女優の広末涼子が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、あす3日に放送される『母と息子のやさしいごはん ~親子の大切な居場所~』。新型コロナで崖っぷちに追い込まれた、小さな定食屋を切り盛りする母と息子に密着した作品だ。

息子を持つ母親という立場をはじめ、様々な点で共感したという広末。収録を終え、「何回か泣きそうになってしまいました」と切り出した――。

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した広末涼子

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した広末涼子

■「死にたい」と言われた母親の気持ちを想像すると…

息子の大貴さん(28)は中学生の時、突然の不登校に。その現実を受け入れられず、息子に厳しく接し続けた母・貴美子さん(63)。「死にたい」と追い詰められた息子は、発達障害の疑いがあるとの診断を受け、ようやく不登校の“本当の理由”を知った母は、自分を責め続けた。

しかし、自宅で引きこもる中、初めて作った料理を母に褒められたことが大貴さんの人生を変えることに。料理人の道を歩み始めた大貴さんを、母は人生を懸けて支えることを決意し、オープンしたのが、大貴さんが思う存分、料理を作ることができる定食屋だ。

今回の物語に、様々な点で共感したという広末。「思春期の男の子は特に繊細で、周りから順風満帆に見えていても実は考えすぎて深刻になっていたり、『死にたい』と言ってしまう子はもしかしたら意外といるんじゃないかと思います。でも、実際に子供から言われたらどうしてあげたらいいのか……そんなことを母親の気持ちで考えるとすごく胸が苦しくなりました」と語る。

また、「彼を守ってきたお母さんだけではなく、経済面で支え、時に厳しいことを言ってくれるお父さん、お姉さんがいて、家族全員がちゃんとバックアップしているのが見えました。そういう人がいなかったら、大貴さんとお母さんの2人で沈んでしまっていたかもしれないので、それぞれの役割の大切さを感じました」と再確認した。

  • 頭を抱える母・貴美子さん(左)と息子・大貴さん (C)フジテレビ

■息子に手紙…「自分の気持ちとリンクしたんです」

ナレーションを読みながら泣きそうになったシーンがあったという。それは、母が大貴さんの28歳の誕生日に送った手紙の場面。息子への惜しみない愛情がびっしりとつづられており、特に「ママは命の限り大貴を支えます。」と言葉に共感したそうだ。

「一緒に生活していると、わざわざ言わないことですが、こういう機会だからこそ言える言葉もあると思ったんです。私も、息子を海外に送り出すときに手紙を書きました。あんまり愛情をぶつけてしまうと気持ち悪いだろうなと思う一方で、それをわざわざ伝えることで自信や勇気につながればいいなという思いもあって……何度も書き直しました(笑)。ついこの間、また送り出す機会があって。2回目になるしどうしようかなと思ったのですが、やっぱり節目だからもう1回お手紙を書きました。その時の自分の気持ちとリンクしたんです」

そうした自身の経験も踏まえ、「お母さんってある時から、子離れして自立させなきゃいけないという思いから、『大好き』とか『愛してる』とか言わなくなることがあると思います。でも大貴さんのお母さんは、それをちゃんと言えることがすごく素敵だなと思いました」と胸に響いたそうだ。

番組が密着したのは半年という期間だが、大貴さんの大きな成長を感じ取ったそう。「物語の後半になるにつれ、大貴さんがどんどん変わっていき、それが私もうれしかったです。密着のラストはポジティブな終わり方になっていますが、大貴さんの人生のゴールはここじゃない。これからもっと大変な思いをするかもしれませんが、最後にお話しされている彼の姿を、お母さんはきっと涙なくしては見られないだろうなと思います」と想像した。