JR九州が所有し、九州鉄道記念館(北九州市門司区)で開館当初から展示している「キハ四二〇五五号気動車」(キハ07形41号)について、国の文化審議会で「重要文化財(美術工芸品)に指定すべき」との答申を受けたと発表された。

  • 「キハ四二〇五五号気動車」(キハ07形41号)外観

答申通り指定を受ける運びで、九州にある鉄道車両としては初めて、気動車としては日本で初めての重文指定となる。

大きな曲線を描く前面に6枚窓を備えた独特の形状が特徴的な同車両は、日本車輛製造にて1937(昭和12)年に製造。戦前の代表的な「機械式気動車」(クラッチで変速する方式)で、連結運転を行う際、双方の運転士が合図しながら走ったという。1952(昭和27)年にガソリンエンジンをディーゼルエンジンに変更しており、1957(昭和32)年から豊後森機関区に配置され、国鉄宮原線で運用。1969(昭和44)年に引退し、2003(平成15)年から九州鉄道記念館に展示されている。

  • 「キハ四二〇五五号気動車」(キハ07形41号)車内

文化庁は今回の答申に関する報道発表資料の中で、同車両を「昭和戦前期の流行であった流線型車体の本車両は、車体や内装の多くに製造時の姿をとどめ、昭和初期の旅客車の現存例として重要である」と評価。「なかでも機械式の変速装置が残される唯一の同形車両として注目される」とした。さらに、「車体の大型化と軽量化、ガソリン機関の出力向上と運行速度の高速化、車両の国産化と標準化を達成し、我が国の気動車の技術発達史を俯瞰するうえで貴重であり、鉄道史、社会・経済史、科学技術史上に重要である」とし、文化財としての価値を認めている。