「10歳以上が対象です」と言われたときに、「10歳」を含むのか含まないのか、どちらか迷ったという経験はありませんか? なんとなく意味を理解しているつもりでも、いざそのような場面に直面すると、判断に迷う場合もありますよね。この記事では、「以上」の正しい意味の他、「超える」「以下」や「未満」などについても併せて解説します。

  • 「以上」「以下」と表現する際の範囲は、その直前の数字を含みます

    「以上」についてわかりやすくご紹介します

「以上」の意味とは

「応募条件は18歳以上」「20歳以上対象のキャンペーンです」「4人以上の参加で10%割引」など、「○○以上」という言葉は日常でよく使われますね。その詳しい意味を、具体例を交えながら解説していきます。

「以上」とはその数字も含む

「○○以上」と言われたときには、基準であるその「○○」という数字を含みます。例えば「4人以上の参加で10%割引」の場合は、4人でも、5人でも、6人でも、10%割引を受けられます。このように、「○○以上」と数字を含めた文章では、その数字を含みます。

他にも「パーティーには100人以上が参加しました」と表現した場合、100人を含む101人、102人…と多くの人がパーティーに参加したという意味になります。

「満18歳以上対象」は18歳は対象で、17歳は対象外

年齢の場合も同様で、もし「18歳以上対象」という場合、18歳は対象で、17歳は対象外となります。

なおこのとき、「18歳以上」というのは一般的に「満18歳以上」を指します。「満年齢」とはあまり難しく考える必要は無く、今は何歳か、ということです。「現在の西暦」−「誕生年の西暦」を計算して、今日時点で今年の誕生日を迎えていれば、その数字が今日時点の満年齢となります。誕生日がまだの場合は、その数字から1を引いた数が、今日時点の満年齢です。

例えば今日が2022年9月30日だとします。2004年10月1日生まれの人は、「2022」−「2004」で18、そして今日時点ではまだ2022年の誕生日を迎えていないため「満17歳」となります。一方もし今日が2022年10月1日ならば、「満18歳」となります。

「以下」もその数字を含む

なお「以下」も「以上」と同じ考え方で、一緒に使用される数字を含むことが重要なポイントです。

例えば「18歳以下は入場できません」と案内がある場合、18歳も含め17歳、16歳…と下の年齢の人は入場できません。19歳の人は入場できます。

  • 「以上」についてわかりやすくご紹介します

    「以上」「以下」と表現する際の範囲は、その直前の数字を含みます

その他の範囲を表す言葉 「超える」「超過」「未満」との違い

「以上」や「以下」と似たもので「超える」「超過」「未満」という言葉があります。どの言葉も数字と一緒に使用されることが多く、「以上」と同様にその数字を含むのか迷いがちです。その意味をわかりやすくご紹介します。

「超える」と「超過」はその数字を含まない

「超える」と「超過」は、「以上」「以下」とは違い、一緒に使用される数字を含みません。「超える」と「超過」は同じ意味で使用できます。

例えば、「彼の年収は1,000万円を超えている」という話を聞いた場合、彼の年収は1,000万円ではなく、1,000万1円以上であるという意味になります。他にも、「10㎏を超過する荷物は持ち込めません」という場合は、ちょうど10kgの荷物は持ち込みが可能ですが、10.1㎏の荷物は持ち込めません。

「未満」もその数字を含まない

次に「未満」です。この「未満」も「超える」「超過」と同じく、一緒に使用される数字を含みません。

例えば、「10歳未満は無料です」と表記があった場合、9歳の人は無料ですが、10歳の人は有料です。他にも、「このアトラクションは安全のため、体重20kg未満の方はご利用いただけません」と看板に記載されていた場合、20kgの人はアトラクションに乗ることができますが、19.9kgの人は乗ることができません。

「以上」などを記号で表すと?

言葉では混乱することも多い「以上」「以下」「超える」「超過」「未満」ですが、記号で表現することもできます。

まず記号は「≧」「≦」「>」「<」の4種類です。それぞれ読み方は「≧」は「大なりイコール」、「≦」は「小なりイコール」、「>」は「大なり」、「<」は「小なり」です。

「以上」を表す場合は「≧」、「以下」を表す場合は「≦」を使います。例えば、「A≧6」だとAは6よりも大きい数字か、または6であるという意味になります。

「超える」「超過」「未満」の場合は、一緒に使用する数字を含まないため「>」「<」という記号を使います。「超える」「超過」を表す場合は「>」、「未満」は「<」です。例えば、「A>6」の場合は、Aは6を含まず、7や8など、6よりも大きい数字のみを表すので、「超える」「超過」の意味になります。

  • 記号で考えると理解しやすいかもしれません

    記号で考えると理解しやすいかもしれません

「以上」の使い方と例文

「以上」について、改めて例文を見ていきましょう。

「以上」の例文

  • 日本では、18歳以上の人は成人とされる
    →18歳を含む。18歳の誕生日を迎えたら成人となり、17歳は成人ではない
  • 20歳以上の人は法律的に飲酒が認められている
    →20歳を含む。20歳の誕生日を迎えたら飲酒が認められており、19歳は飲酒できない
  • 今年のイベントは3万人以上の動員を目指す
    →3万人を含む。もしも動員数の結果が3万人なら目標達成。29,999人なら、目標未達成となる

数字以外に、単語に使用することも

なお「以上」などの言葉には、数字を使用せずに、単語とともに使うケースもあります。

例えば、「小学生以上は有料です」という場合は、小学生を含むので、小学生や、中学生などは有料で、幼稚園児などの未就学児は無料という意味です

さらに「彼は期待以上の成果を出した」「この結果は予想以上だ」などの意味は、「彼は、期待していた成果よりもさらに良い成果を生み出した」「自分が予想していた結果よりも良い結果が出た」となります。

また例えば「友達以上恋人未満」については、「友達よりも親しいが恋人ではない」などの意味で使われています。ただしこれらの表現をする場合の定義は、数字を含めた際の「以上」よりもあいまいになりがちで、あくまで人の感覚や考えに基づいているようです。

なお「超える」について、「彼は期待を超えてきた」という文章の場合は「彼は期待よりもさらに良い結果を出した」といった意味になります。

「超過」の例文としては、「レンタルDVDの返却期限を超過しているので、追加料金が発生します」などがあるでしょう。これは「返却期限までにDVDを返却しなかったので、返却期限より後の分について追加で料金を支払う必要がある」ということを意味します。

英語で「以上」は?

英語で「以上」という言葉を表現する方法をご紹介します。

英語で以上は「or more」

「以上」を英語で表現する場合は「or more」などが一般的です。例文をご紹介します。

I have lived here for 15 years or more.
(私は15年以上ここに住んでいます)

You can eat 6 apples or more.
(6個以上りんごを食べて良いですよ)

I think her son is 3 years old or more.
(彼女の息子は3歳以上だったと思います)

なお、「over」「more than」なら、基準の数を含まない、つまり「超える」「超過」の意味で使用できます。また、「以下」は「or less」、「未満」は「under」「less than」などが使えます。併せて覚えておくといいでしょう。

  • 「以上」を英語で表現するときは「or more」などが使用できます

    「以上」を英語で表現するときは「or more」などが使用できます

「以上」はその数字も含まれる

「以上」、また併せて「以下」「超える」「超過」「未満」の意味や例文をご紹介しました。なかなか覚えにくい言葉ですが、「以上」「以下」は一緒に使用する数字を含み、「超える」「超過」「未満」は一緒に使用する数字を含めない、と覚えましょう。

また、英語表現も覚えておくと便利でしょう。