東映特撮ファンクラブ(TTFC)にて配信中のオリジナル作品『ヨドンナ』と、解決編『ヨドンナ2』(9月12日から配信開始)を2本続けてスクリーン上映し、キャストによる舞台挨拶ありのイベントが4日、東京・ニッショーホールにて開催された。ステージには、本作で主演を務める桃月なしこ、西葉瑞希のほか、共演の岸洋佑、石黒英雄、木原瑠生がかけつけ、スピンオフ作品製作が決定したときの喜びの気持ちや、撮影時の裏話などを語り合った。

  • 左から石黒英雄、木原瑠生、桃月なしこ、西葉瑞希、岸洋佑

『ヨドンナ』とは、スーパー戦隊シリーズ第44作『魔進戦隊キラメイジャー』(2020年)で活躍したヨドン軍幹部・ヨドンナを主役にしたスピンオフドラマである。悪の女幹部が主役となるスピンオフドラマは、歴代スーパー戦隊の中でも初の試み。それもヨドンナを演じた桃月なしこの人気が非常に高く、テレビシリーズで命を失ってなおヨドンナの“復活”が求められた結果だといえるだろう。

『ヨドンナ』『ヨドンナ2』上映終了後、MCを務めるスーパー戦隊親善大使・松本寛也の呼び込みで、今回のキャスト陣が登壇した。

本作の主役・ヨドンナを演じる桃月なしこは、スーパー戦隊初となる「悪の女幹部が主役のスピンオフ」である本作の上映イベントが実現したことについて「恐れ多いですね……」と緊張気味に感想を述べた。そして、自分が演じたヨドンナというキャラクターが、大勢のファンに愛されているのを実感しつつ「ヨドンナ役が決まったときは、まさかこんなにファンのみなさんから求められる存在になるとは思ってなかったです。むしろ悪役なので、嫌われるキャラじゃないといけないはずなのに……。本当に、こんなご時世の中にもかかわらず、たくさんの方々が来てくださってありがとうございます。ヨドンナが愛されてすごくうれしいです!」と、ヨドンナを応援してくれるたくさんのファンたちの熱い眼差しを受け、感動と感謝をストレートに伝えた。

スピンオフドラマ製作の話を最初に聞いたときの気持ちを聞かれた桃月は「てっきり『ヨドンヘイム(ヨドン軍本拠)の中にいるヨドンナの物語』みたいな作品だと思っていたら、ヨドンヘイムが一度も出てこないという(笑)。こんな話になるとは想像していませんでした。まさか、まさかの台本内容だったので、自分でもびっくりしました」と、自身の想像をはるかに超えた、ヨドンナ押しまくりの内容だったことに驚きがあったことを語った。今回の相棒・柿原さんを演じた西葉の印象については「ずっと柿原さんに会いたい!と言っていて、Twitterにも『柿原さんかわいい!』とつぶやいていましたから、ようやく共演が実現してうれしかったです」と、テレビシリーズ放映中からずっと柿原さんとの共演を夢想し、その願いがスピンオフドラマで叶った喜びをあらわにした。

ヨドンナの魂を体に宿した「リア充女子高生」の柿原瑞希を演じる西葉瑞希は、『キラメイジャー』テレビシリーズでは一度もヨドンナとの共演シーンがなく、本作『ヨドンナ』『ヨドンナ2』で初のタッグを組んだことになる。これについて西葉は「もともと、なしこちゃんのことは知っていて、いつかお会いしたいなあと思っていたんです」と、桃月との共演は自身にとっても念願だったことを明かした。桃月と共演したときの印象は?という問いについては「思っていたより暗くて安心しました(笑)」と独特な回答をして、桃月を爆笑させた。西葉は続けて「私って“イエーイ!”みたいにグイグイくる人が苦手だったんですけど、なしこちゃんは“イエイ……”くらいの人で(笑)。とても接しやすくて安心しましたね」と、桃月とはすぐ意気投合して共演がうまくいったことを打ち明けた。これを受けて桃月は「私自身コミュ障で、最初はどうやって話しかけていいかわからなかったんですけど、瑞希ちゃんのほうからけっこうフランクに話しかけてくれて助かりました。撮影期間は短かったにもかかわらず、こんなに仲良くなれました!」と2人で顔を見合わせ、ニッコリほほえむ場面が見られた。

瑞希の兄で、凶悪事件を追う刑事・柿原章介を演じる岸洋佑は、『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2017年)のサソリオレンジ/スティンガー役が有名で、坂本浩一監督作品『Episode of スティンガー』では主演を務めてもいる。岸は「ここで初めて言うんですけど、僕は『キラメイジャー』の主題歌コンペに参加して、一発で落ちているんです(苦笑)。それで悔しいなと思いながらも『キラメイジャー』を楽しく見ていました。今回の『ヨドンナ』は、スーパー戦隊初の『悪の女幹部が主役のスピンオフ』ですが、僕が出演した『Episode of スティンガー』もスーパー戦隊初の『レッド以外のキャラが主演を務めたスピンオフ』でしたから、何かお力添えできればと思って一生懸命やらせていただきました」と、自身の主演作と同じくスーパー戦隊スピンオフ作品の『ヨドンナ』に縁を感じ、張り切って出演したことを明かした。

口縄組のボス・鯨咲を演じる石黒英雄は、かつて『仮面ライダー電王』(2007年)で電王と戦った謎の少年カイ、そして円谷プロの『ウルトラマンオーブ』(2016年)では主演のクレナイ・ガイを演じ、さらに今回の『ヨドンナ』『ヨドンナ2』によって、仮面ライダー、ウルトラマン、スーパー戦隊という「日本3大特撮テレビシリーズ」すべてに出演を果たしたことになる。石黒はこのことについて「特撮ファンのみなさんからSNSを通じて『3大特撮』制覇だと教えられました。そんなに意識はしていませんでしたが、純粋にうれしかったですね」と、自身が特撮ファンの熱き声援に支えられていることに感謝し、喜びを伝えた。今回の役については「アクションシーンばっかりで、観ていてビックリしましたね。めちゃくちゃ面白かったです!」と、『ヨドンナ2』での出番がたっぷりあることに手ごたえを感じつつ「なしこさんとのアクションは刺激的でした。“気を遣わないでいいですよ”と言われたので、遠慮なく殴らせていただきました(笑)」と、迫真のバイオレンスシーンを思いっきり演じられたことへの喜びを語った。

キラメイイエローにチェンジしてヨドン軍と戦ったeスポーツの名手・射水為朝を演じる木原瑠生は、スピンオフ作品の出演にあたって「撮影していたのは東京ドームシティ・シアターGロッソ公演やファイナルライブツアーの間だったので、為朝という役がまだ抜けていない時期でした。(小宮)璃央(キラメイレッド/熱田充瑠役)と2人でいる場面では、『為朝と充瑠』というよりはもう『木原瑠生と小宮璃央』そのままで出ている感覚。いい意味で役と本人が一体化していました」と、1年以上も演じてきた為朝という役への強い愛着をうかがわせるコメントを残した。また木原は、隣に立つ石黒が主演した『ウルトラマンオーブ』のファンでもあり、本日のイベントでは開始前からずっと緊張していたと打ち明けて、MCの松本が「石黒さん、(木原と)仲良くしてあげてくださいね」と粋なフォローをする場面も見られた。

今回のストーリーは『ヨドンナ』『ヨドンナ2』の2作でひとまず完結するそうなのだが、まだまだこれからの展開を期待させるような含みもあるという。特に、テレビシリーズでも関わりが深かった為朝とヨドンナの“今後”はどうなるのか?という点について桃月は「ファンの方からは『ヨドンナと為朝が結ばれてハッピーエンド』という予測もありましたからね」と語り、さらなる続編ドラマの製作があったら、2人の関係性がどういう風に発展していくのか、期待を寄せた。

松本から「為朝はヨドンナが好きなの?」と尋ねられた木原は「テレビシリーズで巫女の格好をしたヨドンナに心ときめいたのは、決して巫女姿が好きだったんじゃなくて、彼女のキラキラしている姿に惹かれたんです。コスプレ好きというわけじゃないんですよ」と、少々あわてながら為朝の心情について説明した。さらに「ヨドンナをデートに誘うならどこへ行く?」との質問には「特に遠出をしなくても、近くのカフェでお話するだけでもいいんじゃないですか」と、やけにリアルっぽいアイデアを提示。これに対して桃月は「ヨドンナはアイスが大好物なので、アイス屋で(笑)」と、劇中のシチュエーションに合わせたデートプランで助け船を出した。

魅力的なヒロインとハードなアクションをこよなく愛する坂本監督の印象について、岸は「今回のMr.コーイチ・サカモトは、めちゃめちゃ楽しそうでしたよ! 8割趣味で撮っていたのでは(笑)」と、ファンの期待どおりに坂本監督が楽しさ全開で演出していたことを明かしていた。石黒も坂本監督について「本当に活き活きとしていました(笑)。でも、あれだけのアクションを短時間で撮れるのは坂本監督しかいません! すごい監督なんですから」と、厳しいスケジュールの中で、密度の濃いアクションシーンを撮影する坂本監督の手腕を称えた。桃月はまた「坂本監督はいつ休んでいるんだろう?と話題になりました。『ヨドンナ』の撮影オフの日には、別の作品のロケハンに行ってたりするんですよ」と、切れ目なく作品をかかえて超ハードスケジュールを精力的にこなしていく坂本監督のパワーに圧倒されていたことを明かした。

最後にマイクを手にした西葉は「『ヨドンナ』はキラメイジャー本編のキラキラとは違った、『ギラギラ』した感じがたくさん出ていますけれど、内容は心あたたまるお話になっていると思います。お兄ちゃん(岸)も活躍していますので、ぜひ何回でも観てください!」と、兄役の岸を立てつつ、TTFCでの配信を何度も楽しんでほしいと、まぶしい笑顔で呼びかけた。

桃月は「『ヨドンナ2』の配信が始まったら、ぜひ「#ヨドンナ」のハッシュタグをつけて、たくさんご感想をつぶやいてください。ただ、ネタバレはなるべく控えてくださると助かります(笑)。反響が大きかったら、もしかしたら続編が作られる可能性もありますので、ぜひ応援をよろしくお願いします! 本日はありがとうございました!」と大勢のファンから感想ツイートを募り、『ヨドンナ2』に続くヨドンナエピソードの製作を実現したいと大いに意欲をのぞかせた。

TTFCオリジナルドラマ『ヨドンナ』は現在絶賛配信中。そして『ヨドンナ2』は9月12日より配信開始される。

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