この秋にスタートした『らせんの迷宮~DNA科学捜査~』(テレビ東京)と『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS)という2本の連続ドラマに出演中の倉科カナ。11月18日にはさらに、“赤ちゃん縁組”(新生児の特別養子縁組)をテーマとしたドキュメンタリードラマ『命のバトン』(NHK BS1 11月18日20:00~)が放送される。女優として円熟味を見せる倉科が「覚悟を持って挑んだ」と明かす『命のバトン』の撮影秘話と共に、コロナ禍で変化があったという女優業への向き合い方について語った。

  • 倉科カナ

倉科は「コロナの自粛中に、エンターテインメントの力みたいなものを改めて考え直したというか、見つめ直しました」と述懐。「私自身が政治家になって、何かを180度変えることなんてできないけれど、エンターテインメントを通じて1人でも多くの人が元気になってもらえたら、少しずつでも世界は変わっていくんじゃないかなと思っています。そう考えていた矢先に、『命のバトン』のお話をいただきました」と語る。

『命のバトン』で倉科が演じるのは、児童相談所の職員、成瀬千春役。ある日、予期せぬ妊娠をした高校生の桜田結(鈴木梨央)と出会い、彼女の悩みを聞く。その後、結の心に寄り添うなかで、選択肢の1つとして特別養子縁組制度を結たち家族に紹介することに。

倉科と鈴木はフジテレビ系ドラマ『よろず占い処 陰陽屋へようこそ』(13)以来、8年ぶりの共演となった。「当時、梨央ちゃんはまだ小学生でしたが、久々にお会いしたら、とても立派で素敵な女性になっていました。しかも今回、赤ちゃんを宿すという役柄! なんていうか、大きくなったなあと、すごく感慨深かったです」

鈴木との共演シーンでは、心を鷲づかみにされたと言う。「梨央ちゃんは、本番に向けて気持ちを高めていかれる方で、集中力もすごいです。台本に涙すると書かれてないところでも、気がつけば涙が溢れ出てしまうような女優さん。幼い頃にご一緒した時も、すでにしっかりしたお芝居をされていたし、本人もすごく頼もしい子だなと思いましたが、今はそれにも増して、力強い女優さんになられていたので、度肝を抜かれました」

倉科は台本を読んだ時、女優としての使命感を強く抱いたそうだ。「とても大切な題材を扱った作品なので、私はいち役者にすぎないのですが、千春役を演じることによって1人でも多くの小さな命が守られれば良いなあと思いました。思いがけない妊娠をして、1人で抱え込んでしまった結果、最悪の事態を招くこともあるけど、いろんな人に相談することで、赤ちゃんもその母親も救われるんだなと。本作は、そういう選択肢があるというメッセージを伝えられる作品だと思ったので、ぜひ参加させていただきたいと思いました」

虐待で死亡する子どもの年齢に「生後0歳0カ月0日の赤ちゃん」が最も多いという事実はあまり知られていない。倉科自身も「確かに私もニュースを観ていて、赤ちゃんの虐待死などの報道が多いなあと感じていました。でも、撮影前にいろんな資料を拝見したら、実際に目にした数字の多さに驚愕しました」と動揺を隠せなかったとか。

本作のドラマパートでは、生まれてくる尊い命を1人でも救おうと、愛知県の児童相談所が、全国に先駆けて取り組んできた「愛知方式」とも呼ばれる赤ちゃん縁組が描かれていく。「愛知方式」では生まれた子どもを、乳児院を経ずにそのまま育ての親に託す点に特徴がある。親子の間に自然な絆が結ばれやすいと注目されている。

「私自身、『愛知方式』については知らなかったので、そこをちゃんと伝えられたらと。不妊に悩む方々にもこういった愛知方式を知っていただきたいなと思いました」