SNSにはジャニーズ関連の話題が数多く並び、嵐の活動休止会見では涙を流しながら熱量が滲み出る質問を投げかけた。ジャニーズを愛するアナウンサーとして、ファンからも一目置かれる青木源太。昨年9月に日本テレビを退社し、現在はフリーアナウンサーとして「日本一のイベント司会アナウンサー」を目標に掲げながら活動している。

10日に発売した自身初の著書『口ベタな人ほどうまくいく たった1日で会話が弾む! 話し方のコツ大全』(宝島社 1,500円)では、青木が日本テレビのアナウンサー時代に得た経験、エピソードをふんだんに盛り込み、口ベタな人でも今すぐに実践できる、会話が弾む方法、相手にきちんと伝える方法を80以上紹介している。自身も元々口ベタだったという青木がアナウンサーとして活躍するまでには、どのような過程があったのか。「最強」と敬意を表する加藤浩次からもらった金言とは。

  • 青木源太 撮影:島本絵梨佳

■「プロの喋り」の難しさを痛感

――本は話し方にフォーカスした内容ですが、どういった経緯で今回の出版に至ったんですか?

元々は出版社からお声がけを頂きました。僕はフリーアナウンサーですが、話し方の本を出したいとは思っていなかったんです。というのも自分自身が元々、どちらかと言えば、口ベタでしたし、アナウンサーとしても話術があるほうだとは決して思っていなくて。ですので、今回、出版社からお話を頂いた時に、自分のスキルについて話すというより、私自身、話の上手い芸人さんや話術のあるアナウンサーを間近で見てきた自負はあるので、そういった方々を見て学んだ話し方のコツをお伝えしたいという風に思いました。

――本の冒頭でも「元々口ベタだった」と書かれていて、テレビで青木さんを観ている一視聴者として驚きでした。

普段しているお喋りとプロの喋りは全く違うものだと、テレビ局に入社してから学びました。特に苦労したのは、正しく物事を伝えるという事です。話が上手いというのは、その内容が面白かったり、効果的に伝えたりする事だと思っていたのですが、その前段階として、正しく誤解のないように伝えなければならないという難しさに直面しました。色々な地域、年齢、職業の方がテレビを観ている中で、正しく物事を伝えるのはこんなにも大変な事なんだと改めて感じました。

――日テレに入社して研修を受けたり、実際に現場に出る中で感じた事だと思うのですが、これからアナウンサーとして活動していく事に怖さもあったのでは?

5年目くらいまでは怖かったです。それは視聴者からの評価もそうですし、仕事を終えた後にアナウンス室の扉を開けると、先輩アナウンサーからも表現に対する注意を色々と受けていたので。怖いというよりも、(自分の話し方が)気になっていました。

■失敗を経て得た「コミュ力」の気づき

――自分の話し方が気になるなか、それでも現場へと向かわなければなりません。アナウンサーという職業を務める上で、そう思いながら仕事をする5年間は精神的にもつらかったのではないかと思います。

場数を踏まないと上手くならないと何となくわかっていたので、人それぞれ克服するまでの期間の長さに違いはあるとしても、自分にとって必要な修行の時間だという風に思っていました。新人アナウンサーの研修を担当する時にも感じましたが、現場に出る事で得られる成長はとても大きいものです。

――青木さんが現場に出る中で得た気づきとして大きかったのはどのような事ですか?

コミュニケーションに対する誤解があった事です。立て板に水のように喋り続ける能力を高める事が、「コミュ力」を鍛える事だと思っていたのですが、アナウンサーの仕事をする上で、そうではないと気づいて。コミュニケーションは双方向のもので、自分の言葉数が多くなくても、相手が気持ちよく話してくれたら、しっかりと成立しているという事を学びました。

――双方向のコミュニケーションについては、その事を実感した現場があったと著書でも詳しく書かれていましたよね。

本にも書いたエピソードなのですが、生放送の情報番組を担当していた時、中継中にトラブルが起こった事があって。まだ入社2、3年目だった私は、自分だけで間を繋ごうとしてたどたどしい感じになってしまいました。でも生中継では、ドラブルを全部伝えて、スタジオと一緒にコミュニケーションを取りながら時間を埋めればよかったんですよね。これは普段のコミュニケーションでも同じ事で、自分だけが喋らなければいけないと思っている方も多いと思いますが、この経験を通して決してそうではないと気づきました。