「借金を抱えたくない」「身軽で自由でよい」などという理由で、賃貸生活を続ける方はいらっしゃいます。しかし、環境が変化したり考えが変わったりして、住宅購入を考え始めるケースも少なくないでしょう。今回はそうした変化に対して、果たして路線変更は可能なのか、何歳まで可能なのかを考えてみましょう。

いつどんな時でも、物事を決める時に最初にやるべきこと

50歳、60歳を超えても、十分な蓄財があれば何歳でも住まいを取得することはできます。ただし、賃貸暮らしを選択してきた平均的な日本人であれば、遅くして住まいを取得するとなると、今後の生活設計をよほど綿密に考える必要があります。考えが変わるということは、よく起きることかもしれませんが、今後も考えが変わるとなるとリスクは大きくなります。そもそも、若い時からの生活設計が万全でなかったので、考えが変わってしまったというケースも少なからずあるはずです。

そのために、恒例の自問からスタートします。つまり、住宅購入を希望するに至った理由を掘り下げていきます。それによって本当に購入するのがよいのか、どのような物件にすべきか、ローンをどう組めばよいかなどが固まってきます。考えをまとめる手法の詳細は過去のレポートを参照ください。

考える項目の例として……
1. 考えが変わった理由(自分の家が欲しくなった、立ち退く必要が生じた等)
2. 住まいに何を求めるのか(安心感、資産、安全等)
3. 購入予定の住まいに何年住む予定か(可能な限り生涯住む、一人になれば高齢者施設へなど)

※参照「達人編 - 自分が希望する人生を過ごすために」

検討すべき項目

もちろん収入や返済能力に応じた返済計画など、通常の基本的な検討事項は当然ですが、それは別のレポートを参照いただくとして、そのほかに中年すぎて住まいを取得する場合は下記の項目も重要となります。

年齢に応じた築年数を考える

中年を過ぎた夫婦に必ずしも新築の住まいは必要ありません。できる限り生涯にわたって住み続ける予定であっても、夫婦の平均余命程度の耐用年数があれば事足り、中古の住宅で十分なはずです。

子どもが独立した後であれば、手ごろな広さの中古住宅の方が価格も安く借入金額も少なくて済むはずです。維持管理も簡単です。ただし、後々売却して高齢者施設などへ入居を考えているのであれば、先々も売却可能な築年数であることが求められます。また子どもに残したいのであれば、また考えは違ってくるでしょう。

生活スタイルに見合った立地を

購入した住まい定年後もできるだけ住み続けたいのであれば、立地は大切です。売却予定の場合も同様です。都市部の駅前であれば日常生活すべてが数分圏内で賄えるでしょう。高齢者施設に入居しても自室から食堂等へ移動する時間は大規模のものであれば相当かかります。駅前の1階に飲食店があるマンションの方が距離が短い可能性もあり、比較的長く自立して生活して行けます。

いつまでローンを借りられるか

住宅金融支援機構の「フラット35」を事例に考えてみましょう。主な条件は次の通りです。また住宅金融支援機構には「リバース60」という高齢者向けの融資制度もあります。詳細は取り扱いの金融機関へ確認ください。

【フラット35の主な要件】

借入期間
15年(申込みご本人または連帯債務者が満60歳以上の場合は10年)以上
80歳までに完済(親子リレーを除く)

申込時の年齢
満70歳未満の方(親子リレー返済をご利用の場合は、満70歳以上の方もお申込みいただけます)

年収と返済額
年収400万円未満の年間返済額はその30%以下、400万円以上は35%以下

借入対象となる住宅
住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅
住宅の床面積が、基準に適合する住宅
戸建て・又はテラスハウス等 70m2以上
共同住宅(マンション等) 30m2以上

【リバース60の主な要件】

60歳以上の方が申し込みできるローン

借入期間
主債務者および連帯債務者が共に亡くなられたときまで
毎月の支払は利息のみで、元金は相続人の方から一括して返済するか、担保物件(住宅および土地)の売却により返済
※担保物件(住宅および土地)の売却代金でご返済した後に債務が残った場合……
ノンリコース型 相続人は残額を返済する必要がありません。ただし金利が高い傾向にあります。また返済が不要となる残債務分については、債務免除益とみなされ、一時所得が発生し、所得税等が課税される可能性があります。
リコース型 相続人は残額を負担

申込時の年齢
借入申込日現在で満60歳以上※5のお客さまがご利用いただけできます。※50歳以上でも可能な「リバース50」があります。(別途条件あり)

融資限度額
担保評価額の50%または60%


人生設計は若い時からしっかり立てておくことは大切ですが、常に状況の変化に応じて見直しが必要なのです。何があるかわからないのが人生で、変化に対して対応力をつけていくことも大切となります。考えが変わっても、その時々で最善の方法を見つけ出して選択していくしかありません。自分に力があったり、変化に対応するために十分な蓄えがあったりすれば選択肢は広がります。賃貸暮らしのリスクに応じた力や蓄財を心掛けてください。