俳優の鈴鹿央士が、27日に最終回を迎えるTBS系日曜劇場『ドラゴン桜』(毎週日曜21:00~)で、学年トップの成績を誇り、優秀ゆえに他人を見下す癖がある藤井遼を熱演。普段はおっとりしていて優しい印象の鈴鹿とは全く違う、見事な憎まれ役になりきり、少しずつ東大専科の生徒に心を開いていく変化も繊細に演じてきた。
直前に放送されていた主演ドラマ『ホリミヤ』では心穏やかな男子高生を演じ、その役とのギャップに驚かされたという声もSNS上で見られた。「最近はどんな役でもやれる」という意識で作品に臨んでいるという鈴鹿は、本作で自身とかけ離れた新たな役に挑戦し、「少し自信がついた」と語る。そして、大いに刺激を受けたという阿部寛をはじめとする共演者とのエピソードや、心に刺さった桜木建二の言葉も明かしてくれた。
――藤井くんを演じるにあたって意識していることを教えてください。
(後半になってきた)今は、東大専科のみんなに対する仲間意識や、誰とどれくらいの関係性にいて、どういう関係を構築してきたのか意識しています。また、ちゃんと人間らしさを出したかったので、薄っぺらくならないように意識しました。
――人間らしさをどのように出そうとしたか、もう少し詳しくお願いします。
兄弟の問題や家庭における立ち位置など事前に聞いていましたが、いろいろひどいことをした3話と5話では、その部分は出すぎないようにして、純粋に嫌なヤツだなと思われるようにしました。その後、初めて東大専科のみんなと授業を受けたり、みんなとカレーを食べたりするときに、本来持っていたものを出すようにしました。孤独になりたくて孤独になった人ではなく、本来は人一倍、仲間意識が強いと思うので、そういうところを存分に出して深さを見せられたらと思いました。
――鈴鹿さんはおっとりされていて、しゃべり方もゆっくりな印象です。中盤までの藤井くんは、まくしたてるような話し方で人を追い詰めていく嫌なヤツでしたが、普段の自分とは全く違う役を演じるのはいかがでしたか?
そんなに違和感はなく、こういう役は初めてだったので、とにかく楽しめればいいなと思っていました。普段の自分とも違い、演じたことのない役でしたが、自分で可能性をつぶしたくなかったので、できないんじゃないかとは思わないようにしました。最近はどんな役でもできると思うようにして、藤井遼という役もいいチャレンジができていると感じています。
――藤井くんに影響されていることはありますか?
そんなにないですね。カットがかかったらすぐ普段通りになるので、引きずられることもないです。
――共演者の方から、普段の鈴鹿さんと藤井くんのギャップに驚かれることはないですか?
(原健太役の)細田佳央太くんは、僕が藤井としてすごい勢いで話しているのを見ているし、(小杉麻里役の)志田彩良ちゃんは映画で共演したことがあったので、「普段と違う」ってすごい言われます。カットになったらすぐ普通になるので、「ちょっとついていけない」と言われました(笑)
――ほかの生徒役の方たちは、役に引っ張られている感じがあるのでしょうか。
みんな引っ張られてないですね。ただ、僕はギャップが大きいのかなと。さっきまで怒鳴っていたのに急に「ふ~。お水ください~」みたいになるので、ほかの方より差が大きいのだと思います。
――ご自身とも、これまで演じてきた役とも全く違う役への挑戦になりましたが、自信になりましたか?
無限の可能性はあると思うし、どのタイミングでどんな役と出会うか誰にもわからないことですが、少し自信はついたと思います。とはいえ、『ドラゴン桜』の藤井遼という役なだけであって、藤井遼に似た役があったとしても全然違う人間になるので毎回が挑戦になるのかなと思います。