「いずれ」と「いづれ」、どちらが正しいのかご存知でしょうか。
書類やメールを作成する際、どちらを使えばいいのか迷った経験がある方も少なくないはず。今回は「いずれ」と「いづれ」どちらが正しいのか、違いや意味などをご紹介します。
「いずれ」と「いづれ」どっちが正しい?
「いずれ」と「いづれ」、どちらが正しいのか解説します。
正しい仮名遣いは「いずれ」
今から約35年前の昭和61年に「現代仮名遣い」について内閣告知が出され、「づ」から「ず」へ統一されることになりました。そのため現代で用いられる標準語である現代仮名遣いとしては、「いずれ」が正しい仮名遣いとなります。
一方「つづ(続)く」や「て(手)+づくり(作り)」のような同音連呼や二語の連合によって生じる「づ」の使用は、現代仮名遣いでも一部例外として現在も使用されています。
現代でも「いづれ」が使用されている例もあり、一概に間違いとは言えませんが、「いずれ」が標準語として正しい表記になることは覚えておくといいでしょう。
歴史的仮名遣いである「いづれ」
「いづれ」は、現代では歴史的仮名遣いという扱いになっています。現代においては使用されておらず、昔に使用されていた仮名遣いということです。
よって基本的には、「いづれ」ではなく「いずれ」と表記するようにしましょう。
「いずれ」の意味
そもそも「いずれ」とは、どのような意味を持つのでしょうか。実は「いずれ」には大きく分けて3つもの意味があるのです。
以下で「いずれ」が持つそれぞれの意味について解説します。
不定称の指示代名詞として「どれ」「どっち」「どちら」を表す
不定称の指示代名詞として「いずれ」を使用することができ、「どれ」「どちら」「どっち」を意味します。
例えば、「合否いずれの場合もご連絡いたします」は「合否どちらの場合も連絡いたします」、「いずれの服もデザインが素晴らしい」は「どちらの服もデザインが素晴らしい」という意味になります。
プロセスを経た上での結果を表す
また、「いずれ」はさまざまなプロセスを経た上で導かれる結果も意味します。例えば、「いずれ彼の悪事はバレるに決まっている」は「どのみち彼の悪事はバレるに決まっている」という意味です。
近い将来を表す
「いずれ」は近い将来も表すことができます。
例えば、「そのうち」といった言葉に言い換えが可能です。例えば、「いずれ伺います」は「そのうち伺います」という意味になります。
「いずれ」の漢字表記
「いずれ」は、一般的にひらがなで表記されますが、漢字で表記することも可能です。
漢字表記は「何れ」「孰れ」
「いずれ」を漢字で表記すると、「何れ」や「孰れ」となります。
2種類ある漢字表記ですが、「何れ」が一般的な漢字表記です。日本の古文書には「何」は「何処(いづこ)」や「何方(いづへ=どこへ)」と記載があることから、現代でも「何れ」が「いずれ」の漢字表記として継がれているのです。
一方「孰れ」は、中国史などで使用されている漢字です。
「いずれ」の類語表現
「いずれ」には、さまざまな類語表現があります。今回は先述した、不定称の指示代名詞として使用する場合・プロセスを経た上での結果を表す場合・近い将来を表す場合に分けて、言い換えできる類語をご紹介します。
不定称の指示代名詞として使用する場合
プロセスを経た上での結果を表す場合
結局、どちらにしても、いずれにしても、どうせ、どのみち
近い将来を表す場合
そのうち、近々、近いうちに
「いずれ」を使用した例文
最後に、「いずれ」を使った例文を、不定称の指示代名詞として使用する場合・プロセスを経た上での結果を表す場合・近い将来を表す場合に分けてご紹介します。
不定称の指示代名詞として使用する場合
「いずれ」が「どれ」「どっち」「どちら」を意味する場合の例文をご紹介します。
- 赤あるいは白、いずれかを選んでください
- 景品5個の中から、いずれか2つをお選びください
- メール、電話、はがき、いずれの方法でも問い合わせ可能です
- これらの商品は、いずれも高い評価を受けています
プロセスを経た上での結果を表す場合
「いずれ」が「結局」「どちらにしても」などのプロセスを経た上での結果を表す場合の例文をご紹介します。語尾に「せよ」を付けても同様の意味を表します。
- いずれにしても大事に至らなくてよかったです
- いずれにせよ今すぐに出発しなければなりません
- いずれにしても週末までにご報告いたします
- いずれにせよ事前にスケジュールを詰める必要があります
近い将来を表す場合
「いずれ」が「そのうち」「近々」などの誓い将来を意味する場合の例文をご紹介します。
- いずれその花は散ってしまうでしょう
- いずれ雨が降ってくるでしょう
- いずれお目にかかることができると思います
また、ビジネスシーンにおいて社交辞令としても使用可能です。
- いずれまたご一緒できることを心より願っております
この例文に使用される「いずれ」は、「近いうちに」や「近々」という未来の意味を表していますが、いつになるかははっきり述べておらず曖昧な表現です。つまり、「いつになるかわからないが、機会があればまたご一緒したい」という相手に対して好意を表現できる言葉になります。
「いずれ」と「いづれ」の意味や使い方を理解して正しく使おう
今回は、「いずれ」と「いづれ」どちらが正しいのか、「いずれ」の意味や例文などをご紹介しました。
「いずれ」と「いづれ」だと、現代においては「いずれ」が正しい表記です。「いづれ」は歴史的仮名遣いに分類されています。
言い換え表現はたくさんありますが、使いこなせるようになると、表現の幅が広がります。覚えやすいものから繰り返し使って、ぜひ表現力を高めてみてくださいね。