクピットには操縦桿がなくて、目の前にはタッチパネルだけがあるんです。だからジェット機のように操縦桿を両手でつかんでグイーッ!みたいな派手な演技がやりにくいんです。自分の好きなように操縦すればいいんですけれど、やっぱり巨大な飛行メカを自分が動かしているんだぞという実感が欲しくて、坂本監督と相談をしながら子どもたちがマネをしやすいように、大きな動きを入れ込むようにしたんです。でも、つい気持ちが入ってタッチパネルを強く叩いたりすると、セットが揺れてしまうんですね。だからと言ってそーっと触ってるとテンポが落ちますし。最終的には、パネルを触っているような芝居をしながら、ギリギリ触れていないという形でやっていました。

――GUTS-SELECTはケンゴ、ユナ(演:豊田ルナ)、アキトの若者チーム3人と、テッシン、ヒマリ(演:春川芽生)、タツミ隊長の大人チーム3人、そこにマスコット的なメトロン星人マルゥルが入って、バランスのとれたチームだと思います。演じるみなさんのチームワークはいかがですか。

最初のころ、坂本監督が僕と隊長とヒマリを集めて「今回、こいつらアクが強いな~と思われるような、濃いメンバーに揃ってもらいました。そんなあなたたち(3人)の化学反応が見てみたい」って言ったんです。言われたとおり個性強めだなあって思いましたけど、ヒマリは僕と隊長の「おじさん組」に入れるにはかわいそうというか(笑)、ケンゴたちと年齢もそんなに変わらないんですよ。でも、芝居をしていないときのヒマリは大阪のおばちゃん的なキャラクターを発揮して、すごくいい雰囲気を出している。そして隊長は普段こそクールでカッコいいんですけど、カメラが回ってないところではものすごくしゃべりたがり、ボケたがりです(笑)。ナースデッセイ号のセットに入ったとたん、メンバーそれぞれがどんどん前へ前へとで出てきますから、面白いですよ。

ケンゴ、ユナ、アキトの若者3人は、主に野外で怪獣と戦闘することが多く、その間僕らはナースデッセイ号の中で「きっとあいつらなら、ここまでやってくれるだろう」と、テンションを高めた状態で芝居をすることがあります。気持ちのバトンを託される、と言いますか、彼らの芝居を直接見てはいないんだけど、お互いの信頼とチームワークを信じながら、こういう芝居をすればうまくつながるだろうなと考えながらやっていました。GUTS-SELECTの総力戦となった第6話なんて、メンバーそれぞれが持ち味をフルに発揮して戦えましたから、すごく楽しかったですね。GUTS-SELECTが全員そろって、ひとつの方向に向かって突き進むといったシーンに愛着があります。