メールで書類やデータを送る際、失礼にならない文章の書き方について悩むことがあるもの。「お送りします」と「お送りいたします」、どちらの表現が正解なのか迷ったことがある人も多いでしょう。

本記事では「お送りします」の意味と「お送りいたします」という表現との違い、例文、英語表現をくわしく解説します。

  • 「お送りします」と「お送りいたします」はどちらも正解

    「お送りします」と「お送りいたします」の違いや使い方を解説する記事です

「お送りします」と「お送りいたします」はどちらも正解

書類やデータを送るときに「お送りします」と「お送りいたします」の2つの表現を目にすることがあります。上記2つは、どちらもビジネスシーンで使える正しい日本語です。

ここでは、「お送りします」と「お送りいたします」の意味や解釈をご紹介します。

■「お送りします」の意味

「お送りします」は「送る」を「お〇〇する」の形にした謙譲語です。謙譲語とは自分を下げて相手を立てるときに使います。謙譲語は目上の人や上司に対して使用できる言葉なので、「お送りします」をビジネスシーンで使うのは正解です。

謙譲語は自分が何かをするときに使う言葉なので、「お送りします」は書類を送ったりデータを添付したりするときに使えます。

■「お送りいたします」も使える

「お送りいたします」は「する」を謙譲語の「いたす」に代えた言葉です。「お送りいたします」自体も謙譲語になるため、ビジネスシーンで使えます。「お送りいたします」は「お送りします」よりも敬意の度合いが高いので、上司や取引先に対して使うとより丁寧な印象を与えられます。

ただし、謙譲語とは相手が何かしらの恩恵・利益を受けるときにときに使える言葉です。そのため、請求書などを送るときに「お送りいたします」を使ってしまうと相手に違和感を与える可能性があります。

また「お送り致します」のように「いたす」を漢字であらわすのは間違いです。「お送りいたします」の「いたす」は補助動詞のため、平仮名にするのが正解です。動詞で使用する場合は「致す」と漢字にする決まりがあります。

間違った使い方は上司や取引先に対して失礼にあたりますので気をつけましょう。

■「お送り申し上げます」はさらに丁寧

「お送り申し上げます」は「お送りいたします」よりさらに敬意を高めることができます。取引先にメールを送る際、「お送りいたします」よりも丁寧な文章にしたい場合は「お送り申し上げます」を使うと良いでしょう。

■同僚・上司・取引先・顧客などで使いわける

書類やデータを送るとき、相手が同僚・上司・取引先・顧客かによって使い分けることが可能です。敬意の度合いの順番は下記の通りに変わります。

「送ります」
 ↓
「お送りします」
 ↓
「お送りいたします」
 ↓
「お送り申し上げます」

同僚には「送ります」、上司には「お送りします」や「お送りいたします」、取引先や顧客には「お送り申し上げます」と相手に合わせて敬意を高めましょう。

  • 「お送りします」と「お送りいたします」はどちらも正解

    「お送りします」は相手に合わせて使いわけるのがおすすめです

「お送りします」の別の敬語表現

「お送りします」の別の敬語表現を覚えると、状況に応じて正しい言葉を使えます。ここでは、別の敬語表現である「送らせていただきます」や「お送りさせていただきます」について解説します。

■「送らせていただきます」は許可をもらってから使う

「送らせていただきます」は謙譲語と丁寧語を組み合わせた言葉です。「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語で、丁寧語の「ます」を付けています。「送らせていただきます」は敬語表現になるため、目上の人や上司に対しても使用可能です。

ここで注意したいのが、基本的に「させていただく」は相手から許可を得たうえで使う言葉です。そのため、許可を得ていないのに一方的に「送らせていただきます」を使うのは不適切です。

ただし、最近ではビジネスシーンで使える敬語表現として許可を得ていない状況でも使用される場面が多くあります。状況に限らず常用化していることも把握しておくと良いでしょう。

■「お送りさせていただきます」はさらに丁寧

「お送りさせていただきます」は「させてもらう」の謙譲語「させていただく」を使用した言葉です。上記でご紹介した「送らせていただきます」より丁寧な敬語表現になるので、相手に応じて使いわけましょう。

「お送りさせていただきます」も基本的には「送らせていただきます」と同じく相手から許可を得たうえで使う言葉です。

■「送らさせていただきます」は誤用

「送ら(さ)せていただきます」のように間に「さ」を入れるのは「さ入れ言葉」で間違った使い方です。「さ入れ言葉」は本来「〇〇せていただく」と表現する言葉に「さ」を入れてしまった誤用なので注意しましょう。

  • 「お送りします」の別の敬語表現

    「お送りします」の別の敬語表現は使い方に注意が必要です

「お送りします」の使い方・例文

ビジネスシーンで「お送りします」を正しく使用するために、この章では使い方や例文をご紹介します。

■お送りします

まずは、「お送りします」の一般的な使い方を見てみましょう。

【例文】
・先日の資料は後ほどお送りします
・出欠リストをお送りします
・先日ご注文いただいた〇〇をお送りしました

上記のように文末に付けるだけなので難しくはありません。さまざまな場面で応用して使えます。

■お送りしますのでご確認ください

しっかりと確かめてほしいという意味の「ご確認ください」は「お送りします」とともによく使われる言葉です。

接頭辞の「ご」と名詞の「確認」、丁寧語の「ください」を合わせており、確認してほしいという意味を丁寧に表現しています。データや書類の確認を促すときに使用可能です。

【例文1】
・データをお送りしますのでご確認ください

ただし、「ください」は命令系なので相手に上から目線の印象を与えてしまうこともあります。上司や取引先などに使用するなら、下記のようなより丁寧な敬語表現を使用しましょう。

【例文2】
・お送りしますのでご確認をお願いいたします
・お送りしますのでご確認くださるようお願いを申し上げます
・お送りしますのでご確認のほど、よろしくお願いいたします
・お送りしますのでご確認いただけたら幸いです
・お送りしますのでご確認いただけければと存じます
・お送りしますのでご確認くださいますよう、お願い申し上げます

■お送りしますのでご査収ください

内容に誤りがないか確かめてほしいという意味の「ご査収ください」もビジネスシーンでよく使います。資料や見積書、納品書、請求書などを送付する際に使用可能です。送ったものを確認したうえで受け取ってほしいという意味になります。

「ご査収ください」は口語ではなくメールなど書き言葉として使われる日本語です。

【例文1】
・納品書をお送りしますのでご査収ください

ただし、「ご査収ください」に関しても「ください」が上から目線な印象を与えるため、相手に合わせてより丁寧な敬語表現で使用しましょう。

【例文2】
・お送りしますのでご査収のほど、よろしくお願いいたします
・お送りしますので、ご査収いただきますようお願いを申し上げます

  • 「お送りします」の使い方・例文

    「お送りします」の使い方・例文を確かめてビジネスシーンで正しく使いましょう

「お送りします」の英語表現

「お送りします」を英語で表現するときは「send (送る)」や「attach (添付)」が使えます。2つに分けて使い方を見てみましょう。

■ send

英文:I will send you the documents of the other day
意味:先日の書類をお送りします

英文:We will send you the materials, so please check them
意味:資料をお送りしますのでご確認をお願いいたします

英文:We will send you an invoice, so please accept it
意味:請求書をお送りしますのでご査収のほどよろしくお願いいたします

■ attach

英文:I will attach the data to this email
意味:データをこのメールにてお送りします

英文:For details, please check the attached material by e-mail
意味:くわしくはメールにてお送りした資料をご確認ください

  • 「お送りします」の英語表現

    「お送りします」は英語の「send(送る)」や「attach(添付)」で表現できます

「お送りします」はビジネスシーンで使える謙譲語

「お送りします」は謙譲語で、相手を立てるときに使えるためビジネスシーンで使用できます。さらに敬意を高めたいなら「お送りいたします」や「お送り申し上げます」を相手に合わせて使いわけると良いです。

「お送りします」には別の敬語表現もあるので、合わせて確認してください。また、例文や英語表現もチェックして、「お送りします」を使いこなしましょう。