「ベストプラクティス」という言葉を見聞きしたことはあるでしょうか。ベストプラクティスとは「最も効率の良い方法」「業界標準」などいくつかの意味があり、時と場合や文脈によって使い分けられます。ビジネスシーンでも使用する機会が間々あるでしょうから、その意味をしっかりと理解しておけばいざというときにも困りません。

そこで本記事では、ベストプラクティスの意味や使い方を解説します。

  • ベストプラクティスとは

    ベストプラクティスが持ついくつかの意味について理解しましょう

ベストプラクティスとは

まずは、ベストプラクティスの意味や由来、類義語などについて解説します。

ベストプラクティスの意味

ベストプラクティスには「一番効率的な方法」「最適だと思われる方法」「業界水準」「未だかつてない最高の手法」という意味があります。ビジネスの場において使われることが多い言葉です。

ベストプラクティスの由来

ベストプラクティスの言葉の由来は英語「Best Practice」です。英語での意味も日本語と同じで、「一番良いとされる方法」という意味で使われます。

ベストプラクティスの類義語

ベストプラクティスの類義語としては、「セオリー」「成功の秘訣」「勝利の秘策」「一番良い方法」「戦略」という言葉が挙げられます。どの言葉も、「さまざまな方法の中から一番良いものを選ぶ」という意味で前向きな意味で使われます。

  • ベストプラクティスとは

    時と場合、文脈に沿った使い分けが大切です

ベストプラクティスの使い方と例文

ベストプラクティスの意味や類義語をつかんだところで、使い方と例文を紹介します。

ベストプラクティスの使い方

ベストプラクティスは「一番効率的な方法」「最適だと思われる方法」という意味の他に「業界水準」「未だかつてない最高の手法」という意味もあり、文脈によって判断する必要があります。 ここでは、ベストプラクティスの使い方をシチュエーション別に解説します。

ベストプラクティスの例文

ベストプラクティスの使い方を例文を使って解説します。

社内の人と情報共有するときのベストプラクティス

(例文)

社員A: 会社の働き方がフレックスタイム制になった場合、社内連絡を行うときの「ベストプラクティス」ってなんですかね。

社員B: やっぱり法人向けの連絡ツールを使うのが「ベストプラクティス」なんじゃないかな。

この場合のベストプラクティスは、「一番効率的な方法」「最適だと思われる方法」という意味で使われています。このように言葉を変えてみると、考えやすくなるのではないでしょうか。

営業先でのプレゼンのときに使うベストプラクティス

(例文)

取引先担当A: 御社の商品は他社の商品と比べるとどのくらいのレベルなんですか?

自社営業担当B: そうですね、ベストプラクティスだと自負しております。

この場合のベストプラクティスは、「業界水準」という意味で使われています。レベルやクオリティを問う質問の答えとして出たベストプラクティスは「業界水準」という意味であり、「一番効率的な方法」では意味が通らないので注意しましょう。

  • ベストプラクティスの使い方と例文

    例文を通してベストプラクティスの使い方をマスターしましょう

マーケティングにおける3つのベストプラクティス

今までは、ベストプラクティスの意味や使い方などを中心に解説しましたが、ここからは少し視点を変えて、ビジネスにおいては欠かせないマーケティングにおける3つのベストプラクティスを紹介します。

マーケティングにおけるベストプラクティスというのは、マーケティングをするときに「最適だと思われる方法」です。具体的には、使うべきツールや手段、組み込んでおいた方がいい手順などです。

Google Analytics を使う

無料で使えるマーケティング分析ツール「Google Analytics」は使うべきです。「ユーザー」「集客」「行動」「コンバージョン」などのメニューに分かれていて、サイトの訪問数をはじめ、どこの検索や広告からの流入がどれくらいあるのか、ユーザーのサイト内での行動やすべてのページのPV数などを確認できます。

このツールを使うことで、Google広告などの費用対効果の分析やプラットフォームのテストができ、戦略的なマーケティングを行えるのです。

メールマーケティングを駆使する

会員登録者や購入履歴のある人に向けてメールマガジンやニュースレターの配信を行うのも、顧客との関係の構築や定着を図り、次の購入を促すためのベストプラクティスだと言えます。特にBtoBでは購入を決定するまでに時間がかかる傾向があるため、メールマガジンやニュースレターを送ることで、顧客に放置されて忘れられてしまうことを防ぐ役割もあります。

ペルソナを特定する

ペルソナを特定するのもマーケティングを行ううえでのベストプラクティスだと言えます。ペルソナとは、売りたい商品やサービスのターゲットの詳細のことです。例えば、ターゲットの性別や年齢だけではなく、好み、職業、住んでいる場所、置かれている状況、悩み、顕在ニーズ・潜在ニーズなどをできるだけ詳しく決めます。

そうしてターゲットを絞り込むことで、より正確なマーケティング戦略を考えることができます。

  • マーケティングにおける3つのベストプラクティス

    マーケティングにもベストプラクティスが存在します

ベストプラクティスのメリット・デメリット

ベストプラクティスのメリットとデメリットを紹介します。

メリット

ベストプラクティスのメリットは、やはり業務の効率化が期待できるという点です。例えば、とても時間のかかる事務作業をすべて手動で行っていたとします。これを自動にできて効率化が図れるツールがあれば、その業務にかかっていた時間を大幅に短縮できるでしょう。ベストプラクティスは何かを考え、追い求めることで業務の効率が期待できます。

デメリット

ベストプラクティスのデメリットとしては、既に存在する「ベストプラクティス」に頼りすぎると大きな進歩がないということです。これは、デメリットというよりも注意したい点だと言えます。

今ある中で最も良い方法が10年後にはベストプラクティスかどうかは確かではありません。人間が進化を遂げるうえでは、既に存在する「最良の方法」を無視してさらなる「最良の方法」が生まれてきました。

したがって、ベストプラクティスに満足しすぎてはいけない、という点を留意しておきましょう。

  • ベストプラクティスのメリット・デメリット

    ベストプラクティスにもメリットとデメリットが存在します

ベストプラクティスの事例

実際にあったベストプラクティスの事例を紹介します。

有限会社加藤農場

北海道の有限会社加藤農場では、道内最大規模を誇る広大な農地での作業の効率化を図るために、機械に6,000万円以上、施設に5,000万円以上を投資しました。これほど巨額の費用を投資に回したにもかかわらず、収穫量の増加と作業の効率化に成功し既に資金は回収済みです。今まで時間をかけて手動で行っていた作業を機械を使って効率化したという、ベストプラクティスの一例です。

佐賀県武雄市

こちらは地方自治体のベストプラクティスの一例です。佐賀県の武雄市は、意見収集や市民とのより良い関係の構築を目的として、公式ホームページをFacebookと統合しました。Facebookを使うことで、リアルタイムの情報発信が可能になり、関心を寄せた市民との関係構築がしやすくなった他、集めた意見を活かした政策が期待されています。

これまでの地方自治体にはあまり見られなかったSNSを活用するという先進的な取り組みで、より良い市民との関係を構築しているベストプラクティスの一例です。

  • ベストプラクティスの事例

    事例をみることでより深く理解できるでしょう

ベストプラクティスの発想を持とう

今回は、ベストプラクティスについて解説しました。ベストプラクティスは時と場合によって意味が変わってくるため、少し注意が必要です。また、社内外でコミュニケーションを取る上で、ベストプラクティスの意味が通りにくいときは、日本語に言い換えてみると良いかもしれません。少し難しい言葉ですが、ベストプラクティスの意味を正しく理解して使うようにしましょう。