「天邪鬼(あまのじゃく)」とは、一般的に人と反対のことをしたり何かとつっかかってきたりするような人のことを指します。こんなタイプに出会ったら距離を置くのが正解ですが、ビジネスシーンではそうもいきません。

この記事では天邪鬼の意味や由来、類語、英語表現をご紹介。天邪鬼と呼ばれる人の性格や、こうしたタイプとのつき合い方などについても触れていますので、対処法を知って無駄なイライラを減らしましょう。

  • 天邪鬼(あまのじゃく)の意味

    天邪鬼な人ってどうやってつき合えばいいのでしょうか

天邪鬼(あまのじゃく)とは

はじめに天邪鬼の意味を確認しておきましょう。

天邪鬼の意味はひねくれ者

天邪鬼はひねくれた性格のことをいいます。人の意見に何かにつけて反対したり、わざと自分の本心と異なることを言ったりするような、面倒くさくて嫌われやすいタイプの人のことです。

ひねくれた性格の人を「彼は天邪鬼だ」と言ったり「彼は天邪鬼な人だね」と言ったりします。

天邪鬼は決して誉め言葉でないため、面と向かって「天邪鬼ですね」とは使いません。シーンや相手には十分に気をつけましょう。

天邪鬼の由来・語源

天邪鬼の歴史は古く、さまざまな由来を持っています。ここで紹介していきましょう。

天邪鬼の由来・語源1

最も古い文献では「古事記」「日本書紀」に登場する「天探女(あめのさぐめ)」が天邪鬼の由来と考えられています。

天若日子(あめのわかひこ)という神様が天からの命を受け地上に遣わされたものの、長いこと天に連絡しませんでした。そこで天の神々は使者として雉を送ります。しかし、天探女が現れて天若日子をそそのかし、雉を撃ち殺させます。天若日子は天の怒りを買って亡くなってしまいます。

天探女は人の心を探る女として他の神話にも登場していましたが、この逸話から「天の邪魔をする鬼=天邪鬼」という名が付いた、という説があります。

天邪鬼の由来・語源2

もっとも有名なのは、「瓜子姫」に登場する天邪鬼です。この話の中で天邪鬼は、瓜子姫をだまして柿の木に吊したり、瓜子姫に成り代わって殿様に嫁ごうとしたりします。

結局は正体がバレてしまうのですが、この民話から天邪鬼は「人の邪魔をするもの」「だますもの」という印象が強くなったと考えられます。

天邪鬼の由来・語源3

仏教では、「海若」「耐董」「天の邪古(あまのざこ)」とも書きます。仏教の守護神である四天王像の足元をよくみると、台座ではなく小柄な生き物を踏み台にしていることをご存知でしょうか。実はこの四天王像に踏まれている悪い鬼も「邪鬼=天邪鬼」と呼ばれています。

  • 天邪鬼(あまのじゃく)の由来

    天邪鬼の意味や由来・語源をご紹介しました

天邪鬼の類語・言い換え表現と対義語

ここでは、天邪鬼の類語・言い換え表現と対義語をご紹介します。

天邪鬼の類語・言い換え表現

天邪鬼の類義語は「ひねくれ者」「偏屈」「へそ曲がり」といった言葉が該当します。少し心根が曲がっている、偏りがあるという人のことです。

天邪鬼の対義語

ひねくれた、曲がったという意味の天邪鬼の対義語は、「素直」「率直」「単刀直入」などが挙げられるでしょう。どれもまっすぐで、ありのままの状態を指す言葉です。

天邪鬼の英語表現

天邪鬼の英訳は「devious」や「perverse」です。「へそ曲がりでひねくれている」「わざわざ反対のことをいう」という意味があり、歪んでいて難しい人を指すときに使われます。

  • 天邪鬼(あまのじゃく)の意味

    天邪鬼の類語や対義語、英語表現を解説しました

天邪鬼な人の性格とは

天邪鬼と呼ばれる人の特徴をまとめました。当てはまる人は近くにいませんか。

人と違うことをする

天邪鬼の特徴の一つは人と違うことをする点です。その場にいる全員が同じ方向を向いているのに、わざと人の意見に反対したり、揚げ足をとって邪魔をしたりします。集団の輪を乱そうとする厄介な人ですが、人と違うことをして注目されたいという思いが垣間見えます。

恋愛は奥手?

自分の気持ちに素直になれないのが天邪鬼。「好き」という気持ちを素直に言葉にできません。つい思っていることとは反対の行動をとってしまうため、相手に気持ちが伝わりにくいでしょう。

実は自己肯定感が低い

天邪鬼は自己肯定感の低さの表れだともいわれています。両親から愛情を注がれなかった、もしくは過保護に育てられたという生い立ち、人に裏切られた経験などが原因と考えられています。

自己肯定感が低く人とつながることを恐れるあまり、自分の気持ちと反対のことを言ったり人の邪魔をして嫌がられたりするのかもしれません。

対処法は自分の本当の気持ちに目を向けること

天邪鬼はマイナスの感情が作り出す性格です。自己肯定感が高まれば、素直な気持ちを表現できるようになるかもしれません。例えば「ありがとう」や「ごめんなさい」という言葉を、日ごろから意識して使ってみるのも効果があるとされています。

天邪鬼になる原因と直し方

ここでは、天邪鬼になってしまう原因と直し方について解説します。

天邪鬼になる原因とは

天邪鬼とは、自己肯定感の低さが大きく関係しているといわれます。家庭で十分な愛情が受けられなかった、過干渉だった、人から大きく裏切られたことがある、などの経験から人間不信に陥っていることが原因だと考えられています。

天邪鬼の直し方とは

もし自分の天邪鬼な部分を治したいと考えているなら、いくつか方法はあります。

  • 普段から前向きな言葉を選ぶようにする
  • ありがとう、ごめんなさいなどの言葉を意識して使う
  • 「でも」「だけど」などの否定の言葉を言わないようにする

天邪鬼はあくまでその人の性格で、簡単に直せるわけではありません。「あれがしたい」「こう言いたい」という自分の本当の気持ちに素直に向き合うことが大切です。

  • 天邪鬼(あまのじゃく)の性格の特徴

    天邪鬼な人は本当は自己肯定感が低いだけかもしれません

天邪鬼な人とのつき合い方

実際のところ、ひねくれ者の天邪鬼が周囲にいたら何かとトラブルになりかねません。上手なつき合い方を知っていれば、無駄なイライラが減らせるかもしれません。

お願いするときは「~できないよね?」

天邪鬼の性格を逆手にとった方法として、お願いごとがあるときは「~できないよね?」と言ってみましょう。あえて反対のことをしたい性格なので、「~してほしい」というと「できない」「嫌だ」と断られてしまう可能性も。「~できないよね?」という表現にすれば反射的に「できる」と答えてくれるかもしれません。

愛情を注ぐ

身近に天邪鬼な人がいるのであれば、積極的に愛情を注いであげましょう。本人は自覚していないかもしれませんが、天邪鬼な人は自己肯定感が低い傾向にあります。ちゃんと自分を見てくれる人がいるとわかれば自己肯定感も高まり、素直さが戻ってくるはずです。

お互いの信頼関係を築く

天邪鬼の原因の一つは、人に裏切られた経験や両親に愛されなかった経験があるとされています。自分のことは必要とされていないと考え、人に対して心を閉ざしてしまう傾向にあるのでしょう。

「あの人は天邪鬼だから」と嫌うのではなく、信頼関係を築けばおのずと心を開いてくれるはずです。

距離を置くのも一つの手

いろいろ手を尽くしてみたけれどどうにも天邪鬼な性格が直らない、一緒にいるとイライラしてしまう、と感じるようであれば、距離を置くのも一つの手です。

そもそも天邪鬼な人の言うことは本人の気持ちとも反対だったりするので、真に受けて真剣につきあっても何も解決しないかもしれません。天邪鬼な人とは適度に距離を取りつつ、接するときは愛情を持って接してあげるといいでしょう。

  • 天邪鬼(あまのじゃく)な人とのつき合い方

    天邪鬼な人の性格を知ればつき合い方もわかりますね

天邪鬼とはわかりやすくいうと「ひねくれもの」

天邪鬼について、詳しく説明してきました。古い文献にも登場する天邪鬼は、ひねくれたことばかりをする嫌われ者。身近にこんな人がいると厄介ですよね。

しかしこうしたタイプは、自己肯定感の低いさみしがり屋という一面ももっています。積極的に関わりたくはないですが、ビジネスシーンで関わらざるを得なくなったとき、今回紹介したつき合い方を参考にしてみてください。無駄なイライラが減るかもしれませんよ。