「この前とある取材の際にこのブログを読んで下さった方がいて、私はこの大晦日に書く言葉っていうのは私の事が好きで追いかけてくれるようなそんなファンの方にだけ届く言葉だと思ってこっそり綴っていたので少し恥ずかしくて、そしてなんだかとっても嬉しかったんです」(2020年12月31日、越智ゆらのオフィシャルブログより)

モデルの越智ゆらの(22)は、必ず毎年大みそかにブログを更新する。タイトルは「感謝と振り返り」。その年に起こった出来事を挙げ、支えられた人々に向けて丁寧に記していく。2011年12月31日、ファッション誌『Popteen』モデルに応募して自ら運命を切り開いたあの日。その翌年から続けている、年末恒例の大切な儀式だ。

昨年12月15日、Twitterドラマ『はつ恋とビー玉~10の約束~』(現在配信中、毎週月・水・金18:00配信 全12話)に主演する越智を取材する機会があり、この“大みそか投稿”について聞いてみると、「これ初めて言うんですけど」と秘話を打ち明けてくれた。ツイッター42万、インスタグラム21万のフォロワーを抱える彼女にとって、数ある情報発信ツールの中での「ブログ」、そして“大みそか投稿”の位置付けとは。そこには、「特別な人」と語る父の存在も大きく関係していた。

  • モデルの越智ゆらの 撮影:宮川朋久

■上京した16歳当時の記憶

――今回のドラマは、大学生の優希(越智)と優希が思いを寄せる武流(小南光司)の恋物語が描かれています。品川区が舞台だそうですね。

私は何より品川区が好きで……決して媚びているわけではないですよ(笑)! 実は、上京したての頃から4年ほど品川区の近くに住んでいました。だから、品川区のお仕事であれば「ぜひ!」という感じで。でも、近くに住んでいたにもかかわらず、知らないスポットがこんなにもあるんだと今回のドラマを通して知ることができました。

――特に印象に残っているスポットは?

天王洲アイルの第二水辺広場です。そこにつながるふれあい橋も大事なシーンが多くて、最終日に撮る予定だった重要なシーンが急きょ初日に変更になって、すごく不安だったんですけど監督にはそこを一番褒めてもらえました。すごくロマンチックな場所で、景色も支えになったんだと思います。

胸を張れるほどの演技経験を重ねてないので、毎回自分の作品を見るのが怖くて……。でも、今回は監督やカメラマン、スタッフの方々にも支えられながら、品川区のきれいな風景の中に自分が収まっていたので感動しました。

――上京されたのは結構前ですよね?

そうですね、上京したのは16歳の頃。今でも仕事とかで近くを通ると、すごく懐かしくて。今回の撮影でも、また住んでみたくなりました。当時はまだ高校生でしたが、ホームシックにすらならなくて(笑)。14歳からこの仕事を始めて、上京するまでは大阪から通って月の半分はホテル。その生活がすごくストレスだったので、一人暮らしを始めて「やっと自分の家だ!」という嬉しさの方が勝っていました。

■「良いことは周りのおかげ」

――越智さん演じる優希は武流を「特別な人」と表現していました。越智さん自身にとっての「特別な人」とは?

私にとっては、父がずっと「特別な人」です。一番尊敬しているのも父。私は母子家庭で育ったので、会う頻度も多くなくて互いの距離もありました。今も定期的に会って、お仕事面でも刺激を与えてくれる存在です。生き方とか人生観とか、すべてにおいて私の中心にあるのは父からの教えだと言えるくらい大切な人。「特別な人は?」と聞かれて、父が真っ先に浮かびました。

――掛けられた言葉で、心に残っていることはありますか?

「自分の身の回りに起こる悪いことは、全部自分のせい。良いことは周りのおかげだから、周りの人に感謝しなさい」と言われてから、お仕事をする上で大切にしています。初めて言われたのは上京したての頃、確か食事をしている時だったと思います。やっぱり幼いと、悪いことは周りのせいにしてしまうこともあると思うんですけど、周りのせいにしたところでどうにもならない。それよりも自分を見つめ直した方が、絶対に良い方向になる。その言葉があったお陰か、良いことが起こると感謝の気持ちを心の底から伝えるようにしています。

――仕事をしていくうちに、その言葉が正しいと思えるようになったと。

いえ、根っからのパパっ子だったので、パパの言葉をすべて信じているんだと思います。いろいろな出来事に直面した時に、ふと「あっ、これもパパの教えだ!」と気づくというか。

――仕事の話もされるんですか?

私が伝えなくても、絶対に全部チェックしてくれてるんです(笑)。雑誌の表紙になった時は何十冊も買って、会社に配ったりとか。私のことをしっかりと見てくれているので、遠くであまり会えない状況ではあるんですけど、心で繋がっているなといつも感じます。

悩みって、包み込んでほしい時もあるじゃないですか? そういう時はお友達とか、周りの人に頼って、悩みで解決したいポイントが明確な場合は父に相談しにいくことが多いです。ただ慰めてほしいだけの悩みだったら、ズバズバと正論を言われてしまうので(笑)。

――越智さんにとっては頼もしい存在ですね。今回のドラマでは、「約束」もテーマになっています。実はブログを読んできたんですが……

うわっ! 恥ずかしい(笑)。