災害、病気やケガ、会社の倒産や業績不振による収入の減少など、人生には思わぬ事態が発生することがあります。そのために私たちは保険に加入したり、少しでも蓄財したりして万一に備えます。そうした備えが不足して、住宅ローンの返済に窮する事例は今までも、いろいろ報道されてきました。しかし、ウイルス感染症でこのような事態になると考えていた方はそう多くはなかったのではないでしょうか。

  • 「住宅ローンが払えないかもしれない」と思ったらやるべきことは?

    「住宅ローンが払えないかもしれない」と思ったらやるべきことは?

政府は様々なコロナ支援政策を用意しています。「利用できる制度」を正しく把握するとともに、一旦危機を乗り越えた後も大切で、再び社会環境の変化により窮地に陥ることのないように「家計の管理」について考えてみましょう。

対策は直ちに行うほど、リカバリーしやすい

コロナ禍により収入が減ったりして住宅ローンの返済が破綻しそうになったら、直ちに生活の立て直しのための行動を起こしてください。時間が経てば経つほど、リカバリーは難しくなります。

こまごまとした対策も、もちろん重要ですが、大ナタを振るわなければならない事態であれば躊躇なく思い切った方法をとりましょう。そのほうが結局は被害を少なくできます。対応が早ければ、住まいを手放さなくても済むことも考えられます。直ちに行うことは次の4つです。

1. 直ちに家計を見直し、節約する

下記の表にあるように、徹底して節約に努めます。

  • 短時間節約目標設定

    短時間節約目標設定

E項目はバッサリと削減し、D項目も大幅に見直しましょう。携帯電話等は家族全員所持しているケースもあるかとは思いますが、必要最低限として、一時的にでも解約して生活を立て直しましょう。何が大切かの優先順位付けが大切です。

バブル崩壊の時代に保険の見直しが盛んでした。現在は過度の保険に加入している方は少なくなっているとは思いますが、何が最も大切かを瞬時に判断しましょう。

2. 利用できる制度を把握して、交渉する

新型コロナのための政府の支援制度は次の項目でまとめますが、上記の家計の見直しのなかにある固定費に相当する項目であっても、政府の要請を受けて、猶予や免除が可能なケースもあります。ただし期限がありますので、別途確認ください。

  • 光熱費・NHK受信料等の猶予・免除
  • 保険料の支払いの猶予
  • 国税・地方税等の猶予

3. 住宅ローンの見直しの相談をする

まずは借り入れている金融機関に相談してみましょう。期間の延長などにより、月々の返済額を少なくすることも可能な場合があります。ただし、住宅ローンを見直しにより、生活が立て直せる見通しをつけていることが重要です。

銀行は返済を見直せば、その人が確実に返済していけるかどうかを見極めるはずです。今は返済に窮してしまってはいても、生活を見直して、今後はしっかりとして生活設計を立て、確実に返済継続していけるかどうかを銀行に納得してもらわなくてはなりません。住宅金融支援機構の窓口でも、以前からフラット35の見直し相談を受け付けています。

4. 収入確保の道を探る

当然、収入UPの道が考えられるのであれば、直ちに着手します。仕事を探して収入を確保してください。今大切なのは住宅ローンの返済を継続できて住まいを失わないことです。

また会社員であっても、昔から仲間内でアルバイトルートなるものもひそかに存在していました。生活の立て直しが一段落したら、将来に向けてじっくり取り組める仕事を探せばよいだけです。

新型コロナの影響で住宅ローンの返済に困っている方の支援制度

新型コロナによる影響に限らず、返済が難しくなった際の支援策は今までもありました。それに加えて、2020年の12月に、新型コロナの影響でローンが返済できなくなった方に対して、自己破産等とは異なった方法で返済を免除または減額する制度がスタートしました。

住宅ローンだけであれば返済可能な場合は、他の借り入れだけ減免することも可能です。その場合は住まいを残せます。とは言ってもハードルは低くはありませんが、自己破産を回避できるメリットは少なくありません。

対象者

新型コロナの影響で仕事を失ったり、収入が減少したり、売り上げが減少した個人、または個人事業主で、そのために住宅ローン、その他のローンの返済に困った方。

自己破産とは異なるメリット

  • 手続き支援を無料で相談(登録支援専門家)できる
  • 資産の一部を手元に残せる
  • 個人信用情報として登録されない

手続きの流れ

最も多額のローンを借り入れている金融機関に手続き着手を申請→「登録支援専門家」へ支援の依頼→債務整理の申請→調停条項案作製・提出・説明→簡易裁判所へ特定調停の申立て→調停条項の確定

新型コロナに対する支援事業のいろいろ

住宅ローンの支払いに窮する原因となったコロナ禍による収入減に対する支援策もいろいろあります。多くは申請期限が迫っていますが、利用できるものはもれなく活用しましょう。下記の表は住宅ローン返済中の方が利用できると思われる支援対策の一覧です。必ず詳細は窓口のHP等で確認ください。

  • 新型コロナによる収入減に対する支援事業

    新型コロナによる収入減に対する支援事業

軌道修正後の対策

当面の緊急処置が一段落したら、今後の長期的家計を見直すことが大切です。支援の多くは新たな負担もないわけではありません。例えば、住宅ローンの返済期間を延長して月々の負担を減らし、当面の危機を脱却しとしても、トータルの返済額は期間を延長した分増えます。その他猶予を受けた支払いもいずれ返済しなければなりません。

今回のコロナ禍もいつ収束するかわかりません。東京都県公安センターの調査によると、過去のスペイン風邪の完全終息には3年かかったようです。さらに、再び新型コロナなどの流行や何かしらの不運に見舞われないとも限りません。

本来は、住宅ローンは大きな借金ですので、借り入れる前にリスク対策は不可欠なのです。住宅ローンの支払いに支障をきたす事態になったということは、家計管理に何等か不備があったことになります。そこを是正しない限り、再び同じことを繰り返しかねません。

平均余命までの生涯収支表を作成し、弱点(=預貯金が少なくなりリスク対応力が弱い年齢)を把握できたなら、それに向けて今から家計を補強していくことができます。自営であれば、自分の業界の弱い点も把握し、リスク分散を考えてみましょう。