アイドルタイムは、飲食業界やホテル・ブライダル業界のような接客業や、製造業・IT関連でよく使われる言葉です。
本記事では、アイドルタイムの基本的な意味と言葉の由来、類語・言い換え表現や対義語についてまとめました。アイドルタイムの対策方法や、アイドルタイムを含む業界別の例文も紹介していますので、言葉の意味を正しく知り、使いこなせるようになりましょう。
アイドルタイムとは
アイドルタイムとは、店舗や交通機関などが空いている時間帯を指す言葉です。また、工場の設備やコンピューターなどが稼働していない時間も、アイドルタイムと呼ばれます。
アイドルタイムの由来
アイドルタイムの由来は、英語の「idle time」から来ています。「idle」は「仕事のない・怠惰な・使用されていない・暇な」などの意味があり、「idle time」は「遊休時間・非稼働時間」の意味です。カタカナ言葉で「アイドルタイム」としても、英語の意味は変わらずそのまま引き継いでいます。
同じ「アイドル」と表記される「idol」は偶像という意味があり、「アイドルタレント」の場合はこちらの英単語が語源です。カタカナでは同じですが意味が異なるので、混同しないよう注意しましょう。
アイドルタイムの対義語
アイドルタイムの対義語は「ピークタイム」です。もともと、「ピーク」(英語でpeak)には「山頂・最高点」等の意味があります。「ピークタイム」になると「もっとも忙しい時間帯」いう意味になり、工場の設備などもフル稼働している時間帯を指します。
業界別のアイドルタイムの意味
アイドルタイムは、飲食業や製造業などでよく使われる言葉です。業界別に、アイドルタイムはどういう時間帯を指すのかについて解説します。
飲食業
飲食業では、お客様が少ない時間帯のことをアイドルタイムと言います。朝から夕方までが営業時間のカフェなら、モーニングの時間とランチの時間の合間や、ランチタイムが終了した時間帯がアイドルタイムになることが多いでしょう。
店舗のキャパシティが決まっている飲食業は、アイドルタイムをどのように活用するかで、店舗の売上高が大きく変わってきます。
製造業
製造業の場合は、工場のラインが稼働せず待機している時間帯のことを指します。アイドルタイムが多いほど工場の稼働率は低下し、業績に悪影響を与える原因になります。
アイドルコストとは、アイドルタイムによる損失を指す言葉です。製造業にとっては、アイドルコストをいかに低く抑えて稼働率を上げるかが、生産性向上のカギとなります。
ホテル・ブライダル業
ホテルやブライダル業界でも、利用客が少ない時間帯のことをアイドルタイムと言います。例えば、ホテルの場合は、お客様がチェックアウトしてから次のお客様がチェックインする時間帯までがアイドルタイムです。
IT・コンピューター業界
IT・コンピューター業界では、パソコンのCPUやメモリ・OS、ネットワークの各種機器や通信回線などが使われていない状態のことを「アイドル状態」と言います。アイドルタイムとは、この「アイドル状態」が続いている時間のことです。
アイドルタイムの対策方法
アイドルタイムは、多くの業界で「効率の悪い時間帯」「稼げない時間帯」であり、有効活用することで業績アップも可能です。アイドルタイムを有効活用するための具体的な対策方法をいくつか紹介します。
仕込みや新メニュー開発に利用
飲食業を始めとした接客業の場合、アイドルタイムの活用方法は2パターンあります。1つは、アイドルタイムを忙しい時間帯ではできない作業に充てる方法です。飲食業ならアイドルタイムを仕込みや食材の買い出し、新メニュー開発などに活用します。
アイドルタイムを有効活用して接客のみに集中できる状態を整えることで、より効率よく質の高いサービスを提供できます。
アイドルタイムの集客対策
接客業のもう1つのアイドルタイム活用方法とは、アイドルタイムを狙い撃ちにした集客対策を行うことです。例えば、会社帰りのサラリーマンが立ち寄る居酒屋で、開店直後でお客様の少ない17時台に入店するとビール1杯サービス、というキャンペーンもそのひとつと言えます。
作業フローの見直しなどで無作業時間を削減
製造業では、工場設備のアイドルタイムをいかに減らし、効率良く稼働させるかという対策も必要になります。
材料の入荷や作業工程の中で、一時的に設備を使わない時間帯ができている場合は、作業フローそのものを見直してアイドルタイムを削減します。工場勤務によく見られる3交代制などの勤務形態は、工場設備を24時間稼働させる解決方法のひとつです。
アイドルタイムについて、業界別の意味や対策方法までを理解できたら、実際にビジネス上でアイドルタイムを使いこなせるようになります。
アイドルタイムを使った業界別の例文
アイドルタイムという言葉を具体的に使った例文を業界別に紹介します。自分でもアイドルタイムを使いこなせるようにしましょう。
飲食業
・アイドルタイムは人員配置を少なめにして、人件費を節約しよう。
・アイドルタイムの集客対策として、平日の15時~18時は、英会話教室や料理教室などのイベント向けに店舗を貸し出すようにした。
製造業
・アイドルタイムの削減は、人的生産性向上対策としても重要だ。
・工場の稼働率を上げてアイドルタイムを50%削減したところ、生産量が20%アップした。
ホテル・ブライダル業
・夕方のアイドルタイムは従業員の休憩時間、チェックアウトからチェックインの時間帯はベットメイクに利用する。
・アイドルタイムの有効利用として、昼間の数時間に部屋を貸し出すことも検討した。
IT・コンピューター業界
・このITシステムのピークタイムは9:00~10:00と13:00~14:00であり、アイドルタイムは15:00~16:00だ。
・ピークタイムの負荷を分散するには、アイドルタイムの有効活用を検討しなければならない。
アイドルタイムの類語・言い換え表現
アイドルタイムの類語や言い換え表現を紹介します。
遊休時間
遊休時間はアイドルタイムの日本語訳でもあり、言い換えが可能な言葉です。カタカナよりも漢字の方が適切な場合にはこちらの表現を利用しましょう。
無作業時間
無作業時間も、アイドルタイムの日本語訳として遊休時間とともに挙げられる言葉です。「無作業」という表現の方がアイドルタイムの意味としてわかりやすい場合には積極的に使いましょう。
待ち時間・待機時間
生産施設が使われずに待機したままの状態や、お客様を待っている時間を指す場合など「待ち」を強調する場合に言い換えられる表現です。
なお、一定の時間を決めて従業員が自由に行動できる休憩時間とは違い、待機時間は指示があればすぐに仕事ができる状態の時間で、労働時間の一部となります。
アイドルタイムの英語表現
アイドルタイムの英語表現は、そのまま「idle time」となります。idle timeを使った英語の例文をいくつか紹介します。
・Reducing idle time is also important as a measure to improve productivity.
(アイドルタイムの削減は、生産性向上対策としても重要だ。)
・As a way to make effective use of idle time, we considered renting out the room for a few hours during the day.
(アイドルタイムの有効利用策として、昼間の数時間に部屋を貸し出すことも検討した。)
アイドルタイムの意味を知り正しく使いこなそう
アイドルタイムとは、遊休時間や無作業時間のことです。アイドルタイムは飲食業や製造業、IT関連など幅広い業界で使われますが、業界によって少し意味合いが異なる場合もあります。しかし基本的に「無作業時間」だということを把握していれば、大きく解釈を間違うことはないでしょう。
ビジネスにおいてはアイドルタイムをどう活用するかは重要な要素のひとつとなってきます。アイドルタイムの正しい意味を把握して、使いこなせるようになりましょう。