――『八犬伝』の世界では、飛羽真と共に時代劇風の衣装にチェンジされていましたね。
本格的な時代劇というわけではなく、衣装もまさかのミニスカートなんですよね(笑)。いつもの芽依の私服と着物をミックスさせた感じです。カツラを被ったのも初めてで、とても新鮮な体験でした。
――物語のカギを握る「謎の少年」を演じられた鈴木福さんは、「福くん」と呼ばれた人気子役時代の面影を残しつつ、17歳らしいはつらつさも身に着けられ、映画でも大活躍するとうかがっています。ところでふと気になったのですが、キャストのみなさんは福さんのことを「福くん」「福さん」どちらで呼んでいたのでしょう?
最初、みんなで物議をかもしたんですよ。”福さん”がいいのか、それとも”福くん”か……。ヘンに距離感を出しても変ですし、かといっていきなり福くん呼びもなれなれしいんじゃないかって。もしかしたら「オレはいつまでも子どもじゃないよ」とか、不快になったらどうしよう~とかみんなで話していて、結局「どっちの呼び方がいいですか?」って直接お尋ねしたんですよ。そうしたら「うーん……じゃあ福さんで!」からの「あっ、冗談です! 福くんでお願いします」なんて言ってくれて、問題は解決しました(笑)。
2週間くらいの撮影期間だったのですが、芽依と飛羽真はほぼ毎日のように福くんと一緒にいましたね。すごい仮面ライダーやスーパー戦隊が大好きで、バッグにつけているキーホルダーもヒーローばかり。両ヒーローの知識も、私よりぜんぜん詳しいので、驚きました。スーパーヒーローを愛する純粋な心を持った人と共演できて、私もすがすがしい気分になれましたね。テレビシリーズのラストスパートに向け、気持ちをリセットして、「こんなにも仮面ライダーを好きでいてくれる人がいる」ことを改めて胸に刻み、頑張ろう!と思いました。
――映画には歴代仮面ライダー、歴代スーパー戦隊のいろいろなキャラクターが登場しますが、川津さんが特に印象に残ったのはどんなキャラクターですか。
『八犬伝』の世界で一緒にお芝居をした、ドギー・グルーガー(『特捜戦隊デカレンジャー』(デカマスター/声:稲田徹)です。私たちが仲間になって森を歩くシーンがあるんですけれど、そこでドギーが小枝を咥えているのがカワイイなあって、ときめきました。あとは『ゼンカイジャー』のセッちゃんに会えたのがうれしかったですね。「~~だチュン!」って口癖がカワイイんです(笑)。
――「駄菓子カフェ カラフル」では、『ゼンカイジャー』のアイドル的存在・榊 原郁恵さん演じるヤッちゃんこと五色田ヤツデと芽依との“ヒロイン共演”が実現しましたね。
郁恵さんとは2日くらい撮影で御一緒しましたが、やっぱり大先輩ですし、現場ではみんながいい意味で「ちゃんとしないと」って感じで、気持ちを引き締めて臨みました。私はテレビシリーズではお笑いというかネタっぽいことばかりやっていますけれど、映画ではそういうシーンがなかったんですね。一方、郁恵さんには「爆発に巻き込まれて、口からプハーッと煙を噴く」って、コントみたいなドタバタカットがあるんです。私はそれを間近で見ていて、つい「いいな~」って思っちゃいました(笑)。
――映画で特に注目してほしいシーンは、どんなところですか?
福くんと私、飛羽真(内藤)が“別世界”で一緒にいるシーンが出てくるのですが、撮影の数日前に田崎(竜太)監督から「ここ、長く撮るからよろしくね」って言われて、長く撮るって?とそのときは理解ができませんでした。
当日になって、台本上の数ページ分を「ワンカット長回し」で撮影するとわかって、ほんとビックリしました。「待って待って待って!」って慌てましたよ(笑)。舞台でのお芝居みたいに、私が入ってくるタイミングとか、スタッフさんが料理を出してくるタイミングなどが、すべて細かく決められていて、ぜったいに遅れることができません。早朝からスタートして、何度も何度もNGを出して、結局OKになったのが10時間後くらいでしたか。もう大変でしたね。
私よりも、飛羽真のほうが大変だったと思います。セリフの量も圧倒的に多くて、どうしてもNGが出てしまうんです。そのときの周りの重苦しい空気がもう……。そうやって、みんなで苦労を重ねたシーンですから、とても愛着があります。ワンカットだからこそ表現できた「異空間」のビジュアルや、普段の『セイバー』とはぜんぜん雰囲気の違う私たちの洋服やセットなどもあり、このシーンはぜひご注目していただきたいですね。
あとは、映画のラストで藤岡弘、(仮面ライダー1号/本郷猛役)さんが大事なセリフを言うシーン。誰の心にも響く、すばらしい言葉でしたので、撮影中にもかかわらず泣きそうになりました。私も、もっとちゃんとしなければいけないな、なんて思わずにはいられませんでした。みなさん、テレビシリーズ『仮面ライダーセイバー』ともども、映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』をぜひお楽しみください!