長きにわたる景気の低迷や、とくに昨今のコロナ禍で日々の暮らしや将来に漠たる不安を覚えている人は多い。今後の生活をより安定したものにするために、日頃から貯蓄に励んでいるという人もいることだろう。

効率的に貯蓄するために倹約を心がけ、様々な節約術を実践しているということもあるかもしれない。だが反対に、この節約術はあえてやっていない、というケースはあるのだろうか。

そこで今回は、 貯蓄1,000万円以上のマイナビニュース男女会員358人を対象にアンケート調査を実施。「あえてやっていない節約術と、その理由」などを聞いた。

  • 貯蓄1,000万円以上の人の、あえてやっていない節約術って?

Q.あなたは1,000万円以上の貯蓄がありますか?

「はい」(44.3%)
「いいえ」(55.7%)

Q.あなたがあえてやらない節約術はありますか?

「はい」(66.2%)
「いいえ」(33.8%)

Q.あえてやっていない節約術の具体的な内容を教えてください(自由回答)

■「食費を削る」

・「健康にかかわるので食費は節約しない」(43歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「飲食に関わることにはお金は惜しまない」(44歳男性/総合商社/営業関連)
・「健康を損なっては意味がないので、食費を極端に削ること」(42歳男性/食品/営業関連)
・「食費のうち、野菜と果物は新鮮な良いものを買う」(59歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「栄養をつけるため、野菜はけちらない」(34歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「食費を削ること。健康なくして節約できないから。最高の武器は、肉体」(27歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「食費の節約術はやりません。体を壊したら逆にお金がかかってしまうためです」(45歳男性/その他/専門職関連)
・「食は幸せをもたらすので、食費を過度に削ることはしない」(33歳男性/専門コンサルタント/営業関連)
・「美味しい物を食べることが大事なので、食費にはお金を掛けるように心掛けています」(54歳男性/その他/技能工・運輸・設備関連)
・「新鮮な商品を買いたいので、期限切れギリギリの割引商品は購入しない」(47歳男性/サービス/営業関連)
・「インスタントラーメンを頻繁に食べるなどです。安いですが、体に悪影響があるから、長い時間で見ると病院代がかかるなどマイナス影響があるからです」(52歳男性/電力・ガス・エネルギー/営業関連)

■「エアコンの使用を控える」

・「エアコンの設定温度は、暑いときには26度くらいにしている」(46歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「快適な空調で過ごしたいので、エアコンにかかる電気代の節約はあえてやらない」(41歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「快適に過ごしたいと思うので、エアコンに掛かってしまう電気代は仕方ないです」(41歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「エアコンの電気代。節約して熱中症等になり、体調を崩したくない」(59歳女性/化粧品・医薬品/その他技術職)
・「熱中症を防ぐために、エアコンは躊躇することなく付けるようにしている」(37歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「エアコンはつけっぱなし。真夏の暑い日に帰ってきて、部屋が暑いのがとても嫌。帰った瞬間に涼しく、快適にしたいため」(48歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「ペットがいるので、エアコン代の節約はやっていない」(31歳男性/エステティック・美容・理容/販売・サービス関連)
・「最近ですが、エアコン代をケチらないようにしています。ケチって熱中症になったら元も子もないからです」(49歳男性/ホテル・旅館/事務・企画・経営関連)

■「水道・光熱費の節約」

・「パソコンはスリーブ状態にしておく」(55歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「テレビのメインスイッチは切らない。起動が遅いので」(56歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「待機電力を気にして、こまめにコンセントを抜くこと。気にしすぎることで神経質になるので」(45歳男性/通信関連/事務・企画・経営関連)
・「待機電力を考えて、いちいちコンセントからプラグを抜く人がいるが、私は抜かない」(46歳女性/教育/事務・企画・経営関連)
・「キレイな服装で介護をしたいので、水道水の節約はやっていない」(52歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「お風呂の水を洗濯に使わない」(54歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「お風呂は熱い湯に入りたいので、追い焚きは惜しみなくする」(55歳女性/専門店/販売・サービス関連)
・「トイレのタンクにペットボトルを入れる方法。トイレのレバーが壊れてしまう危険性があるので、絶対やりません!」(48歳女性/食品/営業関連)
・「トイレのタンクにペットボトルを入れない。トイレの水を流すときは風呂の水を使わない。詰まる原因だから」(43歳男性/サービス/クリエイティブ関連)
・「水道・電気・ガス代金については基本的に節約はしていませんね。家族がすでに無駄な使い方をしてないのに慣れているのもありますが、毎回想定内の料金になっているので」(49歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「電気代・水道代など生活に関するものでは節約はやらない。そのほかに、食費に関してもあまり安いものばかりにしようとは思わない」(40歳男性/その他/その他・専業主婦等)

■「外食費・交際費の節約」

・「ストレスをためないように、月一で外食する」(31歳女性/その他電気・電子関連/IT関連技術職)
・「日曜日は、お金の糸目もつけずに好きなものを食べる」(42歳男性/食品/販売・サービス関連)
・「家族と楽しむ時間を作りたいので、月2回は外食をする」(47歳男性/医療用機器・医療関連/その他・専業主婦等)
・「食べることが好きなので、食べることに関してお金は気にしない」(43歳女性/ドラッグストア・調剤薬局/その他技術職)
・「外食はやはり、自分が食べたい欲求を素直に実行します。そのため安さを求めたり、速さを求めたりすることは一切なく、本当にその時食べたいものを、お金をいとわず食べる事は実行してます」(53歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「このコロナ禍で気安くは行けなくなったので、外食する機会があれば友人とのランチであろうと少し豪華だったり、あまり金額にこだわらず食べたい好きなものを食べるようにしています」(52歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「普段は健康のため粗食を心掛けているが、何かのイベントごとの時などは、できるだけ豪華な食事にする。メリハリをつけるようにしている」(50歳女性/その他/専門サービス関連)
・「自炊の手間を無くしたいので、ほぼ外食で済ませている」(47歳男性/物流・倉庫/販売・サービス関連)

■「無理のある節約・続かない節約」

・「ストレスになる節約はしない(買いたいものを我慢するなど)」(40歳女性/総合商社/事務・企画・経営関連)
・「やせ我慢して、あとでリバウンド消費にならないようにする」(43歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「やっていてストレスを感じる節約術はやらないようにしている。具体的に言うと、暑い日の冷房は遠慮なくガンガン使うようにしている。食事は栄養のバランスを第一に考え、食費の優先順位については下げる、など」(31歳男性/コンピューター機器/IT関連技術職)
・「ストレスがたまりそうなので、電気・ガス・水道代の節約はしていない。逆に無駄になりそうなので、自炊をしない」(49歳男性/食品/販売・サービス関連)

■「セール品や安売り店の利用/大量買いやまとめ買い」

・「チラシを見てスーパーのはしごをすること」(56歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「安物買いの大損は、したくないです。結局は安さだけに執着して、本来、全く価値の無いものに持ち出しの金銭を支払うことになってしまいます」(38歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「日用品や毎日使うもの、長く使うものは値段で選ばない(安いもので揃えない)」(28歳女性/海運・鉄道・空輸・陸運/その他・専業主婦等)
・「食品や生活必需品の底値を追い、一円単位で節約すること。スーパーのチラシには目を通すが、細かい金額をあまり意識しすぎるのもストレスになるので、月々の予算を守れたらOKとしている」(36歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「食べきれない食品をなくすため、まとめ買いで安くなるセールは利用しない」(58歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「食品のまとめ買いは便利だが、結局廃棄してしまうこともあるのでやっていない」(44歳男性/サービス/その他技術職)

■「医療費・健康関連費を削る」

・「体に負担がかかる節約は、病気になったら大きな出費になるのでやらない」(56歳男性/不動産/その他・専業主婦等)
・「命にかかわる部分の節約は考えていません。暑い日のエアコンの利用や設定温度、寒い日のガスヒーター、かかりつけ医での検診と予防接種、歯科検診、眼科検診、細かいところで言うと消毒、除菌アルコール、マスクを替える頻度、その他除菌グッズなどです」(59歳男性/教育/事務・企画・経営関連)
・「身体を鍛える等の健康維持にかかる費用として、民間のジム代やオリーブオイル等の購入代等の節約はあえてやっていません」(37歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「定期的に歯科医に行くこと。いつまでも自分の歯で食べたいから、日頃からのケアを大切にしている」(41歳男性/教育/クリエイティブ関連)

■「趣味・娯楽費を削る」

・「自分の好きなゲームに関しては、節制せず楽しむこと」(37歳男性/広告・出版・印刷/クリエイティブ関連)
・「自分の趣味に関しては節約できていない。有料テレビ(CSやWOWOW)、昆虫飼育の用品など」(51歳男性/ソフトウェア・情報処理/メカトロ関連技術職)
・「コンサートには定期的に行く。またアフターコンサートの人付き合いも削らない」(54歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「古本屋でよい本が見つかったら、迷わず買うこと。また今度などと考えていると、機会を逃してしまうから」(41歳男性/教育/クリエイティブ関連)

■「省エネ家電や節電グッズなどの導入」

・「電気代を節約するために最新家電に替えることはやってない」(45歳男性/不動産/事務・企画・経営関連)
・「旧式の家電をまだ使えるのに処分するのがかわいそうで、最新の省エネタイプに買い替えていません」(58歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「太陽光発電の導入。ハイブリットカーへの買換え。ペイメントでの決済」(53歳男性/不動産/専門職関連)

■「通信費の節約」

・「携帯の変更。ネット専門のプランが多くて面倒なので」(40歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「スマートフォンは節約しない。2年毎に購入し、その時点でハイスペックな機器を保持する」(57歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「インターネット通信の安定のため、通信費の節約をやっていない」(36歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)

■「株式など金融商品の購入」

・「株や投資、金などリスクがある物はやらない!」(50歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「株式や金融商品はあえて購入しないようにしている」(50歳男性/流通・チェーンストア/IT関連技術職)
・「固着した銀行預金、生命保険、余ったお金は投資にまわす事」(55歳男性/コンピューター機器/IT関連技術職)

■「お酒、タバコなど嗜好品を削る」

・「ビールが大好きなので、お酒代の節約はしない」(53歳男性/その他電気・電子関連/営業関連)
・「ビールは発泡酒とかにせず、好きなものを飲む」(43歳男性/輸送用機器/メカトロ関連技術職)
・「好きなものをあまり制限しないで、無理なく節約している。たとえばたばことか。無理があると続かないので、コツコツ貯めるようにしている」(39歳男性/その他/その他・専業主婦等)

■「その他」

・「生命保険をやめる」(49歳男性/食品/事務・企画・経営関連)
・「ネット専業証券は手数料が安いが、少し高くても大手証券で契約している」(53歳女性/専門店/販売・サービス関連)
・「お店のポイントカードでスタンプを貯めること。たいてい期限までに貯められないから」(51歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「家電製品など安価なものに手を出さず、故障なく長期使用で節約する」(46歳男性/輸送用機器/事務・企画・経営関連)
・「節約自体があまり好きではないので、全般的にやりません。例えば欲しいものがある時は、二番目三番目を選ぶのではなく、必ず自分に自問して一番を選ぶようにしています」(52歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「ここ1~2年の話なのですが、運気が下がる行為(掃除用具や掃除系の消耗品をケチって掃除の頻度を下げる、洗濯物を貯めすぎる、着られなくなった服や靴をいつまでも捨てずにしまっておく等)をしないようにしています」(49歳男性/ホテル・旅館/事務・企画・経営関連)
・「靴は安物を履かない」(36歳男性/不動産/専門職関連)

■総評

調査の結果、マイナビニュース会員のうち、貯蓄1,000万円以上の人は44.3%。その中で、およそ3分の2の66.2%の人が、"あえてやっていない節約術"があることがわかった。

続いて、あえてやっていない節約術の具体的な内容を聞いた。主なものとして、「食費を削る」「エアコンの使用を控える」「水光熱費を節約する」「外食費・交際費などを節約する」「無理のある節約・続かない節約」「セール品や安売り店の利用/大量買いやまとめ買い」「医療費・健康関連費を削る」「趣味・娯楽費を削る」「省エネ家電や節電グッズなどの導入」「通信費の節約」「株式など金融商品の購入」「お酒、タバコなど嗜好品を削る」などが寄せられている。

多くの人が挙げた「食費を削る」はなによりも、食材の質や量を落とすことで健康や体調を損ねては元も子もないという意見が多かった。「医療費・健康関連費を削る」もまた、健康や体調面を犠牲にしてまで節約をする意味はない、という意見だ。

「エアコンの使用を控える」は本来、「水光熱費の節約」に含まれる項目だが、熱中症等になることを懸念して、とくに「エアコン」に関しては節約の対象にはしていないという人が非常に多かった。酷暑が増えた日本の夏を快適に過ごすためには、今やエアコンは必需品と言えるだろう。

また、食べることは大きな楽しみであり、そこに妥協したくない気持ちも大きい。「外食費・交際費などを節約する」は、その"食の楽しみ"に焦点を当てた回答となった。同様に「趣味・娯楽費を削る」「お酒、タバコなど嗜好品を削る」も節約による、主に精神的なマイナス面を指摘している。

「セール品や安売り店の利用/大量買いやまとめ買い」は、「せっかく節約を試みたものの、結局は無駄だった」といった実体験が影響しているようだ。

「無理のある節約・続かない節約」は特定の節約術というよりは、節約に関する考え方や姿勢に関するもの。健康や精神面に無理が生じるような節約であれば、あえてやる必要はない、ということだろう。今回の、"あえてやっていない節約術"のベースにある思考とも言えそうだ。

今回の調査では、貯蓄1,000万円以上のマイナビニュース会員の7割近くの人に、"あえてやっていない節約術"があることがわかった。理由としては健康や体調にマイナスの影響があったり、快適な生活を犠牲にしたり、ストレスを感じるような節約は行わない、という傾向がうかがえた。

ただ、これは貯蓄1,000万円以上の人に限らず、多くの人に共通する感覚かもしれない。とくに、「エアコンの使用を控える」「医療費・健康関連費を削る」などは、ことによると生死に関わるだけに決して軽視はできない。くれぐれも「無理のある節約・続かない節約」は控えたほうがよい。今回は、そんな感想を抱かせるアンケート結果となった。

調査時期: 2021年9月19日
調査対象: 貯蓄1,000万円以上のマイナビニュース男女会員
調査数: 358人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません