女優の上野樹里と俳優の時任三郎がこのほど、フジテレビ系月9ドラマ『監察医 朝顔』のクランクアップを迎えた。最終話は、きょう22日(21:00~22:24)に放送される。

  • 上野樹里(左)と時任三郎=フジテレビ提供

2020年冬に第2シーズンがクランクインしてから1年、2019年の春先にクランクインした第1シーズンから数えれば実に2年という長い時間を走り抜けた上野と時任。2人にとって『監察医 朝顔』最後の撮影は、母の実家であり、東日本大震災に被災した東北の海辺の街を朝顔と平が訪れるシーンで、撮影場所は岩手県陸前高田市となった。

くしくも第1シーズンでは、朝顔と平が三陸鉄道に乗って母の実家の街を訪れるというシーンでクランクインしており、上野と時任にとって縁の深い東北の地である上、制作スタッフがシナリオハンティングのために2018年に初めて陸前高田市を訪れたのが、この第2シーズンのクランクアップの場所となった。

演出の平野眞氏も「ここで終われるというのはすごくうれしい」と言い、陸前高田市議会議員の福田利喜さんもこの日、クランクアップを見届けようと撮影現場に駆けつけた。福田さんは過去、上野が陸前高田市を訪れた際に各地の案内をしており、昨年10月に行われたドラマの制作発表会見に、被災した地へ思いをはせる上野へ感謝の言葉をつづった手紙を寄せている。

ついに最後のカットにOKが出て、上野と時任2人そろってクランクアップの瞬間を迎えた。スタッフから「万木朝顔役の上野樹里さん、万木平役の時任三郎さん、オールアップです!」と声が上がり、盛大な拍手とともに、平野氏から2人へ花束が贈られた。

まずは時任があいさつし、「まだ終わったという実感がないのですが(笑)。本当にこの現場は優しさにあふれていて、スタッフはみんな優しくて、樹里ちゃんをはじめ役者もみんな優しくて、優しさのかたまりのようなチームでした。その優しさが一つ一つ積み重なって、『監察医 朝顔』という作品になっていったのかなという気がします。どれだけ貢献できたのか分かりませんが、この作品に参加できて非常に光栄だと思うのと同時に幸せです。第1シーズンが終わった後、万木家の鴨居(かもい)を10センチ上げてほしいとお願いをしたのですが(※時任の身長より万木家の鴨居は少し低い)、それはかなわずに終わってしまいましたけれども(笑)、本当に感謝しかありません。こんなに優しさと思いやりのあるチームは、今まで俳優として40年以上やってきた中で、ナンバー1だと思います。本当にありがとうございました」と、一言一句かみしめるように語った。

続いては上野のあいさつとなり、「皆さん、お疲れさまでした! 1年たってしまいました。あっという間ですね。日々、妥協せず、自分のできることを精いっぱいやりながら、ちゃんと言いたいことを言って、ほどよくぶつかりながらも(笑)、調和が保たれていて、自分以外のことでも誰かのことを支えて、とにかくみんながお仕事にまっすぐで健やかなチームでした。人間なので当然、コンディションが良い時もあれば良くない時もあって、でも、みんながその日のベストを尽くして、助け合って前に進んで、そんな日常とチームの魅力が、そのままドラマに反映されていたと思います」と、感慨深く振り返る。

さらに、「平野さんみたいな、こんなにギャグを挟んでくる監督は見たこともないですが(笑)、そのおかげで、いつも私たちは肩の力を抜いて自然体でいられました。『監察医 朝顔』を撮影する日常は、本当にありがたい場所だったなと感じます。この日常が終わってしまうまで『もう残り3カ月だ』とか『あと2カ月しか残っていない』と思いながら撮影をしていました。監督をはじめ、皆さんが育んでくださった優しさが、私たち出演者の関係性を第1シーズンよりさらに深めて、豊かなものにしてくれました。そして皆さんに、朝顔の色んな感情や姿を引き出していただきました。それは、自分1人の力では絶対にできなかったと思いますし、本当に皆さんのおかげで朝顔は生まれることができたと思います。本当にありがとうございます」と心から感謝を述べた。

そして、途中からは大粒の涙をこぼし、「東日本大震災が起きてから10年になりますが、10年前の震災があった時に私は、それこそ時任さんがお父さんという役でドラマの撮影をさせていただいていました。その時は、被災した方々や場所に、自分は何ができるんだろうってすごく苦しかったです。『監察医 朝顔』は被災された皆さんにとっても何か感じていただける作品になったと思います。それだけでなく第2シーズンは、新型コロナウイルスで大変な状況もあって、そんな中で、生きるということや当たり前の日常というのがいかに素晴らしいかということを、朝顔を通して少しでも伝えられたのではないかなと思っています。『監察医 朝顔』に出会えたこと、そして陸前高田の方々にも出会えたことで、自分が役に立てなかったという、あの時のあの気持ちが救われたというか…この作品に出会えて、ようやく色んな方の役に少しでも立てたんじゃないかなと、今、とてもうれしく思っています。皆さん、ありがとうございました。本当にありがとうございました」と、思いの丈を述べた。

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