BPO放送人権委員会は30日、フジテレビのリアリティ番組『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』に対し、「人権侵害は認められないとしたが、出演者の身体的・精神的な健康状態に関する配慮が欠けていた点について、放送倫理上の問題があった」と判断した。

フジテレビ本社=東京・台場

これは、同番組に出演していたプロレスラーの木村花さんが、昨年5月19日の放送後に亡くなったことについて、木村さんの母親が、娘の死は番組内の「過剰な演出」がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、人権侵害があったと申し立てていたもの。

それに対しフジテレビは、番組において「女性を暴力的に描いていない」などと主張するとともに、社内調査の結果をもとに「人権侵害は認められない」と反論していた。

BPOでは3点について判断。1つは、「木村氏に精神的な負担が生じることが明らかである本件放送を行うとする決定過程で、出演者の精神的な健康状態に対する配慮に欠けていた点で、放送倫理上の問題があった」と結論づけた。

また、申立人が「ことさらに視聴者の感情を刺激するような過剰な編集、演出を行ったことによる問題がある」と主張した点については、「事実関係が確定できないこと、および、木村氏の怒りの場面は、少なくとも相当程度には真意が表現されたものと理解でき、放送倫理上の問題があるとは言えない」とした。

そして、フジテレビの検証が内部調査にとどまった点の評価については、「番組による人権侵害等を判断する委員会の基本的任務とは距離があり、本決定では判断を行わない」としている。

同局は、今回の問題をきっかけに、SNSによる出演者やスタッフへの誹謗中傷対策を担当する「コンテンツ・コンプライアンス室」と傘下の「SNS対策部」を、今月8日付で新設している。