――2012年から始めて、毎年大みそかに「振り返りと感謝」のタイトルで欠かさず投稿されてますよね。ご自身にとってのルール・約束事のような気がしたのですが、そこにはどのような思いが込められているんですか?

2012年は……まだ変な言葉遣いの時ですね(笑)。このお仕事をしていると、今後の目標だったり、将来の夢だったり、未来や先のことを聞かれることがすごく多いんですよね。でも、今まで私が築いてきた“道”はファンの方が作って下さった大切な“道”。私は年始ではなく、その年の感謝はその年のうちにきちんと振り返って伝えることが大事だと思っています。

最近はYouTubeやTikTokのように映像で伝えることが当たり前になっていますが、私は文字にその人の言葉の重みを感じるので、私なりの感謝の伝え方として毎年の大みそかにブログを更新するようになりました。確かにこれは、自分の中での約束事かもしれないです。

――毎回力作なので、ファンの方もきっとうれしいでしょうね。

言葉遣いがぶりっ子だった時期もあって(笑)。

――ありましたね(笑)。

でも、その時はそれが本心なんです。そのこと自体は恥ずかしいとは思わないんですけど、好きになってくれるかもしれない人がそれを見て引かないかなという心配はありますね(笑)。でも、ブログってすごいなと思うのが、そんな過去の自分に勇気をもらえたりすることもあるんです。「こんなにも頑張ってたんだ」とか、「そういえばつらかったな……」とか、「めちゃくちゃ良いこと言ってる!」とか。今でも残しているのは、そのためでもあります。

大人になるにつれて、学んだことや身につくことよりも、忘れてしまうことの方がすごく多いと感じて、身につけることは時間があればいくらでもできますが、なくしてしまったものはもう取り戻せない。2016年に出したスタイルブックのタイトルを「一生少女」としたのは、「一生少女のような心を忘れない」という意味を込めて。これは今でも胸に刻んでいます。ブログには忘れていった感情があふれているので、私にとっては日記みたいなものです。

■“大みそかブログ”を更新し続ける思い

――情報発信のツールが増えるとブログを更新しなくなるタレントさんも多いですが、越智さんはこれからも続けていく予定ですか?

そうですね。アクセス数を見る限り、ブログを読んでくれる人は少なくなっていて。というのも、コンテンツがたくさんありすぎて、ブログを読む時間が割けなくなってると思うんです。インスタとかTikTokとか短い時間で見ることができるものが普及するようになって、もちろんそこではたくさんの方に見ていただきたいですが、ブログは私の内面の部分をファンの方に届けたいと思って更新しているので、見たい人だけが見てくれればいいなと。むしろ、見てくれる人が少ない方が書きやすいかもしれないですね。

――今年の大みそか(取材は2020年12月15日)に投稿する内容もこれから考えるんですか?

考えます! ちなみに、これ初めて言うんですけど、「振り返りと感謝」のブログを書く時、いつも泣いちゃうんですよね。毎年、幸せだけの年ってないじゃないですか。大きな幸せもあれば、大きな悲しみもあって。幸せに涙することもあれば、「よく乗り越えられたな」「今年もがんばった」と涙することも。そんな涙を流しながら、毎年更新しています(笑)。

――結構、気合いのいる作業ですね(笑)。

そうなんです! 毎年、大みそかの1~2週間ぐらい前になったら「そろそろ書かなきゃ……」とはなるんですけど、きちんと言葉にできる脳みそにならないと書けないので、「今書けそう!」という瞬間にメモして。だいたいは夜中に一気に完成させることが多いです。

――楽しみに待ってます。

うれしいです。ありがとうございます!

■プロフィール
越智ゆらの
1998年10月18日生まれ。大阪府出身。2012年、ファッション雑誌『Popteen』に登場し、中学生では異例のモデルに抜擢。2016年にはスタイルブック『一生少女』(角川春樹事務所)を発売し、2018年まで『Popteen』専属モデルを務めた。近年は、映画『兄に愛されすぎて困ってます』(17)、YouTubeドラマ『ゴードン探偵事務所』(20)など、女優としても活躍の場を広げている。