「以下」と「未満」を正しく使い分けていますか? 両者には明らかな違いがあり、理解していなければ日常生活や仕事に支障をきたします。例えばプログラミングの世界では、以下と未満の意味を取り違えて作成したプログラムは不具合を起こしてしまうはず。

本記事では正しい知識や記号での表し方、英語表現などについても解説します。最後まで読んで、混同しないように気を付けましょう。

  • 「以下」と「未満」の意味

    以下と未満の違いを把握しよう

以下と未満の違いとは? その値は含む?

以下と未満は、数量などを限定するという意味では同じですが、限定する範囲に明らかな違いがあります。

以下の意味とは

以下は、数量を表す言葉に付けて「その数量を含めてそれより下」を指します。つまり「18歳以下」は「18歳を含めて、それより下の年齢」を指すわけです。
以下に対する以上の場合も同じです。「18歳以上」は「18歳を含めてそれより上」を指します。

未満の意味とは

未満とは文字通り、「その数量に達していないこと」を指します。つまり「18歳未満」は「18歳を含めずに、17歳から下の年齢」を指すわけです。

未満の対義語は「超過」

以下と以上のような明確な対義語ではありませんが、「超過」がそれにあたります。超過は「量や時間が一定の限度を超えること」を指します。ただし、以下や以上のように数量に付けて表現することはありません。つまり「18歳超過」とはせず、この場合は18歳を含まずに「19歳以上」という表現となります。

  • 「以下」と「未満」の意味

    遊園地のアトラクションでは、以下や未満で利用制限を設けていることが多い

以下と未満の使い分け

前述したように、以下と未満は「基準となる数量を含むか否か」で使い分ける必要があります。詳しく見ていきましょう。

基準の数値を含む場合は以下・以上

基準の数値を含む場合は、以下または以上を使います。

<例>
・15歳以上視聴可能…15歳を含みそれより上の年齢が視聴できる(15歳も視聴できる)
・小学生以下は小人料金…小学生全員とそれより下の年齢が小人料金(小学6年生も小人料金)

基準の数字を含まない場合は未満・超過

基準の数値を含まない場合は、未満または超過を使います。

<例>
・18歳未満は入場不可…17歳より下の年齢は入場不可(18歳は入場できる)
・体重100㎏超過の方は乗車不可…100㎏より重い場合は乗車不可(100㎏ちょうどは乗車できる)

以下・以上の例外的な使い方

ここで、以下・以上にだけ当てはまる、例外的な使い方を紹介します。

数量に付ける場合は基準となる数値を含みますが、数量ではなく程度を表す場合は別です。「お前は3歳児以下だ」などと表現する場合は、「3歳にも満たない」という意味となります。

同じように「期待以上にすばらしい完成度だ」と表現する場合は、「もともとの期待を超えている」「想像していなかったほどのすばらしさ」という意味になります。

  • 「以下」と「未満」の使い分け

    100kgを超過すると計測できない体重計もある(100kgまでは計測可能)

以下・以上と未満・超過の例文

ここでは例文をいくつか紹介します。基準となる数値が含まれるのか含まれないのか、確認しながら読みすすめましょう。

以下・以上を使った例文

以下・以上を使った例文です。

・中学生以下のお子様は無料です(中学3年生までは無料の対象)
・体重100kg以上のお客様はご乗車できません(ちょうど100kgの人も乗車できない)
・冨岡部長以下5名で参加いたします(冨岡部長を含む合計5名が参加)

未満・超過を使った例文

続いて、未満・超過を使った例文です。

・18歳未満は入店できません(18歳は入店できるが17歳は入店できない)
・2時間を超えた場合は超過料金をいただきます(2時間を1秒過ぎた時点から料金が発生する)

以下・未満を記号で表す場合

以下・以上・未満・超過は以下のような記号で表すことができます。等号や不等号は、算数や数学の授業でも習いましたね。読み方と合わせて復習しましょう。

「≦」(しょうなりイコール)…以下
「≧」(だいなりイコール)…以上
「<」(しょうなりかっこ)…未満
「>」(だいなりかっこ)…超過

次に、具体的に見ていきます。

・「60m以下」を記号で表現する:≦60m(60mを含む)
・「60m以上」を記号で表現する:≧60m(60mを含む)
・「60m未満」を記号で表現する:<60m(60mを含まない)
・「60mを超過」を記号で表現する:>60m(60mを含まない)

プログラミングでは、数値の大小を比較する処理が頻出します。間違えないように注意しましょう。

  • 以下・以上と未満・超過の例文

    交通費の小人料金なども、以下や未満の表記に注意を

以下と未満の類義語

ここからは、以下や未満のように範囲を限定する言葉をいくつか紹介します。ニュアンスの違いを確認してください。

以内

「以内」は時間・距離・数量などの範囲を示す言葉で、基準を含んでそれよりも小さい、あるいは内側の範囲のことです。以下と同じような意味で使うことができます。

以前

「以前」は時間や期間などに対して使います。前述したように「以」は基準となる数値を含む言葉ですが、以前の場合には少しあやふやです。例えば「明治以前」とする場合は、明治時代を含まずにそれより前の時代を指すこともあります。

ほかにも「能力以前の問題だ」とする場合は、能力を試すより前に根本的な問題がある、ということを指しています。

以降

以降」も時間や期間などに対して使います。以降の場合は、基準を含むという点は明確です。「17時以降は空いている」という場合は、17時を含んでそれよりあとの時間は空いているということになります。

以来

「以来」は基準となる時点から続いている、という意味です。「今年の元旦以来、父は禁煙を続けている」というと、元旦を含んだ時点からずっと禁煙を続けているという意味になります。

以外

「以外」は基準となる範囲を含んで、その外側を指します。「関係者以外、立ち入り禁止」という場合は、関係者までを含む範囲より外側の人間は入っていはいけないという意味です。

  • 「以下」と「未満」の類義語

    例外もあるが、「以」を含む単語は基準を含むと覚えておこう

以下と未満の英語表現

以下と未満、それぞれの英語表現は以下の通りです。

日本語 英語 用法
以下
〇≦基準値
~or less
~or under
18 or less:18以下
18 or under:18以下
未満
〇<基準値
less than~
under~
less than 18 :18より少ない(18未満)
under 18 :18より下(18未満)
以上
基準値≦〇
~or more
not less than~
18 or more:18またはそれ以上(18以上)
not less than 18:18より少なくない(18以上)
~を超える
基準値<〇
more than~
greater than~
more than 18:18よりも上
greater than 18:18よりも大きい

初めのうちは少し考えてしまうかもしれませんが、意味を理解すれば使い分けられるようになります。

以下はその値を含み、未満はその値を含まない! 違いを理解しておこう

以下と未満について、改めて確認していただけましたか。学生時代に習った等号や不等号についても触れました。英語表現については知らなかったという人も多いかもしれません。

以下や未満のように範囲を限定する言葉は、意味を間違えれば仕事や日常生活で支障をきたすことになります。トラブルを招かないためにも、しっかりと覚えておきましょう。