「クリエイティブの力で企業や社会の課題を解決していきたい」と語るのは、映像制作を中心にデジタルマーケティングや企業ブランディングを手掛けるXYOU(エックスユー)の代表取締役社長・瀧澤壮氏。グーグルやヤフー、アマゾンに次ぐ検索エンジンとなったYouTubeを、企業は今どのように活用すれば良いのか? また、企業や経営者がSNSなどで情報発信する際のマナーや注意点にはどんなものがあるのか?

本稿では前回に引き続き、税理士でありながら幾つもの事業を立ち上げてきた連続起業家のSAKURA United Solution代表・井上一生氏が、瀧澤壮氏と対談を行いました。

  • 左からXYOU 代表取締役社長・瀧澤壮氏、井上一生氏

YouTubeと相性に良い事業領域

井上一生氏(以下、井上):企業がこれから自社でYouTubeチャンネルを開設したいと思ったら、どのような可能性があるでしょうか?

瀧澤壮氏(以下、瀧澤):ユーチューバーであれば、広告収入+インフルエンサーとしての影響力を活かした企業とのコラボがキャッシュポイントになります。ですが、一般企業にこれを当てはめるのは難しいというのが実状です。

YouTubeと相性が良いのは、例えばBtoCビジネスや物販事業をしている企業などです。自社の商品やサービスを、具体的な使い方まで動画で伝えることで顧客を増やしたり、顧客との関係を深めたりすることができます。

キャンプ用品を販売しているとすると、購入者が購入前にみたいであろう動画をYouTubeにアップしておく。例えば、商品の比較動画や紹介動画です。また一方で、購入後にみたいであろう動画も、YouTubeにアップしておきます。商品の使い方を動画で伝えます。ニーズによって動画を分けて複数アップしておくことで、購入前だけでなく、購入後の接点を生んだり、アフターフォローが動画でできるようになります。以前は、店頭で店員さんが説明していたことを動画でやるイメージですね。

井上:なるほど、それは良いですね。今はコロナの影響もあって来店しにくいですから、動画によって顧客との接点を増やし、関係を深めることが重要ですね。それも、誠実に情報を伝えることがますます重要になってきますね。

瀧澤:仰るとおりです。

映像コンテンツを会社の資産にしていく

井上:瀧澤さんは、今からでも企業がYouTubeに取り組むことは遅くないと思いますか?

瀧澤:はい。まだまだこれからだと思います。個人ユーチューバーの人気の取り合いは飽和化していますが、企業のYouTube活用はこれからさらにニーズが高まります。

今は、「税理士法人」でYouTube検索しても全国の1~2%ほどの税理士や会計事務所しか検索結果に出てきません。今なら、いくつか動画をアップしているだけでYouTube上に存在できます。しかし今後は競争相手が増えますから、何でも動画をアップすれば良いわけではなく、クオリティ勝負になっていくと思います。

私はよく、「映像を資産化する」という言葉を使っています。資産形成となる映像コンテンツを、今からコツコツつくっていく。例えば、会社の冠番組をつくるイメージです。

最近は、これまで主にTVで情報収集をしていた40~60代の方々が、ユーザーとしてYouTubeを見ています。それらの人たちに対して、企業が広報室的な専用番組をYouTube上に持つ。また、もともとYouTubeに多い20~30代のユーザー向けに人事採用室的な専用番組をYouTube上に持つ。そうすることで、販促や採用に動画を活用していただけます。アイディア次第で、活用方法は無限にあると思います。

井上:XYOUさんでは、企業が映像制作を内製化したとしても、ある程度の品質を担保して量産できる仕組みの構築までサポートしていますし、動画企画から運用までをワンストップで対応していますよね。そこが、他の制作会社にはなかなかない点で良いと思います。

瀧澤:ありがとうございます。SNSの種類も増えていますから、企業が広報や採用の面で取り組むことも増えたと思います。すべてに取り組むことは難しいですが、重要なところを押さえて重点的に行うことは可能だと思うので、そこをサポートしていきたいですね。

SNSでやってはいけないことは「悪口」「批判」「愚痴」

井上:では最後に、SNSでやってはいけないこと、マナーについて教えてください。

瀧澤:今はSNS等で個人も企業も情報発信しやすくなったのですが、それは「攻撃もされやすくなった」ということです。攻撃したら必ず返って来ることを意識して情報発信する必要があります。

悪口や他者批判(他社批判)、愚痴はNGです。「自分の(自社の)投稿は、見られていないようで想像以上に見られている」という意識が重要ですね。一度発信した情報は残ってしまいますから、すぐにはなにも起こらなくても、後々火種になってしまうこともあります。

あえて批評家として批判的な内容を情報発信するなら否定しませんが、批判や悪口を投稿しても良いことはありません。動画をアップロードする際に、「この動画を世に出すと、だれかを幸せにするか、だれかのメリットになるか」を考えてから公開することが必要だと思います。

井上:自分や自社の投稿によって、人を不快にしないことですね。本日は、ありがとうございました。