園子温監督のハリウッドデビュー作でニコラス・ケイジ主演の映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』の公開記念舞台あいさつが9日、都内の劇場で行われ、園監督、栗原類、坂口拓(TAK∴)、中屋柚香が登壇した。

  • 栗原類

『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』『新宿スワン』などを世に送り出してきた鬼才・園子温。2019年に心筋梗塞で倒れるも復活し、ハリウッドデビューを果たした。本作はサムライタウンを舞台に、ニコラス演じる悪名高き銀行強盗ヒーローが、世界を牛耳る悪徳ガバナー(ビル・モースリー)の魔の手から逃れたバーニス(ソフィア・ブテラ)を連れ戻すために奮闘するストーリーが展開される。

「15年以上前からハリウッドで映画を撮りたくて何度もオーディションに行っていた」という園監督は、念願のハリウッドデビューに「感無量。すごいうれしいです」と喜び。「2年前に心筋梗塞で倒れる前、この映画がメキシコ舞台の西部劇になるはずだった。倒れてからニコラスが心配してくれて『日本で撮影をしよう』と提案されて、こうなった。そこから180度、映画が変わった。心筋梗塞のせいでというよりは、心筋梗塞のおかげでこんな奇妙な映画が作られた。いまは自分の心筋梗塞にありがとうと言いたい」と思いを吐露した。

園監督と同じくハリウッドデビューとなった栗原は、本作で不思議な街ゴーストランドの住人で、人間をマネキンに閉じ込めるキュリを演じた。奇妙なキャラクターだが、「文字にするとシュールな役柄ですけど、僕はこういう色物系の役をやることが多い。監督の『みんな!エスパーだよ!』でもエスパー役だったし、地球外生命体を演じることが多い。だからこの役のアプローチは割とスムーズだった」と役作りを振り返った。

共演したニコラスとは「かなり話す機会があった」といい、「ハリウッドスターだけどそれを全然出すことなく、気さくで話しやすいお兄さん。第一線で活躍されている所以の一つだと思った」と明かす。また「本番には入ったときの集中力が日本人俳優に出せないようなもので、圧倒されて勉強になりました」とハリウッド流の仕事の姿勢を学んだという。

ニコラスについて、園監督も「ニコラスとは撮影前に一緒に安い居酒屋に行った。新宿のゴールデン街で飲んで、カラオケに行った。ボディガードが1人もいない状態で」とスターらしからぬフレンドリーな交流を告白。撮影中「ニコラス・ケイジだと忘れる」ほど気さくで、「すごく謙虚で、いい意味でスター性の微塵も感じない。何も考えずに演出していました」と人柄を語った。

ニコラスと「LINEともだち」の園監督は、出来上がった本作をLINEで送ったところ「すばらしい。ファンタスティック!」と褒めてくれたと報告。また、ニコラスは本作に出演していた日本人女優と出会い、5度目の結婚を果たす。園監督はまさに「キューピット」で、「ニコラスは日本でもう一度式を挙げたいと言っていたので、そのときは仲人をしたい」と笑顔だった。