• 「移動」と「異動」の意味の違いは?

    「移動」と「異動」の違いについて解説していきます

読み方は同じでも、漢字の表記と意味が異なる単語があります。

「移動」と「異動」もその一つで、いずれも「いどう」と読みますが、意味の違いはご存知でしょうか。具体的な意味の違いや使い分けについてはよくわからないという人も多いでしょう。

この記事では「移動」と「異動」の意味の違いや使い分け、さらには英語表現についてご紹介します。住民票で使われる表記がなぜ「異動」なのかについても触れるので、ぜひ最後まで読んでみてください。

「移動」と「異動」の違いは? 意味を解説

  • 「移動」と「異動」の意味の違いは?

    「移動」と「異動」の違いを把握して、文脈や状況に応じて適切に使い分けていきましょう

「移動」も「異動」どちらも「いどう」と読み、特に会話の中で使われると、違いがわからなくなることもあるでしょう。

「移動」と「異動」それぞれにどのような意味があるか理解すれば、違いがわかるようになります。まずはそれぞれの言葉の意味を把握しましょう。

「移動」の意味

「移動」とは、ある場所からほかの場所へ移ることです。物理的な意味での位置や場所を移ることを意味しています。

たとえば、「入り口にあった机を窓際に移動した」と表現した場合、机の置いてある場所が入り口から窓際に移ったという物理的な位置の動きを表しています。

「異動」の意味

「異動」には、3種類の意味があります。

まず、「異動」には職場での地位や勤務状況、勤務地などが変更になるという意味があります。転任や退任などの人事の配置に変更がある場合に使われる言葉です。

従業員の地位や立場の変更、所属する係や部署、支店の変更などにも使われます。

「異動」の意味の2つ目として、「物事に前の状態とは異なる動きが起きること」という意味があります。

「前回から何も異動がないようだ」と使った場合、「前回と比較して物事の状況に何の変化もない」という意味になります。小説などで使われることもある表現です。

「異動」の意味の3つ目は、現在契約している保険の契約期間中に契約内容の変更が生じ、契約条件が変わるという意味です。現在とは異なる内容の保険に移る場合にも「異動」と表現します。

3ついずれの場合も同じ「異動」という漢字と読み方が使われるため、文章を読むときや会話の中で聞いたときには、状況や前後の文脈からしっかりと意味を区別するようにしましょう。

また、自分が「異動」を使う際には、自分がどの意味で使っているのか、相手が混乱しないように場合によっては詳細な意味を添えるなど工夫が必要です。

「移動」と「異動」の違い

「移動」は物理的に場所を移ることで、「異動」は人事の変化・内容の変化があることを表しています。

たとえば「課長は会議のために、月末は新宿のオフィスから渋谷の本社に移動しないといけない」という場合、課長が新宿のオフィスから渋谷の本社に物理的に場所を移動するという意味です。課長の立場など、人事としての概念的な異動はありません。

一方で、「課長は企画部から人事部に異動することになった」という場合を考えてみましょう。この場合、課長には企画部から人事部への職務上の勤務の変更が発生し、概念的な動きがあるため異動を使用します。

物理的に人やものが場所を動くだけなのか、それとも立場や役職など概念的な動きがあるのかを把握することで、「移動」と「異動」の違いがわかりやすくなるでしょう。

住民票は「異動」を使う

  • 住民票は「異動」を使う

    住民票の異動では、住民登録の概念が変更されるため「異動」を使います

「異動」というと「人事異動」のイメージがありますが、住民票を移す場合も「異動」が使用されます。

住民票の場合、居住者本人は引っ越しにより住む場所を物理的に移動しますが、その人の居住地の内容が変更され、住民票の登録という概念が動くため住民票に対しては「異動」を使うのが適切です。

「住民票の異動」という言葉を文章で使うときには、「異動」を使うことを覚えておきましょう。

「移動」と「異動」の英語表現

  • 「移動」と「異動」の英語表現

    「移動」と「異動」の英語表現もぜひ押さえておきましょう

「移動」と「異動」について、それぞれ英語表現をご紹介します。それぞれの意味の違いについて注意しながら、ぜひ例文とともに英語表現も把握しておきましょう。

「移動」の英語表現

Why did you move to one seat ahead?
なぜ一つ前の席に移動したのですか?

「移動」を英語で表現したいときは、「動く」「移る」という意味がある「move」を使用できます。

「異動」の英語表現

I am transferred to Tokyo due to personnel changes.
人事異動で東京に異動する。

「異動する」を英語で表現する場合は、「transfer」を使用することが多いです。

ビジネスシーンで英語を使う機会のある人は、「移動」と「異動」の英語表現もぜひ把握しておきましょう。

「移動」と「異動」の使い方と例文

  • 「移動」と「異動」の例文

    「移動」と「異動」ごとに例文をご紹介します

下記で「移動」と「異動」の例文をご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。

「移動」の例文

  • うちの市の移動図書館は、市内の学校や公園などを中心に28か所を移動している
  • 結婚披露宴が終わったあと、みんなで二次会会場に移動した

「異動」の例文

  • 急な人員不足で、データセンターからコールセンターに異動することになってしまった
  • 毎日状況を確認していたが、今日も異動なく昨日と何も変わっていなかった
  • 住民票の異動の手続きのために、明日は市役所に寄ろうと思う
  • 保険の契約内容に異動があったので、時間があるときにくわしく確認したい

「移動」と「異動」の違いを把握して正しく使い分けよう

「移動」は、ものや人が別の場所へ移ることを意味するときに使われます。「異動」は、職場での地位や勤務が変わること、人事上の変更が起きた場合、物事に前の状態と異なる動きが起こった場合、保険の変更などで使用されます。

物理的に場所を動くときには「移動」を使用しますが、人事上の立場や物事の内容の変更が伴う場合に使うのは「異動」です。住民票においても、登録の概念が変わるため、「異動」が使われます。

言葉の概念や文脈を理解して同じ読み方の単語である「移動」と「異動」も正しく使い分けていきましょう。