夏になると食べたくなるのがカレー。だが、本当に暑い日は食事の用意すら面倒。そんなときに重宝するのが冷凍カレーだ。

  • 今回食べ比べた冷凍カレー4種。黄色を生かしたパッケージが多い

いまや冷凍カレーは百花繚乱。シンプルなドライカレーもあれば、複数のカレーを組み合わせたものもあるし、ライスも白米もあれば五穀米もある。今回は個性とこだわりが光る4種の冷凍カレーを食べ比べてみた。

ニップン「ニップン いまどきごはん 野菜を食べるカレー」

  • 「ニップン いまどきごはん 野菜を食べるカレー」(オープン価格、実売価格328円※編集部調べ)

まずは「ニップン いまどきごはん 野菜を食べるカレー」。紙トレー入りなので温めるだけでOKだ。

商品名のとおり、とにかく野菜が多い! 野菜は5種類で、ごろっと感のある揚げなすとかぼちゃ、彩りを添えるブロッコリーと赤ピーマン、さらにれんこんがトッピングされている。しかも食材ごとにベストな固さに調理されており、たとえば、かぼちゃはとろけるやわらかさ、れんこんはシャキシャキした食感に仕上がっている。野菜は100gと量が多く、食べ始めから食べ終わりまで「野菜を食べている!」と実感できた。

カレーのルウは、野菜の甘みがしっかり溶け込んでおり、マイルドな辛さ。チーズのトッピングが、まろやかなコクをプラスしている。

五穀ごはんを使っているのもうれしいポイント。五穀は、大麦(もち麦)・黒米・発芽玄米・もちきび、もちあわ。ごはんにもスパイスを配合しているそうで、やさしい味のカレーと違和感なくなじんでいた。

ニップンの担当者によれば「お客さまからは『いろいろな種類の野菜がたくさん摂れてうれしい』との声が多く届いています」とのこと。前年比150%以上の出荷(伸長率)と売れ行きも好調だという。

<ニップン「ニップン いまどきごはん 野菜を食べるカレー」のポイント>
・野菜がたっぷり100g
・ヘルシー感のある五穀ごはん
・野菜の甘みが溶け込んだルウ

明治「満足丼 濃厚チーズカレー」

  • 「満足丼 濃厚チーズカレー」(オープン価格、実売価格386円※編集部調べ)

ガツンとパンチのある味を楽しめるのが、2021年2月に発売になった明治の「満足丼 濃厚チーズカレー」だ。

プラスチックトレー入りで、レンジで温めたらそのまま食べられる。ポイントは3層構造で、下からドライカレー、ビーフカレー、チーズが重なっている。最下層を支えるドライカレーは20種類のスパイスとハーブが使われ、スパイシーな刺激が口の中を心地よく刺激。2層目はとろっとしたビーフカレーで、肉の旨みやたまねぎの甘みを感じるコクのある味わいだ。そしてトップにはゴーダチーズとグリルポテトがたっぷり。これらをスプーンで一緒にすくえば、スパイシーさや肉の旨み、チーズのまろやかさなどが口の中で混ざり合い、濃厚で贅沢な味わいに。各層とも味の主張は強いが、合わせることで絶妙なバランスにまとまるのがすごい。

同商品は2019年に発売された「濃厚ダブルカレー」をリニューアルしたもの。「ビーフカレーソースは炒めたまねぎを増量し、新たにビーフエキスを加えて、コクと旨みをアップさせました。ドライカレーはスパイスの種類や使用量を増やし、香り立ちをアップ。またケチャップ、ソース、しょうゆを加えてコクと深みを出しました」と明治 フローズン・食品マーケティング部の宮崎巧生さん。

<明治「満足丼 濃厚チーズカレー」のポイント>
・ガツンと満足感のあるボリューム
・ドライカレーとビーフカレーが重なる美味しさ
・パンチのある濃厚な味わい

マルハニチロ「よこすか海軍ドライカレー」

  • マルハニチロ「よこすか海軍ドライカレー」(オープン価格、実売価格348円※編集部調べ)

マルハニチロの「よこすか海軍ドライカレー」は2002年発売のロングセラー商品だ。海軍用のレシピがベースになっており、パッケージには「カレー粉ト小麦粉ヲ炒ッタルーカラ作ッタドライカレー」との説明がある。

内容量は400gとボリュームたっぷり。皿にのせて温めるタイプなので、家族でシェアしたり、お腹の空き具合に合わせて好きな量だけ食べたりできて便利だ。

シンプルなドライカレーだが、グリンピースやニンジンがのっており、見た目がカラフル。具はほかに鶏肉、たまねぎ、じゃがいもと種類豊富。どこか懐かしさも感じる素朴な味わいは、子どもにも大人にも好まれる味。マイルドでやさしい辛さだが、20種類のスパイスが使われ、味に奥行きがあり、最後まで食べ飽きない。ベーシックなロングセラーの実力を感じた。

「『海軍割烹術参考書』のレシピに基づいて作ったドライカレーです。クミンやナツメグなど香りのよい20種類のスパイスをバランスよく配合し、味わい豊かに仕上げました」(マルハニチロ 市販用冷凍食品部 長岡美月さん)。ちなみに、電子レンジのほかにフライパンでも調理ができるので、よりパラパラ感のあるごはんが好きな人はそちらもおすすめ。

<マルハニチロ「よこすか海軍ドライカレー」のポイント>
・海軍レシピに基づいたドライカレー
・20年近いロングセラー商品
・400gの大容量なのでシェアもOK

ファミリーマート「特製スパイス仕立て 欧風チーズカレー(中辛)」

  • 「特製スパイス仕立て 欧風チーズカレー(中辛)」(330円)

最後は気軽に買えるコンビニ商品。2020年2月に発売になったファミリーマートの「特製スパイス仕立て 欧風チーズカレー(中辛)」。プラスチックトレー入りなので温めるだけで食べられる。

一般的に欧風カレーとは、小麦粉でとろみをつけたルウで作る日本風のカレーを指す。同商品はオリジナルブランド「お母さん食堂」の一品だが、日本の家庭のカレーを想像すると、いい意味で裏切られる。

具材はよく煮込まれたルウの中にトロトロになって溶け込んでおり、ひと口目は「あれ、甘口?」と思ったほど野菜の甘みを強く感じた。だが、すぐにスパイスの刺激、続いて辛さが追いかけてきて、複雑な味わいにビックリ。ライスは、やわらかすぎず、パサパサすぎない理想的な固さだ。

20種類以上のスパイスが使われた複雑な味わいに、チーズのまろやかさで上品な風味も加わり、まるでレストランのカレーのようだった。

<ファミリーマート「特製スパイス仕立て 欧風チーズカレー(中辛)」のポイント>
・特製スパイスの複雑な刺激
・具が溶け込み、野菜の甘みたっぷりのルウ
・ごはんの固さが絶妙

今回食べ比べた4種類の冷凍カレーは、どれも冷凍とは思えないほど、本格的な味わい。暑くて料理が面倒な日は、温めるだけで食べられる冷凍カレーを楽しんでみては。