『ウルトラマントリガー』(2021年)『仮面ライダーフォーゼ』(2011年)『獣電戦隊キョウリュウジャー』(2013年)など、数々の特撮ヒーロー作品で活躍を続ける坂本浩一監督が、時代劇の本場・東映京都撮影所スタッフとタッグを組んで生み出した『BLACKFOX: Age of the Ninja』(2019年)が2021年11月26日深夜、日本映画専門チャンネルにて放送される。

これを記念して、これまで坂本監督が手がけてきたいくつかの特撮&アクション作品を連続放送する「24時間まるごと 坂本浩一の特撮アクション」という豪華企画が実現。放送の合間には、笠井信輔アナウンサーの進行による坂本監督の作品解説コーナーがあり、坂本監督作品のファンにはたまらない壮絶アクションの演出テクニックなども語られるという。

  • 左から坂本浩一監督、山本千尋 撮影:宮田浩史

24時間放送に先がけ、ここでは坂本監督と『BLACKFOX: Age of the Ninja』で主演を務めた女優・山本千尋との対談インタビューをご紹介。アクション満載の娯楽時代劇で主演を務めた山本の思いや、本格アクション時代劇に取り組む坂本監督の熱意、そしてこのコンビで今後、どんな作品を作ってみたいかという未来への希望を尋ねた。

――坂本監督と山本さんが、そろって取材を受けられるのは久々ではないですか。

山本:監督とお会いするのは『BLACKFOX: Age of the Ninja』の上映イベント以来ですから、およそ2年ぶりになります。

坂本:『BLACKFOX: Age of the Ninja』が終わったあと、ちょうど新型コロナウイルス感染拡大が起きて、なかなか一緒に作品が作りにくくなりましたからね。今回久しぶりに千尋ちゃんと会って、ますます大人っぽくなって、キレイだなあって思いました!

山本:ありがとうございます!

――今回の「24時間まるごと 坂本浩一の特撮アクション」企画についてのご感想をお願いします。

坂本:24時間ぶっとおしで僕の監督作品を観ていただくという、非常にカロリーの高い企画です(笑)。『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(2009年)以来、僕は様々なジャンルの作品を監督させて頂きましたが、それらを全部まとめて放送していただけるなんて、とても光栄なことだと思いました。

山本:24時間のうち、4時間くらいは私の出ている作品だということが、本当にうれしいです。

坂本:『BLACKFOX: Age of the Ninja』の前に『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!』(2018年)があるからね!

山本:『ウルトラマンジード』は私のスタートラインというべき作品ですし、『BLACKFOX: Age of the Ninja』は初主演作です。どちらの作品も思い入れが強く、放送していただけるのは本当にありがたいと思っています。

――『BLACKFOX: Age of the Ninja』を初めてご覧になる方たちに向け、ぜひお2人から注目ポイントを教えてください。

山本:私としては、全部が見どころ!という感じなのですが(笑)。

坂本:僕も同じ思いです。改めて観返してみると、千尋ちゃんの頑張りが画面から伝わってきます。撮影していたのは寒い時期で、環境的にも大変でした。初主演作というプレッシャーもあっただろうけれど、そんな中ですごく一生懸命に頑張ってくれました。千尋ちゃんの最高のアクションを撮るため、僕も厳しく接していましたし、いろいろな思い出が詰まった作品なので、今観るとあのときの記憶が甦ってきて、つい涙ぐんでしまうんです(笑)。

――密着ドキュメント『BLACKFOX: Age of the Ninja』では、いつも笑顔で俳優さんたちと一緒に楽しく撮影をしている坂本監督にしては珍しく、アクション演出での“厳しさ”を感じさせますね。

山本:今回はこのメイキングも放送されるそうですから、こちらも見逃せないですね。

坂本:本編をご覧になった後、あのシーンはどうやって撮影したんだろうとか、千尋ちゃんがシーンの合間にこんな表情を見せていたのか、という映画の裏側をメイキングでお楽しみいただければうれしく思います。

――また『BLACKFOX: Age of the Ninja』では、数多くの作品に出演された「斬られ役日本一」の異名を取った大ベテラン時代劇俳優・福本清三さんの出演も話題を集めました。残念なことに、福本さんは今年(2021年)初めにこの世を去られました。お2人の福本さんとの思い出をお聞かせください。

山本:福本さんには映画『太秦ライムライト』(2014年)での共演以来、優しく接していただきました。『BLACKFOX: Age of the Ninja』にも、私の主演作品だからということで、快く出演してくださいました。私が最後の敵とのアクションシーンを撮影しているとき、ちょうど(東映太秦)映画村で福本さん出演のショーがあったのですが、そこへ向かう途中に現場へ寄ってくださり、声をかけていただきました。「これからアクションなんやろ? 頑張りや」って……。それが福本さんとの最後の会話でしたね。そのお声がけをいただいたからこそ、最後のアクションを精一杯やれたんです。そう考えると、最後まで福本さんに支えてもらっていたんだなあ……としみじみ思います。もう福本さんにはお会いできないですけれど、また京都の撮影所でお仕事をする機会があれば、恩返しをするつもりで頑張っていきたいと思っています!

坂本:福本さんが千尋ちゃんにかけた言葉などを聞いていると、京都撮影所のみなさんに千尋ちゃんがとても愛されていることがわかりますね。僕は福本さんと初めてお会いした瞬間「あっ、いつもテレビで観ている方だ!」と、ただの時代劇ファンとして興奮を覚えました。短いシーンの出演でしたけど、作品でご一緒することができてうれしかったですね。