公開初日を迎えた映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』の舞台挨拶が22日、東京・バルト9にて行われ、田崎竜太監督と『仮面ライダーセイバー』『機界戦隊ゼンカイジャー』メインキャストが登壇した。

  • 前列左から仮面ライダー(1号)、内藤秀一郎、鈴木福、駒木根葵汰、アカレンジャー、後列左から、田崎竜太監督、知念里奈、青木瞭、山口貴也、増子敦貴、川津明日香、市川知宏

『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』とは、昭和、平成、令和と3つの時代を駆け抜け、その時代時代の子どもたちに愛と正義と勇気の心を伝え続けてきたスーパーヒーローたち――「仮面ライダー」の誕生50周年、「スーパー戦隊」45作を祝う、ダブルアニバーサリー映画である。

上映直後に行われた舞台挨拶では、仮面ライダーシリーズ最新作『仮面ライダーセイバー』とスーパー戦隊シリーズ最新作『機界戦隊ゼンカイジャー』のメインキャストが登壇。昨年から今年にかけ、新型コロナウイルス感染防止のため通例のイベント関係がのきなみ中止となったため、両作品のキャストたちは自分たちを応援してくれる多くのファンの姿を間近で見る機会がなかなか訪れず、今回の舞台挨拶は貴重なファンたちとの直接交流の場となった。

※記事では映画の内容に触れている箇所があります。ご注意ください。

『仮面ライダーセイバー』主人公・仮面ライダーセイバー/神山飛羽真役の内藤秀一郎は、念願だったファンの方たちに会えたことに感激しつつ「みなさんにお会いできて、今日やっと映画が公開されたんだなという実感がわきました。ダブルアニバーサリー作品のトップに立たせていただくという気持ちを忘れず、撮影に臨みました」と、50年目の仮面ライダーとしての自覚をしっかり持ちながら堂々と演技をしようと努めたことを明かした。

内藤はこの映画で忘れられない出来事として、「すごい経験をしました。ワンカット長回し9分間のシーンがあるのですが、これを12時間もかけて取り組んだこと。あの経験は今後一生できないかもしれない」と、途中でNGを出したらまた最初から撮り直しとなる難しいワンカット長回しシーンに挑戦したことを挙げた。同じシーンで共演している青木から「合計で何テイク(撮った)?」と尋ねられ、内藤が「30テイクかな、32だったかもしれない」と、同じ演技を何度も何度もこなしながら作り上げていった苦労を語った。

生真面目な水の剣士・仮面ライダーブレイズ/新堂倫太郎役を演じた山口貴也は、映画ではゼンカイザー/五色田介人と「西遊記の世界」で行動を共にする。どんなに不思議な出来事も前向きに受け入れる介人と対照的に、不可解な現象をなんとか解明しようと知恵を働かす、常識のある理知的なキャラとして描かれている。山口は「撮影では駒木根さんが全力全開で頑張り、その姿に自分も支えられ、元気をもらいながら取り組んだ」と、駒木根のガッツに強い影響を受けていたことを打ち明けた。

小説家・飛羽真の担当編集者である須藤芽依役・川津明日香は「とてもパワーのある元気な女の子の役だったので、芽依を演じることで私自身もパワーをもらい、元気になりました!」と、まぶしいばかりの笑顔で『セイバー』の1年をふりかえった。映画での芽依は、テレビシリーズでのハジケきった役柄とは一味違って、少年の憧れとなりうる“優しくてきれいなお姉さん”的キャラクターを打ち出しており、必見といえる。

仮面ライダーエスパーダ/富加宮賢人役・青木瞭は、内藤や川津たちと共に挑んだ“ワンカット長回し”シーンの苦労について「僕が出ている場面から(ワンカット長回しが)始まりますので、つっかえちゃいけないと思いながら挑みました」と、緊張感あふれる撮影をふりかえった。またテレビシリーズの撮影を終えた感想として「カリバーおよびエスパーダに変身し、最後まで仲間といっしょにがんばってきたことが、僕の中でも大きな宝になりました」と、愛すべき共演者たちとともに1年間を駆け抜けることができた喜びをかみしめた。

仮面ライダー最光/ユーリ役・市川知宏は、若き剣士たちをバックアップしつつ、時には前線で実力をふるう年長者の役回りだった。マイクの不調にもめげず「最光!」と得意のフレーズで笑いを誘った後、市川は「最初は『セイバー』を盛り上げようという意識しかなかったが、映画に出演し、50周年を迎えた仮面ライダーシリーズの『重み』をいっそう感じました。『セイバー』だけでなく、仮面ライダー全体を盛り上げないといけない。今後も続いていく仮面ライダーシリーズの架け橋になるようにと思いながら、ユーリを演じてきました」と、50年という歴史の重みを実感しながら、映画やテレビシリーズの撮影に取り組んだと語った。

飛羽真やソードオブロゴスの剣士たちを優しく見守るソフィア役・知念里奈は、1年間にわたって続いてきた『セイバー』がいよいよクライマックスを迎えるにあたり「この1年間、内藤くんをはじめとしたライダーのみなさんがそれぞれの役柄を演じながら、どんどんヒーローになっていく様子を近くで見ることができ、私自身も学ばせてもらいました」と、劇中のソフィアそのままに、若きヒーローたちをあたたかな母性で包み込む慈愛の心と穏やかな笑顔を見せてくれた。

続いて『機界戦隊ゼンカイジャー』から、ゼンカイザー/五色田介人役・駒木根葵汰は「厳しい状況の中、ファンのみなさんの前に立って、時間を共有できるなんで最高です。今日ここに来ていないフリント(森日菜美)やステイシー(世古口凌)の分も、思いを込めてお話をしたいです。映画では、『仮面ライダーセイバー』のみなさんや他のヒーローたちとの共演という、貴重な経験をさせてもらってありがたいと思いました。そして『スーパー戦隊を語る上で、ゼンカイジャーは欠かせないぞ』と言われるような、大きな存在になりたい」と、これからの撮影にも張り切って取り組もうとする意欲をのぞかせた。

さまざまな並行世界を巡り、お宝を狙う「世界海賊」のツーカイザー/ゾックス・ゴールドツイカー役の増子敦貴は「映画の撮影を経験して思ったのは、この歴史あるスーパー戦隊シリーズの中で存在感を示せるよう、ゾックスと一緒に成長していきたいということ。もっともっとゾックスの魅力を出していけるよう頑張ります!」と、破天荒なゾックスとイメージが異なり、非常に真摯な姿勢で今後の撮影に向けての決意を語っていた。

物語のカギを握る「謎の少年」役・鈴木福は、MC(寺迫麿)よりヒーローが大集結したビジュアルポスターの感想を聞かれ、「さすがヒーロー大集合の記念作品、凄い!と思いました。いくらすべてのヒーローといっても入りきれないヒーローがいるだろうと思っていたら、すべての(主役)ライダー、すべてのスーパー戦隊レッドが描き込まれています。ファン目線的には、『仮面ライダーJ』(1994年)が大きく描かれているのがいいですね(笑)」と、さすがの仮面ライダーとスーパー戦隊の大ファンらしいコメントを発し、周囲からあたたかな拍手をもらっていた。

そして映画が公開された本日、ようやく鈴木演じる「謎の少年」の真の役柄が発表された。それは、『仮面ライダー』と『秘密戦隊ゴレンジャー』を生み出した原作者・石ノ森章太郎氏の若き日の姿であった。鈴木は「改めまして、石ノ森章太郎役を演じました鈴木福です!」とにこやかに挨拶した後「映画出演のお話をいただいたとき、こんな豪華な記念作品にまさか出られるの!?という喜びと共に、石ノ森先生役を演じることにプレッシャーがありましたが、それ以上に“やってやる!”と意欲を燃やして取り組みました。撮影の前に、石ノ森先生のお墓に参り、先生の役を演じますとご報告して、精一杯の準備をして臨みました。たくさんの人に“萬画家”石ノ森章太郎先生のすばらしさを知ってもらえたら幸いです」と、尊敬する石ノ森章太郎氏を演じるにあたって、強いリスペクトの精神で役に取り組んだことを明かした。

本作のメガホンを取った田崎監督は「今回はライダー50年、スーパー戦隊45作を記念した、アニバーサリー映画です。アニバーサリーというのは、祝ってくださる人がいるからこそ成立するんじゃないかなと思います。今日のように、みなさんが全国各地の劇場にかけつけて、仮面ライダーとスーパー戦隊を応援してくださっている。ヒーローとは、多くの方々から応援を受けるからこそヒーローとして成り立っているんです。今回は『スーパーヒーロー戦記』とタイトルにありますが『"スーパーファン"のみなさん戦記』というつもりです」と、50年と45作にわたり、それぞれの時代で活躍してきたスーパーヒーローも、応援してくれたファンのみなさんあってこそ、という思いをしみじみと語った。仮面ライダー(旧1号)やアカレンジャーをはじめ、50年にもわたるスーパーヒーローたちがそれぞれの特徴を打ち出しながら悪と戦う本作については「今のヒーローが大好きなお子さんと同時に、50年前に子どもだった大人世代にも響いてほしい。子どもを連れて観に来ているお父さんの目がキラキラしてくれれば……と思いながら撮影していました」と、親、子、孫と幅広い世代の観客層が存分に楽しむことのできるスーパーヒーロー大集合映画を全力全開でアピールした。

トークがひとしきり盛り上がったのち、「重大発表」と銘打たれた最新情報が明かされた。それは、令和仮面ライダーシリーズの第3弾『仮面ライダーリバイス』が9 月5 日(日)より放送開始すること。そして『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』の同時上映作品として『仮面ライダーリバイス』の短編作品(23 分)が「サプライズ上映」されていることだった。初公開となるポスタービジュアルもステージ上に迎えられ、内藤と駒木根が新しいヒーローの姿を興味深くのぞき込む姿も見られた。

マスコミ向けのフォトセッションでは、鈴木の演じる石ノ森章太郎少年が、遠くない将来に生み出すことになる2大ヒーロー、仮面ライダー(旧1号)とアカレンジャーがかけつけ、普遍的なカッコよさと渋味を効かせた最高のヒーロー性で周囲の空気を鋭く研ぎ澄ませつつ、戦闘ポーズを取って撮影に応じた。

最後にマイクを手にした駒木根は「みなさんとこうやって会えたことが、どれだけ嬉しいことか……。ぜひ、SNSで映画の感想をつぶやいてください。みんなエゴサーチをガンガンやって見つけます(笑)」と、映画を多くの人たちに楽しんでもらいたいと熱を込めながら挨拶した。内藤は「初めて、ファンのみなさんと直接お会いできて、すごく緊張しましたが、あたたかな気持ちになりました。この映画は2度、3度楽しむことのできる作品ですので、ぜひリピート鑑賞してください!」と映画のさらなる応援を呼びかけた後、セイバー/飛羽真の決めゼリフを全員で言おう、といきなり提案。「物語の結末は、俺たちで決める!」と声をあげ、さらに増子の「ヨホホ~イ!」も飛び出し、大盛り上がりの内にイベントを締めくくった。