角換わりの将棋で糸谷哲郎八段を破る

将棋のタイトル戦、第46期棋王戦五番勝負第4局(主催:共同通信社)が3月17日に東京都「東郷神社」で行われました。ここまで2勝1敗の渡辺明棋王が挑戦者の糸谷哲郎八段を98手で破り、3勝1敗でタイトル防衛に成功。棋王9連覇を達成すると同時に、タイトル獲得通算28期で歴代単独4位となりました。


3勝1敗で渡辺棋王の防衛となった第46期棋王戦五番勝負の対戦表

糸谷八段が先手番の本局は、第2局と同様に角換わりの将棋となりました。糸谷八段は第2局に続いて序盤早々に1筋の位を確保します。対する渡辺棋王は棒銀を採用し、玉を金銀3枚でがっちりと固めました。

中盤の攻防でリードを奪ったのは渡辺棋王でした。糸谷八段に馬を作らせた代わりに、棒銀をさばいて持ち駒にします。さらに糸谷八段の馬を目標にして攻めていく構想が見事でした。糸谷八段としてはせっかく作った馬が思うように機能しないばかりか、狙われる駒になってしまったのが誤算だったかもしれません。

渡辺棋王は自陣で眠っていた飛車を世に出し、糸谷玉に迫ります。そして飛車取りをかけられた局面で、それを放置して金取りに歩を打った手が決め手。飛車を取られても、盤上の馬と持ち駒の金銀で切れない攻めになりました。

最後は糸谷玉を即詰みに打ち取った渡辺棋王。自玉は鉄壁のままで、堅い陣形から細い攻めをつなげるという、渡辺棋王の持ち味が存分に発揮された一局でした。

この勝利で渡辺棋王は棋王9連覇を達成。竜王戦での連覇数に並び、自己記録タイとなったことについて、「意識していたので、達成できてよかったです」と喜びを語りました。

また、渡辺棋王は今月14日に王将戦で防衛を果たし、タイトル獲得数27で谷川浩司九段と並んで歴代4位タイとしていました。そのわずか3日後に通算28期として単独4位に浮上です。このことについて渡辺棋王は「小さいころから目標にしてきた谷川先生を上回ることができて、非常に誇らしい」と述べました。

名人、棋王、王将の三冠を保持している渡辺棋王は、棋王と王将の防衛を決めました。次なる大勝負は、挑戦者の斎藤慎太郎八段を迎え撃つ第79期名人戦七番勝負です。第1局は4月7、8日に東京都「ホテル椿山荘東京」で行われます。

感想戦を行う渡辺棋王(提供:日本将棋連盟)
感想戦を行う渡辺棋王(提供:日本将棋連盟)