今作の冒頭では、家賃を滞納するまでに落ちぶれていた桜木。前作からの変化に、長澤は「16年も経っていますからね。思うことが変わったのかなというくらいで、あんまり気にしていません。私の役柄もキャラが変わっていると思うところがありますし、16年あったら人は変わるよなって。私自身も昔より愛想よくなったなと思いますから(笑)」と冷静だ。

長澤演じる水野は、前作で桜木が受け持った“東大クラス”の教え子。母親の病気という不運も重なり東大受験を諦めざるを得なかったが、一浪の末に東大に合格した。その後、弁護士資格を取得し、桜木が経営する法律事務所に入所。教え子だった水野が成長し、今作では生徒たちを導く側となる。

監督からは「シリアスなシーンが多い中で、水野さんのところは柔らかくしたいと思ってる」と説明を受けたそうで、「ちょっとクスっとなるような、ほんわかしたシーンになるのかなと。そういうところを任されているという感じです」と、自身の役割を捉えている。

生徒とのシーンは、応援するという気持ちで演じているという。「私も16年経って大人になり、生徒役の若い人たちを見ると愛おしさが芽生える。みんなが頑張っている姿を見ると、素直に応援したいという気持ちになるので、そういった感情に乗れればいいなと。教育者という固い考えではなく、応援団の1人みたいな気持ちで演じています」と優しい表情で明かした。

前作では“東大クラス”の生徒役として山下智久、長澤、小池徹平、新垣結衣、中尾明慶、紗栄子といった面々が出演し、その後、役者として大きく飛躍。今回は、1000人以上のオーディションを勝ち抜いた高橋海人(King & Prince ※高ははしごだか)、南沙良、平手友梨奈、加藤清史郎、鈴鹿央士、志田彩良、細田佳央太が生徒役の座をつかんだ。

長澤は、今作の生徒役キャストについて、「みんなすごいクールですが、自分たちのときも『さっぱりしてるね』と言われていたので、同じような感じだなと。その姿を見て、自分の若い頃を思い出します」と自分たちと重ね、また、「自分の中で秘めているものが見え隠れすると、若いんだなと。みんなこうやって少しずつ大人になっていくんだなと感じます」としみじみと話した。

『ドラゴン桜』に登場する生徒は、桜木の言葉によって東大を目指すことになり人生が大きく変わるが、長澤自身は、2004年に出演した映画『世界の中心で、愛をさけぶ』(『セカチュー』)のプロデューサーの言葉も、女優を続ける上で支えになっているという。

「『セカチュー』のときのプロデューサーさんに、『これから頑張っていくなかで、“あの長澤まさみ”というのをどんどん増やしていかなきゃいけないぞ』と言われました。“セカチューの長澤まさみ”という認識を、また別の作品で塗り替えていく。その言葉をもらったときに、終わりがないんだなと。自分の中で一番大切にしていることかもしれません」と明かし、「なので過去の作品のことはあんまり考えず、次のことに集中するようにしています」と語った。