• 遠山圭介プロデューサー

放送枠の東海テレビ制作「オトナの土ドラ」は、殺人事件の元被告が無罪判決を下した裁判官の隣家へ引っ越してくるという心理サスペンス『火の粉』(ユースケ・サンタマリア主演、16年)や、団地の平穏に異常な執着を持つ男が繰り広げるサイコサスペンス『限界団地』(佐野史郎主演、18年)、そして『恐怖新聞』(白石聖主演、20年)では血しぶきや生首が平気で登場するハイテンションホラーを放送するなど、“激しい作風”が特徴。

今回の『その女、ジルバ』は色合いが全く異なるが、その理由を聞くと、「うちの枠はサスペンスをやる傾向が強かったんですけど、決してそれだけをやっていこうというわけではなくて、僕も『さくらの親子丼』のシーズン1をやりましたし、悪い人が一切出て来ない、ただ楽しいだけのドラマもやりたいなと思っていたんです」という。

そんな中で見つけたのが、「第23回手塚治虫文化賞マンガ大賞」を受賞した有間しのぶ原作の人気漫画『その女、ジルバ』。内容の面白さはもちろん、遠山プロデューサー自身の思いも重なったことで、ドラマ化への思いが強まった。

「原作自体は3年前くらいに読んでいて、いつかやりたいなと思っていたんです。自分もちょうどドラマの主人公と同じ40歳になるときだったので、同世代で楽しめる、僕自身も楽しめるドラマを作りたいなと」

  • (C)東海テレビ

■「最後まで気持ちよく見ていただけるドラマに」

原作を知ったのは3年前だが、ドラマ版の登場人物たちは2019年から20年にかけての“今”を生きている。これは、当初想定していなかった設定だという。

「制作が決まったのはコロナになる前だったので、まさかこんな状況になるとは微塵も思っていなかったんです。コロナの現状というのは当然原作にはない設定なんですが、飲食店が舞台でもあるので、緊急事態宣言など、今晒されている現実とドラマが乖離しすぎているのは避けたかったので、そこはあえてリアルな設定を置かせていただきました」

とはいえ、原作と違ったエピソードを今後展開していくというわけではなく、「基本的には40歳の女性の成長物語ですし、一番軸として持っているのは土曜の夜に楽しんで見てほしいということなので、リアルな社会情勢は出てきますが、そこまで大きな話には展開していきません」とのことだ。

今後の展開については、「役者さんの魅力がどんどん凝縮されていきます。そして、草笛さんと中尾(ミエ)さんのシーンもまたあります。この2人がそろうお芝居っていうのはなかなかないですし、最高峰の役者さんたちが思い切って芝居をしていただいているので、そこを楽しんでいただければと思います」と予告。

さらに、「どんどん人生の決断をしていって、40になっても、年齢関係なく変わっていけるんだなって思ってもらえるお話になっていると思います。最後まで気持ちよく見ていただけるドラマになっているので、お店を愛して、お店に遊びに来る感覚で見ていただければ、裏切らない展開になっていると思いますよ」と話している。

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●遠山圭介
1980年生まれ、愛知県名古屋市出身。上智大学卒業後、02年に東海テレビ放送入社。報道部、情報制作部などを経て16年に現在の東京制作部に。主な担当作品は『火の粉』(16年 ※APとして参加)、『真昼の悪魔』『さくらの親子丼』(17年)、『限界団地』(18年)、『仮面同窓会』(19年)、『13(サーティーン)』(20年)など。