教え魔とは、頼んでないのにアドバイスの押し売りをしてくる人を示す。例えば、ゴルフ場やバッティングセンター、ボウリング場などで打ち方や投げ方を教えてくる人や、カメラの撮影方法を細かく指導してくる人たちだ。

  • おせっかいな教え魔に出会ってしまった人のエピソード

楽しく過ごしたいだけなのに、このようにお節介を焼かれてしまうと、ありがたさよりも迷惑だと感じる人も多いかもしれない。実際に2021年春頃にTwitterでも話題になり、迷惑しているといった声が目立った。

今回は、マイナビニュース会員男女1010人に教え魔についての調査を実施。調査結果で聞けた、具体的な教え魔エピソードを紹介する。

教え魔に出会ったことがある人は52%

  • あなたは教え魔に会ったことがありますか?

あなたは教え魔に会ったことがありますか?

「はい」 530人/52.5%
「いいえ」 480人/47.5%

教え魔に会ったことがあると答えた割合は、52.5%とわずかではあるが半数を超えた。

どこで教え魔に会いましたか?

教え魔に会った際の、具体的なエピソードを割合の多い順に紹介しよう。

「ゴルフなどのスポーツ施設」26.8%

・「ゴルフの教え魔はどこにでもいるようで、しつこくまとわりつかれたことがある。構え方からグリップの握り方、頭の固定などうるさいほどの数多い指示があった」(男性/62歳/愛知県)
・「ゴルフ練習場にて、知らない方が「うるさい」と感じるほど、『それじゃあダメだね…』って言ってきました」(女性/38歳/青森県)
・「こちらの方がテニスはうまいのに、やたら教えてくるおじさんがいた」(男性/43歳/東京都)
・「運動のためプールで泳いでいたときに後をつけられました。具体的なアドバイスで、足が下がっているから、お腹に力を入れろとか、手の返しが早すぎるので、もっとグッと伸ばす時間をつくれとか、体の力を抜けとか。あとは、足だけの練習や手だけの練習をしろとか。私は自由に泳ぎたかったのに……」(女性/58歳/茨城県)
・「夫婦でスケート場に行った際に出会いました。妻は普通に滑れるのですが、私は下手くそで恐々と滑っていたら、知らないスケートの上手いおじさんがつきっきりで教えてくれました。正直遊びに行っていたので、楽しくなくなってしまった。悪い人ではなかったので断れず。常連さんのようで、誰かに教えているんだろうなと思いました」(男性/49歳/福岡県)

圧倒的に教え魔が多かったのはスポーツ施設だ。特に、ゴルフ練習場での教え魔は多く、今回もたくさんのエピソードが届いている。テニスやバドミントン、野球、水泳、スポーツジムなども、教え魔に声をかけられる場所に挙がっている。

初心者や思うようにいかない人を見るともどかしくなり、ついついアドバイスをしたくなるのかもしれない。ただ、上達するためではなく遊びやストレス発散のためにスポーツをしている人も少なくない。

・「テニスコートで怒られながらレッスンを受けることになってしまった。楽しくない……。試合に勝てないぞとも言われた。試合なんかに出るつもりはないのにね」(男性/54歳/栃木県)

このような声もあるため、アドバイスをするにしても、ほどほどの距離感を保ってほしいものだ。

「その他」(自由回答)
19.4%

・「以前勤務していた会社で、業務上のちょっとしたことで聞いてもいないのに、誰でも知っているようなことをくどくどと説明される」(男性/66歳/神奈川県)
・「仕事の内容ならまだいいが、そこから派生して過去の経験や思い出話など関係のない話まで長々とされ、とても不快だった」(男性/33歳/神奈川県)
・「仕事の段取りを聞いてもないのに教えてきたが、その人のやり方だと効率がよくなかった」(女性/44歳/新潟県)
・「電車内で隣に座っていた見知らぬおじいさんに、歴史の話を延々とされた。上から目線で不愉快だった」(男性/28歳/佐賀県)
・「スーパーで、育児について延々と言われうんざりしました」(女性/32歳/大阪府)

自由回答で多かったのは、職場関係やスーパー、公共施設での教え魔だった。職場だと、上下関係も関係してくるため、嫌な顔もできずひたすら話を聞かなければならないケースも多いだろう。

また、育児関する教え魔も少なくない。各家庭や時代によって価値観や育児方法は異なる。そっと見守ってほしいと切に願うばかりだ。

「釣りや将棋などの趣味の集まり」16.2%

・「将棋をさしている横で、指し手の善し悪しを評価されている声が聞こえてきた」(男性/72歳/千葉県)
・「釣り堀で魚釣りをしているときに、突然やってきてうんちくを長々と話された。魚の種類や釣り方とか、この時期はこのエサがいいとかいろいろ言っていた」(男性/63歳/東京都)
・「友達とボウリングをしていたら、『下手くそだなー』と知らないおじさんが急に話しかけてきた」(女性/46歳/埼玉県)
・「ダーツバーに行ったら、それじゃ駄目だよ。まず、姿勢がなっていないと言われた」(女性/53歳/東京都)
・「カメラの撮影で素人扱いされ、初心者はこういう設定を好まれるが、決して良くないなど、一から十までの操作を延々と説明してくれた。当方カメラ撮影歴35年」(男性/67歳/岡山県)

息抜きで楽しむ趣味についてのアドバイスは、ありがたいときもあれば迷惑なときもあるのが正直なところだろう。

「ゲームセンターなどの商業施設」14.0%

・「クレーンゲームでそれでは取れないとうんちくを言ってくる」(男性/44歳千葉県)
・「クレーンゲームをしていたら知らない男性にボタンを離すタイミングが遅いと言われた」(男性/30歳/埼玉県)
・「学生の頃パチンコに行った際、隣に座っていたおじさんに『そんなところを狙って打っていちゃだめだ』『ここ狙って打って』『ここ開いたならこうして』とか、自分のパチンコ台と私のパチンコ台を両方見ているのか、とにかく口を出されて落ち着いて楽しめなかった思い出がある」(男性/59歳/愛知県)
・「太鼓のゲームをしていると『もう少し早く打つ気持ちで』『ワンテンポ遅めに』など言われた」(男性/22歳/大阪府)

ゲームセンターでのクレーンゲームにまつわる教え魔が目立つ。しかし、迷惑に感じる人がいる一方、下記のような声もある。

・「欲しいものがあったので狙っていたら『それじゃ取れないな』と声をかけて来て、取り方を教えてもらった。結果、すぐに取れてありがたかった」(男性/46歳/京都府)

教え魔のアドバイスをありがたいと感じる人がいるのも事実である。

「SNSやオンライン」11.3%

・「Twitterに外食の写真を載せたら、撮り方について偉そうな言い方でアドバイスされた」(男性/39歳/埼玉県)
・「SNSに備忘録を挙げただけなのに、悩みアドバイスのような余計なお世話のコメントが来た」(女性/40歳/香川県)
・「TwitterとInstagramの返信と、YouTubeのコメント欄。自分にも自分が好きでフォローしている人にも勝手に説明やうんちくや上から目線のコメントをする。さらに説教までしてくる人がたくさんいる」(女性/44歳/埼玉県)

SNSなどは、顔を知らない人と文字や写真、動画などでのやり取りが多い。対面しないといったハードルの低さから、教え魔になってしまう人が多い印象である。

「コンサートなどの音楽会場」6.2%

・「自分はしずかに観たかったのに、隣のおじさんにふりやコールの仕方を教えられた。『ファンなら推しへのコールやふりは覚えとかないと』とか言われた」(男性/43歳/佐賀県)
・「映画館で、まだ予告編も始まる前に、横に座ったおじさんがこれから観る映画の監督や出演俳優について語りだした」(男性/58歳/福岡県)
・「クラシックコンサートで隣に座っていたおじいさんが、曲が始まる度にこの曲は〇〇なんだよといちいち言ってきた」(女性/40歳/東京都)

音楽や映画はしずかに楽しみたい人にとって、過剰な説明は苦痛になることも多い。

「美術館などの芸術会場」6.0%

・「美術館で展示された絵を鑑賞していたら、ベレー帽をかぶった老紳士が自慢げに絵を説明するのに参りました。『学芸員の方ですか』と聞いたら、暇をつぶしている一般の方で、絵の解説をするのが楽しくて仕方がない感じでした」(男性/60歳/愛知県)
・「年配のおじさんが、いかにも詳しいかのように絵の解説をして自慢げに知識を披露してきた。どう感じ取るかは鑑賞者それぞれの視点・感性にゆだねるべきところを、自分の考え方を押し付けているようで不愉快に感じた」(男性/49歳/東京都)
・「古墳などの遺跡や城遺跡の場で、歴史的観点について研究者が説明しているときも話していました。あっているのであればまだいいのですが、違っていることが多いので困りました」(男性/52歳/大阪府)

美術館では、自分の知識を披露したい人が多い印象だった。人に解説することが趣味のようになっている人もいるのかもしれない。研究者など、専門家の解説時には控えてほしいのが本音だ。

総評

教え魔は、自分の知識により相手が感謝してくれると思っている節がある。しかし、今回の踏査結果を見ると、あまり良い印象を持っていない人が多いことがわかるだろう。

教え魔への多くの意見は、下記のようなものとなっている。

・「本当に困っているときはありがたいが、多くの場合、意見の押し付けになり不愉快に感じる」(男性/49歳/東京都)
・「困っている人を助けてあげたいという親切心からの行動なら微笑ましいと思いますが、自分の知識や実力を披露したいだけなら身内でやってほしいです。行動を起こす際に『何か力になりましょうか?』など、相手に気配りできるかが大切だと思います」(女性/43歳/山梨県)

とはいえ、教えてもらえてありがたい人やうれしい人がいないわけではない。 実際、下記のような意見もある。

・「ただで教えてくれる親切な人」(男性/53歳/東京都)
・「時と場合によるが、教えてもらってうれしい時と、自分一人や友達同士だけで行動したいときや、ゆっくりのんびりしたいときもあるので良い悪いがある」(男性/59歳/愛知県)

求めていないときに教え魔と遭遇した場合に備えて、どのように対処すべきか考える必要性もありそうだ。

調査時期: 2021年4月1日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 1,010人
調査方法: インターネットログイン式アンケート