俳優の吉沢亮が、主演を務める大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で、新一万円札の顔としても注目される日本資本主義の父・渋沢栄一の若き日を好演している。第4回、5回、7回、9回、そして、きょう30日放送の第16回も手掛けた演出の村橋直樹氏は、吉沢の演技を「ブレないものを持っている、真ん中にくるべき役者」と称賛。主演としての魅力を語った。
幕末から明治へ、時代の大渦に翻弄され挫折を繰り返しながらも、青天を衝くかのように未来を切り開き、約500の企業を育て約600の社会公共事業に関わった渋沢栄一。これまでの放送で、栄一は一橋慶喜(徳川慶喜)に仕官し、農民から武士へ。節目節目で人生を左右する決断をしながら、「みんなが幸せなのが一番」という精神で突き進んでいる。
栄一が御用金の要求に反発した第4回「栄一、怒る」や、山頂で青天を衝き心を決めた「青天の栄一」など、栄一にとって重要な回を担当し、第16回「恩人暗殺」も演出した村橋氏は、「栄一はだんだん大人びてきているし、少しずついろんなものが見えてきている。そういうところを、吉沢さんは変えてきている」と、吉沢の演技の変化を感じているという。
その一方で、「根っこの部分を変えないのがうまい」と言い、「状況はどんどん変わっているけど、根っこの部分は農村時代から変わっていない。根っこを変えずに演じてくれている吉沢亮はすごいなと思います」と絶賛。「形はいろいろ変わっていて、そうなるといろんなところがブレていくんですけど、吉沢亮くんは本当にブレないものを持っている、真ん中にくるべき役者だなと感じています」と魅力を語った。
そして、その“ブレないもの”について、「子役時代の頃からのものをちゃんと受け取って演じている。お母さんやお父さんから受け取ったものが大事な脚本になっていますが、子役時代のことも含めて吉沢さんの中に核みたいなものがあるんだろうなと思います」と話した。
吉沢自身は以前行われた会見で、「最初はすごく苦しかった。栄一という人物がどんな感じなのか、形としては想像がつくけど芯の部分をつかめてなかった」「お芝居していくうちに体に馴染んでいく感じがあって、周りの方のおかげかなという感じです」と語っており、演じていく中で核となるものをつかんだようだ。
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