――韓国のエンターテインメントのレベルの高さは有名ですが、さらに韓国ミュージカルならではの魅力は感じましたか?

丘山:おそらくそれに特化した人たちが、集まっていると思うんです。たとえばミュージカルなら、ミュージカルを幼少期から勉強して、大学を出て、そういう人たちが集まっている。そういう気がします。日本がそうではないとは言わないですが、韓国はそれくらい芸術に関して国の勢いがあり、熱さがすごくあると思う。技術に関しても、表現に関しても、作品に関しても。アメリカに近いという意味の大陸の熱さを感じ、一方、日本は島国なので島国なりの受け止め方があると思うし、そのギャップは今回、面白いと思います。

小野塚:僕は普段、韓国映画をよく観ていて、芸術という点では同じだと思います。ちゃんと勉強して、専門的にそこに対して熱量をもってやっていることは最大の強みだと思いますし、作品選びから試行錯誤してやっているところもある。すごくレベルが高いと思いますし、自分がやるとなった時に同じように戦ってしまっては意味がない、味がないと思うので、そこは自分の経験、感性、ユジン・キム役の丘山さんとの掛け合いであったり、3人でしかできない舞台を作り上げられたらと思います。

山口:ちゃんとした舞台に立つのはほぼ初めてで、今までは朗読劇などにチャレンジさせて頂きました。韓国のミュージカルはそこまで詳しくないですが、アーティストさんの雰囲気を見ていても練習生の期間が長かったり、しっかりと土台を積み上げている方が多いと思うので、私も頑張りたいと思っています。

――韓国ミュージカルはレベルが高く演者の教育もすごいけれども、今回3人でしかできないものを見せたいという共通認識と覚悟があるなかで、そのためには、どこが挑戦であり頑張りどころだと思いますか?

丘山:まず役が3人しかいないということ。ストーリーの中心にいるのがマットとジョアンで、ユジン・キムはその周りにいてお客さんと同じ目線で紐解いていく存在です。セリフを読むと「どうして?」や「なぜ?」という言葉が多いんです。つまり、お客さんと一緒。だからお客さん目線でリードできたらいいなと、それが僕の一番の使命だと思っています。

小野塚:一人ひとりの人格を人間として観てもらえるように掘り下げることが、この作品をよくするにあたっての必要なことだと思いました。自分にとっては、それプラス歌の表現。1人の人間がずっと歌う感じではないので、人格が変わった中での歌には、その人のストーリーもあるので、そこはしっかり集中して掘り下げて、いいものが作れたらいいなと思っています。

山口:ジョアンはマットほどではないのですが、年齢が変わっていくので、その違いを面白く出せたらいいなと思っています。ジョアンとマットは、いろいろなものと戦いながら頑張って生きていくなかで多重人格が芽生えてきてしまう。背景がとても過酷なので、そこをしっかり理解したいと思います。

――最後にファンの方へ本番への意気込みをお願いします!

丘山:今まで演じたことのない役で、それはたぶん3人とも同じ。それぞれのファンの方たちを驚かせたいなと思います。今まで見せたことがなかった自分もどんどん見せていくチャレンジだなとも思っているので、まだ出していない、隠しているものを全部出していきたい。僕自身まだ見たことない自分がいるかもしれないので、それをお客さんにも観てもらいたいと思っています。

小野塚:僕も自分の役は今までで一番難しいと思いますし、ミュージカル初挑戦ということで、この作品が自分にとって間違いなく大きなものになると思っているので、しっかりとやっていきたい。今回はダブルキャストで、レッドとブルーと2つに分かれているので、それぞれの良さもあります。そして、品川クラブeXという360度の舞台なので、いろいろな視点からユジン・キム、ジョナ、マットが観られると思うので、そこも楽しみにしていただけたらと思います。

山口:私のお芝居を生で観ていただく初めの一歩なので、ファンのみなさんには安心してもらいたいです。これからが楽しみだなと思ってもらえるように頑張りたいです。

■丘山晴己
1985年1月10日生まれ、東京都出身。2008年11月にミュージカル『Radio City Christmas Spectacular』でデビュー。2014年、世界的に人気の高いブロードウェイ公演『The Illusionists』に初の日本人出演者として抜擢。2017年、ミュージカル『スタミュ』、ミュージカル『RENT』のエンジェル役で話題になる。2018年にはミュージカル『刀剣乱舞-結びの響、始まりの音-』に巴形薙刀役で出演。2019年には初主演となる舞台『Fate/Grand Order THE STAGE -絶対魔獣戦線バビロニア-』にてギルガメッシュ役を熱演した。
■小野塚勇人
1993年6月29日生まれ。千葉県出身。劇団EXILEのメンバー。2016年『仮面ライダーエグゼイド』で九条貴利矢役を演じ、その後、舞台・ドラマ・映画と多方面で活躍している。近年の主な出演作にはドラマ『共演NG』(2020/テレビ東京)、『遺留捜査』第6話、映画『東京ワイン会ピープル』(2019)、『いけいけ! バカオンナ~我が道を行け~』(2020)など。
■山口乃々華
1998年3月8日生まれ、埼玉県出身。E-girlsのパフォーマーとして、2020年末の解散まで活躍。女優としては、「HiGH&LOW」シリーズや「イタズラなKiss THE MOVIE」シリーズ、映画『私がモテてどうすんだ』(2020)などに出演。舞台では今年、『INTERVIEW~お願い、誰か僕を助けて~』の後、夏に『ジェイミー』が控えている。