日本人の主食のひとつ、うどん。昔から「関東はそば、関西はうどん」なんて言われますが、今、東京の街中を歩けばどこにでもチェーンのうどん屋さんがあります。むしろ、そば屋さんでもうどんを注文でき、非常に身近な存在になっていることは間違いありません。

中でも大きな存在感を持つのは、"うどん県"とも一部で呼ばれる香川県にルーツを持つ「讃岐うどん」ではないでしょうか。過去を遡ると、2002年にはなまるうどんが、2004年に丸亀製麺が東京に進出、2006年には本広克行監督の映画『UDON』が公開になるなど、ゼロ年代を境に東京のうどんシーンは大きく変化。一昔前にあった、関西のダシが効いた透明なダシに対し、関東は醤油の入った黒いダシであるという"ダシの濃淡の二元論"に、讃岐うどんの浸透により「歯応え」という新しい要素がもたらされました。

ファストフードでありながら、ラーメンやハンバーガーなどに比べても安価で、脂質が少なく、でもお腹を膨れさせてくれるうどん。もはやオフィスパーソンの強い味方ですね!

というわけで今回は、代表的なうどんチェーン「はなまるうどん」、「丸亀製麺」、「杵屋」、「なか卯」の4チェーンのテイクアウトメニューを購入し、実際に食べて比較してみようと思います。

  • 右上から時計回りに丸亀製麺、杵屋、なか卯、はなまるうどん

人気チェーン、それぞれの特徴は?

まずは各チェーンについて、それぞれの特徴を紹介します。

国内最大規模を誇る「丸亀製麺」

トリドールグループ傘下である「丸亀製麺」は、讃岐うどんを扱っています。2000年に兵庫県加古川店からスタートして、2004年に東京初出店、2018年には1,000店舗目を出店するなど、うどんチェーンで最大の事業規模を誇ります。

  • 「ぶっかけうどん(冷)」(並 320円 +容器・包材代 30円)

    「ぶっかけうどん(冷)」(並 320円 +容器・包材代 30円)

国内の全都道府県に店を構え、海外では11カ国200店舗以上が展開されています。香川県丸亀市に店舗がないそうで、一時物議を醸したりもしましたが、世界にもっともうどんを売り込んでいる存在なのは間違いないでしょう。アメリカ、インドネシア、カンボジア、台湾、中国、フィリピン、ベトナム、香港、ロシアを訪れる際は、丸亀製麺を探してみるのもおもしろいかもしれません。ちなみに海外で店舗数が最も多いのは台湾だそうです。

店舗は、お客さんがお盆を持って厨房前のカウンターに並んで注文し、自分で席に持っていくセルフ形式を採用しています。

実は吉野家グループ傘下の「はなまるうどん」

「はなまるうどん」は、こちらも讃岐うどんを扱っています。2000年に香川県高松店からスタート、2002年に東京初出店、500店舗以上を出店しています。現在牛丼チェーン「吉野家」を展開する吉野家グループ傘下です。

  • 「ぶっかけ(冷)」(小 320円)

    「ぶっかけ(冷)」(小 320円)

国内45都道府県に出店し(佐賀県と宮崎県に店舗なし)、海外では、中国・上海とマレーシア・クアラルンプールに店舗を構えます。香川県高松市創業であることから、ホームページには「讃岐生まれの」いうコピーが自慢げに踊っています。東京進出も丸亀製麺より早いので、「讃岐うどんのお店」というとはなまるうどんを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

こちらも、丸亀製麺と同じくセルフ形式を採用しています。

創業50年の「杵屋」

「杵屋」は、讃岐の伝統的な手打ちうどんの技法を取り入れ、ダシは関西風の薄味、というハイブリッドなうどんを提供しています。1971年に奈良県奈良市からスタート、1977年に東京初進出、国内25都道府県に95店舗を出店しています。大阪府、兵庫県に多いチェーンです。グルメ杵屋グループ傘下です。

  • 「杵屋のきつねうどん」(670円)

    「杵屋のきつねうどん」(670円)

同じグループに、「四季めん処 めん坊」、「めん茶屋 きなさ」、「手打うどん工房 穂の香」、「讃岐うどん みのり」、「讃岐製麺 麦まる」、「自家製麺 杵屋麦丸」など複数のうどんチェーンを有しています。「麦まる」はアメリカに、「杵屋麦丸」は2020年にイギリスに新たに進出するなど、歴史が長いながらに新しい挑戦に取り組んでいます。

店舗は、席まで店員さんが注文を取りに来てくれて、料理も配膳してくれるシステムです。うどんとどんぶりの定食メニューなどもあり、しっかり食べられるお店になっていて、ほかのチェーンより価格帯がすこし上のお店になります。「実演手打うどん」と看板にある店舗では、お客さんに見えるスペースでうどん打ちの実演を行っていたり、お酒やおつまみなどを扱う店舗があったりします。

京風うどんで有名な「なか卯」

なか卯は、京風うどんを扱いますが、どんぶりメニューも豊富で、牛丼をメインに訪れるお客さんも多いのではないでしょうか。牛丼チェーン「すき家」などを展開するゼンショーグループ傘下です。

  • 「はいからうどん(温)」(並 290円)

    「はいからうどん(温)」(並 290円)

1969年に大阪府茨木市からスタート、1989年に東京初進出、国内38都道府県に464店舗を展開しています。京都にもっとも店舗があるチェーンです。海外への出店はないそうですが、どんぶりメニューの豊富さを武器に、今後の展開に期待です!

店舗は、食券機で食券を買って、料理は店員さんが配膳してくれるシステムになっています。