ドラム式洗濯機は毎日使うものだけにホコリや石鹸カスがたまりやすく、カビも生えやすいです。目につかない内部の汚れが気になる人も多いでしょう。本記事ではドラム式洗濯機の掃除場所と頻度や、月一回は行いたい徹底掃除と毎日のメンテナンスの方法、クリーナーの種類などについて説明します。

  • ドラム式洗濯機の扉を開けたとき、臭いを感じたらカビのサインかもしれません

    ドラム式洗濯機の扉を開けたとき、臭いを感じたらカビのサインかもしれません

ドラム式洗濯機の臭いや汚れの原因は?

ドラム式洗濯機を使っていて、洗濯後の衣類に黒い汚れが付着していたり、臭いが気になったりすることはありませんか? それは洗濯槽が汚れているからです。ではその汚れとは一体何なのでしょうか?

黒カビは石鹸カスをエサに繁殖し、臭いや汚れの原因に

洗濯機の蓋を開けたときに臭いがしたり、洗い上がりの洗濯物が臭ったり、臭いが気になる場合は、ドラムの裏側に繁殖した黒カビが原因かもしれません。

ドラムの外側は湿気が多く、カビの繁殖には最適の環境です。そこに溶け残った洗剤と衣類から分離した汚れが結びついて石鹸カスとなりドラムの裏側にこびりつくと、空気中のカビ菌が石鹸カスをエサに繁殖します。

そして、そのまま放置するとカビはどんどん増え、臭いや汚れの原因になるのです。

たまりやすいホコリは、生乾きやカビの繁殖につながる

ドラム式洗濯機の乾燥機能を使用するたびにに、洗濯機の中にはホコリがたまります。これを定期的に取り除かないと、ホコリが水を吸って乾燥が十分にできなくなり生乾きの原因になったり、カビの原因になったりします。さらに故障の原因にもなるため注意する必要があります。

ドラム式洗濯機の掃除場所と頻度は?

それでは、具体的に洗濯機のどこを、どのくらいの頻度で掃除すればいいのでしょうか。目安をまとめました

掃除場所 頻度
洗濯槽 月に一回
洗剤投入口 月に一回
排水フィルター 週に一回
乾燥フィルター 乾燥機能を使うたびに毎回
ゴムパッキン ホコリが気になったら

洗濯槽

洗濯槽については、前述のように黒カビが発生しやすい場所のため、月に一回程度は掃除をしたい箇所です。具体的な方法は後述します。

洗剤投入口

こちらも水垢やカビなどが繁殖する可能性のある場所です。なるべく月に一回は掃除をするのをおすすめします。

排水フィルター

排水フィルターもホコリがたまりやすい箇所です。洗濯機の下部にある小さな扉の中にあります。排水するたびにホコリが水を含んで嵩(かさ)が増え、放置すると排水できなくなったりエラーの原因になったりします。週に一回程度は掃除したい箇所です。

  • 排水フィルターは回すと取り外せるようになっています

    排水フィルターは回すと取り外せるようになっています

乾燥フィルター

ドラム式洗濯機の上部には乾燥フィルターがあります。この乾燥フィルターには乾燥を使用するたびに、かなりのホコリがたまります。

例えば、衣類を乾燥する際にこすれて繊維の一部が衣類からはがれたものが、ホコリになってたまるのです。このホコリは、乾燥機能を使用したら毎回取り除く必要があります。

  • 持ち手を引き上げると乾燥フィルターが出てきます

    持ち手を引き上げると乾燥フィルターが出てきます

ゴムパッキン

ドラム式洗濯機のドアを開けたところにあるゴムパッキンの内側と、ドラムの隙間もホコリがたまりやすくなっています。こちらはホコリが気になったら掃除するようにしましょう。

  • ゴムパッキンの内側の溝とドラムの隙間がホコリがたまりやすい場所です

    ゴムパッキンの内側の溝とドラムの隙間がホコリがたまりやすい場所です

その他、排水ホースや排水口なども汚れがたまりやすいところです。定期的な掃除を心掛けたいものです。

洗濯槽掃除に効果的なのは塩素系クリーナー? 酸素系クリーナー?

ドラム式洗濯機の各部分のお掃除頻度がわかったところで、特に重要な洗濯槽のお掃除方法について深堀りしていきましょう。

まず洗濯槽掃除に使う洗濯槽クリーナーには、主に塩素系(ハイターなど)と酸素系(オキシクリーンなど)の2種類がありますが、どちらを使用したらいいのでしょうか。

塩素系は強い殺菌力を持ち、洗濯槽に付着した汚れを分解して落とします。一方、酸素系は汚れを浮かせてはがし取る、という違いがあります。

どちらも汚れを落としてくれますが、酸素系はつけおき洗いが基本となっており、洗濯槽が傾いていて槽全体をつけることができないドラム式洗濯機では効果を発揮しづらいのです。また泡が立つので、洗濯槽を洗浄する前に排水されてしまう場合があります。そのため、ドラム式洗濯機には一般的に塩素系のクリーナーが向いているとされています。

なお洗濯槽クリーナーには「ドラム式には使用不可」と記載されているものもあるので、使用する前に必ず確認してください。またお使いのドラム式洗濯機のメーカー取扱説明書で指定されている場合は、衣類用塩素系漂白剤を使用するようにしましょう。

さらに、メーカーから専用のドラム式洗濯機用洗濯槽クリーナーが販売されている場合もあります。こちらは汎用的なものよりも一層効果が高く、安心して使用することができるので、チェックしてみるといいでしょう。

洗濯槽の掃除方法【月に一回】

月に一度の洗濯槽の掃除をすると、カビの繁殖を防ぐことができます。その方法を紹介します。

槽洗浄コースがある場合

ドラム式洗濯機には多くの場合「槽洗浄コース」の機能があります。槽洗浄コースを使うと自動で掃除を行うことができるので、搭載されている場合は活用しましょう。

  • 「お手入れ」ボタンを長押しで槽洗浄が始まります(※機種により異なる)

    「お手入れ」ボタンを長押しで槽洗浄が始まります(※機種により異なる)

【槽洗浄コースの手順の一例(※機種により異なる)】

  1. 電源を入れる
  2. 「洗濯」「洗濯・乾燥」「乾燥」のコースの中から「洗濯」を選ぶ
  3. 槽洗浄ボタンを長押し(3秒以上)する
  4. 「自動槽洗浄」、または「自動槽洗浄」「自動槽乾燥」の両方を選ぶ
  5. スタートボタンを押す
  6. 洗濯槽に水がたまった段階で、一時停止する
  7. 水量50リットルに対し、200ミリリットルの洗濯槽クリーナーを洗濯槽に投入する(※クリーナーにより異なる)
  8. ドアを閉め、スタートする
  9. 機種によって完了時間は異なるが、早ければ40分前後で槽洗浄が完了する
  • 水がたまった槽内に洗濯槽クリーナーを計量して入れましょう

    水がたまった槽内に洗濯槽クリーナーを計量して入れましょう

槽洗浄コースがない場合

もし槽洗浄コースがない場合は、長めの「洗い」とすすぎ、脱水で洗濯槽を洗浄する方法もあります。

短時間で簡単に! 日々のメンテナンス方法

カビの繁殖や洗濯機の故障を防ぐために、こまめに行いたい簡単なメンテナンスを説明します。特に乾燥フィルターの掃除は「フィルター掃除が終わるまでが洗濯」ぐらいの意識を持って習慣化するといいでしょう。

排水フィルターの掃除方法【週に一回】

排水フィルターを取り出し、ブラシなどでたまったホコリや髪の毛を洗い落とします。

  • 排水フィルターを取り出す場合には水が垂れる場合が多いので、雑巾などを用意しておきます

    排水フィルターを取り出す場合には水が垂れる場合が多いので、雑巾などを用意しておきます

排水フィルターは定期的に清掃する必要がありますが、その手間を軽減するために、不織布製のフィルターも販売されています。不織布のフィルターを使えば毎回ブラシで掃除する必要がなくなるのでおすすめです。

この不織布フィルターにはメーカーが販売する正規品のほかに、100円ショップなどで販売されている非正規品もあります。ただ、非正規品を使った場合は排水時にはがれ、排水ポンプに詰まるなどの事故も起こっているので、正規品を利用した方が無難でしょう。

乾燥フィルターの掃除方法【乾燥機能を使うたびに毎回】

乾燥機を使うと、一回でもかなりの量の糸くずが乾燥フィルターに張り付いていますので、毎回掃除することが大切です。

  • 乾燥フィルターのホコリは洗濯のたびに取り除きます

    乾燥フィルターのホコリは洗濯のたびに取り除きます

フィルターは外側と内側の二重になっているので、両方のホコリを取りましょう。

  • 内側のフィルターにも薄くホコリが付着しています

    内側のフィルターにも薄くホコリが付着しています

ブラシを使えば簡単に取れるのですが、フィルターの目にどうしても細かいホコリがたまってしまいます。フィルターの色が黒ずんできたら、水洗いしましょう。

フィルターの手前側には乾燥経路があります。ダクトの中にたまったホコリは専用ブラシを使って掃除しましょう。ダクト用ブラシは柄が長く柔軟なので奥までブラシが届き、掃除がしやすくなっているためおすすめです。

  • 手前にある乾燥経路をこのブラシで掃除します

    手前にある乾燥経路をこのブラシで掃除します

ゴムパッキンの内側の掃除方法【ホコリが気になったら】

ゴムパッキンの内側は、乾燥後はホコリがこびりついて、取りにくくなっています。そこで、雑巾などを濡らし、ホコリを拭き取ってください。また、綿棒で溝にたまったホコリも一緒に取りましょう。

また、洗濯機能のみを使った際や、槽洗浄直後などの濡れている状態で、ホコリを取るのも効率的です。

  • ゴムパッキンやドラムの溝のホコリは濡れると取りやすくなります

    ゴムパッキンやドラムの溝のホコリは濡れると取りやすくなります

年に一度はプロに頼んで大掃除がおすすめ!

ドラム式洗濯機をできるだけ長く、故障しないように使うためには、年に一回程度は掃除のプロに依頼しましょう。カビが気になるとき、通常の乾燥時間では乾かなくなったときにも、掃除の専門家に依頼することを検討してみてください。

掃除のプロに依頼した場合

ドラム式洗濯機の掃除を行う業者は、分解掃除を行う業者と、分解掃除はしないまま洗浄を行う業者があります。

分解掃除を依頼した場合、長時間かかるのに対し、分解しない場合は2時間程度で終了します。

ドラム式洗濯機洗浄の費用

専門業者に依頼する場合は、お使いのドラム式洗濯機のメーカーと型番を伝えます。「洗濯機洗浄」と広告を出していても、ドラム式洗濯機には対応していない業者や、メーカーや型番によっては対応していない業者もあるからです。

代表的な清掃業者と価格の目安を紹介します。価格についてはドラム式洗濯機の種類や機能によって変わってくるため、依頼する場合は必ず業者に確認してください。

清掃業者 標準料金(税込) 分解する/しない
ダスキン 1万9,800円 分解しない
お掃除本舗 1万8,700円 分解しない
3万8,500円 分解する
くらしのマーケット 1万6,200円~(※業者によって異なる) 分解する業者もあり
  • プロに掃除を依頼すると普段は手をつけられない部分まで、徹底して掃除してもらえます

    プロに掃除を依頼すると普段は手をつけられない部分まで、徹底して掃除してもらえます

ドラム式洗濯機を掃除して大切に使おう

ドラム式洗濯機はスイッチを入れさえすれば乾燥まで洗濯機がやってくれる、家事時短の強い味方です。特に日中、仕事などで家を離れ、外干しできない人の中には、もはやドラム式洗濯機のない生活は考えられない、という人もいるかもしれません。

ただ、ドラム式洗濯機の問題の一つに、故障が多いということがあります。縦型洗濯機に比べて価格も高いのに、修理費が余分にかかっては大変です。

故障を防ぐためにも、日頃からこまめに乾燥フィルターのホコリを取り、ゴムパッキンを拭いておきましょう。また、表には見えないところに生える黒カビにも注意が必要です。槽洗浄機能付きなら、ボタン一つで槽洗浄ができるので、月に一度、カビ退治を行いましょう。

丁寧に使えば、臭いや生乾きなどの不具合も防ぐことができます。ぜひドラム式洗濯機の掃除を実践してみてください。

※メーカーや洗濯機によっては適さない場合もあるので、お手入れの際は、事前に取扱説明書をご確認ください