初の“朝ドラ”の現場は、松村にとってとても大きな経験に。「“朝ドラ”でしか体験できないものがたくさんありました。ほかの作品やお芝居以外のところにも芽が伸びそうな強いパワーを感じ、貴重な体験をさせていただいたなと。これからもこの職業をやる上でものすごく強みになったと思います」と振り返る。
「“朝ドラ”でしか体験できないもの」とは、具体的にどのようなものだったのか。松村は「歴史があり、格式が高い。そういうものに挑むこと自体が“朝ドラ”でしか体験できないものだなと思いますし、1話15分で毎日放送するものを作るのは、1時間、2時間のドラマを作るのとは全然わけが違う。1話1話に物語の展開があり、1話1話にメッセージが込められていて、台本が濃密。それを理解して表現するって、こんなに難しいんだなって、すごく翻弄されました」と語る。
さらに、「“朝ドラ”の入り口はのほほんとしていることが多いですが、演じている皆さんも現場も、のほほんとした気持ちの人は1人もいなかったんだろうなと。1話の中で話が進めば喜怒哀楽がゴロゴロ変わる1日になり、それをこの台本の分量で書いていたのかと思うと、書いている方も怪物だなと思いました」と、“朝ドラ”を作り上げてきたキャスト・スタッフの凄みを感じたという。
“朝ドラ”出演をきっかけに幅広い世代の人が松村のことを知るようになるだろう。その反響への期待を尋ねると、「あの現場を経験できたことが自分のこの先に対してすごく意味があったというか、もっと成長していつか帰ってきたいと思うような場所だったということで僕としては十分なのですが」と前置きした上で、「僕のことを初めて見てくださる方たちに対しては、この作品に何かを見出して『いいな』と思ってもらえたらうれしいなと、作品に対して恩を返せたなという思いになりますし、『この人応援してみようかな』と思ってもらえたら、その気持ちが湧いたことに感謝が生まれます」と謙虚に答えた。
また、「ファンの方の声で、『この作品を通じて祖父母と同じ会話ができる』と言っている方が何人もいらっしゃって、それにハッとしました。自分を媒介して、松村北斗というものを使って、世代を超えて同じ話がされるのだと思い、より自覚や責任感が芽生えました」と語った。
1995年6月18日生まれ、静岡県出身。2012年4月にドラマ『私立バカレア高校』(日本テレビ)で俳優デビュー。2012年10月に『劇場版 私立バカレア高校』で映画初出演。2015年からSixTONESとして活動し、2020年1月にCDデビューを果たした。俳優としての近作は、ドラマ『10の秘密』(カンテレ・フジテレビ/2020)、『レッドアイズ 監視捜査班』(日本テレビ/2021)、映画『ライアー×ライアー』(2021)など。
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