『M-1グランプリ2019』で準決勝に進出し、ベストアマチュア賞を受賞して以降、ネクストブレイク芸人として熱い視線を浴びているお笑いコンビ・ラランド。広告代理店勤務と芸人の仕事との二足のわらじを履くサーヤと、競馬好きのニシダは、2人とも上智大学のお笑いサークル出身で、事務所に属さずにフリーランスで活動してきた。3月4日には「レモンジャム」という芸能事務所を新しく設立したことを発表した2人は、芸人としての未来をどう見つめているのだろうか。

  • お笑いコンビ・ラランドのサーヤ(左)とニシダ

転機となったのは、やはり『M-1』だったと口を揃える2人。サーヤが「初めてテレビに出たのが、『M-1』での敗者復活戦でした。生放送でしたが、それをきかっけにいろんなお仕事のオファーをいただくようになりました」と言うと、ニシダも「あそこでいろんな人に知ってもらえたんです」とうなずく。

「第32回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2021 SPRING/SUMMER」では、和装でランウェイを歩き、スポットライトを浴びた2人だが、サーヤによると「実は2年前の私は、TGCの裏側にいました」とのこと。「広告代理店の社員としてジャケットを着て、ゲストをアテンドしていたんですが、あれから1年ですべてが変わり、『M-1』に出て以降はさらに全く違う世界になりました」

仕事は何倍にも増えたそうで、ニシダも「最初はライブだけをやっていたのですが、今はテレビやラジオの収録が、毎日なにかしら入るようになり、ゼロから180度変わった感じです」と、自分たちを取り巻く環境の変化をかみしめる。

芸能事務所「レモンジャム」の立ち上げに至るまでのやりとりは、日本テレビのバラエティ番組『幸せ!ボンビーガール』でも密着取材を受けていた2人。社名については「いろいろ占い師さんの助言を聞いて、自分たちもこれでいいんじゃないかということで、決めました」と、2人で納得して決定したそうだ。

サーヤは「私たちと、スケジュール管理をしてくれるマネージャーと3人でやっています」と説明。「事務所単位で仕事が来るのではなく、私たちに直接『これをやってほしい』と依頼をしてもらえることが多い。その場合、打ち合わせの段階から入れるので、お互いに熱量が高い状態で仕事ができるし、私たちも相手の方に感謝しながら仕事に打ち込めるところがいいんです」と、大手芸能事務所に所属しないで活動する強みを感じている。

ただ、ニシダ自身は、思うところもあるらしい。「先輩後輩の付き合いがないので、僕は普段ひとりぼっちで生きています。もしも事務所に入っていたら、先輩方におごってもらったり、話をしたりしてもらえるのかなと。僕は、番組などでお会いする先輩に対しては、なかなかグッと入り込めないですし」

ニシダはそう言うが、サーヤは「先輩の方々は、ニシダのことを可愛がろうと、近づいてくださるのに、ニシダのほうが引いちゃうんです。ニシダには、処世術みたいなものが無駄にあるので、なかなか本心で語り合える人が少ないんです」と分析。ニシダもそこは「そうなんです。僕は閉ざして生きているタイプなので」と同意する。

するとサーヤが「でも、番組のプロデューサーにお金を借りる時は、すごくすり寄っていくんです。上辺のつき合いだけは上手なので」とすかさずツッコミ。ニシダも「今、追加融資もお願いしているところです(笑)。ビジネスになると、なぜか付き合えるので」とドヤ顔を見せると、サーヤは「ニシダは本当にフリーに向いています。孤立しても、堂々と生きていけるタフなメンタルの持ち主ですから」と太鼓判を押した。