2021年の秋に公開される映画『スーパー戦闘 純烈ジャー』の制作発表会見が2月1日、東京・大江戸温泉物語にて行われ、3年連続「NHK紅白歌合戦」に出場したムード歌謡グループ「純烈」のメンバーと佛田洋監督(特撮研究所)がステージに上り、抱負を語った。

  • 左から、佛田洋監督、純ブルー/小田井涼平、純レッド/白川裕二郎、純グリーン/後上翔太、純バイオレット/酒井一圭

2010年にデビューしたムード歌謡グループ「純烈」は、全国各地のスーパー銭湯や健康ランドをめぐっての地道なライブ活動を続けて支持を集め、着実に人気を高めていった。そんな活動が実を結び、2018年には結成以来の夢だった「NHK紅白歌合戦」への出場を実現。その後もファンひとりひとりとのふれあいを大事にし続けたことにより、2019年、2020年と3年連続で「紅白」のステージに立つという快挙を成し遂げた。

今や歌謡界のスターダムにのしあがり、2021年に入っても勢いがまったく収まらない純烈が、さらなる飛躍を求めて挑戦したエンターテインメントの形、それは初の「劇場映画」制作だった。そしてその内容とは、メンバー4人のうち3人が東映の「スーパー戦隊シリーズ」「仮面ライダーシリーズ」で活躍した経験を持つ彼らにとって"故郷"あるいは"原点"というべき"変身ヒーロー"の世界が描かれるのだという。現役"ヒーロー"だった時代からおよそ20年の歳月を経て、子どもたちのヒーローからマダムたちのアイドルへと"変身"を遂げ、躍進を続けている純烈は、2021年にどのような「ヒーロー」を創造するのだろうか――。

『スーパー戦闘 純烈ジャー』ストーリー

スーパー銭湯のアイドルとして歌い続け、2020年には紅白歌合戦3年連続出場を果たしたムード歌謡グループ純烈。歌謡界のスターである彼らだが、世を忍ぶ仮の姿を持っていた。皆の憩いの場となる温泉施設の平和を守るヒーロー"純烈ジャー"としても人知れず温泉の平和を乱す悪と戦っていたのだ。 ある時、全国の温泉でイケメンが行方不明になるという怪事件が多発し、巷で話題となっている。しかし、事件性は見られず警察の捜査は見送られてしまった。温泉の危機を感じ取った純烈のメンバーは独自に捜査を開始するのだが……。

純烈のリーダーで、かつて『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001年)の牛込草太郎/ガオブラック役を務めた酒井一圭は、本作制作の経緯を問われて「純烈を応援してくださるマダムのみなさんにも、僕たちがかつて演じていたヒーローを観てもらいたい、という思いがつのっていくうちに"純烈が戦隊になったら"というアイデア、妄想がわいてきたんです。いつかやりたいし、みんなでやろうぜ!と言っていたんですが、折しも2020年春の"コロナ禍"を受けてスケジュールが空き、僕らの夢が実現しました」と、そもそもは純烈を愛するファンに向けた作品を作ろうというところから始まったことを明かした。そして「2013年に『忍風戦隊ハリケンジャー10YEARS AFTER』というVシネマ作品に白川が久々に出演した際、まだ下積みを重ねていたころの純烈がそのままの役で出させてもらいました。このときの縁があり、ハリケンイエロー役の山本康平くんを通じて東映のみなさんとお話することが叶い、そこから一気にいろいろなことが決まったんです」と、かつてのヒーロー作品に携わった仲間たちとの絆の力で、結成以来の夢――「純烈の映画」が実現したと笑顔を見せた。

リードボーカル・白川裕二郎は、『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002年)の霞一甲/カブトライジャー役で人気を博していた。白川は「スーパー戦隊は僕の原点。当時応援してくれたファンのみなさんがこの映画を見て、改めてスーパー戦隊を好きになってもらうと同時に、純烈のファンになってくれたら嬉しいです」と、スーパー戦隊ファンと純烈ファンの華麗なる融合に思いをはせた。

小田井涼平は『仮面ライダー龍騎』(2002年)ではダンディなスーツに身を包んだスーパー弁護士・北岡秀一/仮面ライダーゾルダ役で活躍。今回の話を聞いたときの感想を問われると「まず、映画であることが嬉しかった。テンションがぐっと上がりました。映画に出た、ということはTBS『王様のブランチ』の映画コーナーにも出られるんじゃないかなって思うんです。これが今から非常に楽しみで、ぜひLiLiCoのインタビューを受けてみたい!」と、小田井夫人であり、『王様のブランチ』映画コーナーを担当しているLiLiCoとテレビで堂々と夫婦共演ができるかもしれないということに、期待をかけていた。

最年少の後上翔太は、メンバー唯一の特撮ヒーロー未経験者ということをよくステージ上でネタにしていたというが、このたび晴れて自身も「変身」ができたことに大いなる喜びを感じているように見えた。後上は「みんなが元〇〇レンジャーとか、元仮面ライダーとか言ってる中で"元東京理科大学"ですと言い続けてきて10年以上(笑)。今年からは"純烈ジャーの後上です"と胸を張って言うことができます!」と明るい笑顔で挨拶した。

酒井からの依頼を受け、本作のメガホンを取ることになった佛田洋監督は現在「特撮研究所」の代表を務め、数々の作品で目を見張る特撮映像をクリエイトしている特撮演出の第一人者。スーパー戦隊シリーズでは『地球戦隊ファイブマン』(1990年)から特撮監督となり、『忍者戦隊カクレンジャー』(1994年)以降は本編演出も手がけている。佛田監督は「酒井くんから監督のご指名をいただき、今回監督することになりました。とても光栄です。みんながこんな立派になって(ヒーローの世界に)戻ってきてくれたのは、もう感無量です!」と語り、かつて撮影の日々を共にした仲間が歌謡界で苦労を重ねた結果、立派に成長したことに感激する様子を見せた。

映画の詳細はまだ明かせないことが多いそうだが、その中でも佛田監督は「基本的にはコメディタッチの楽しい作品。劇中には純烈の歌も踊りもミュージカル風に盛り込まれています。豪華なゲストもたくさん出てきて、最後はすごいことになります。お楽しみにしてください」と、85分の中に盛りだくさんな要素をこめて、すごい作品になっていると語って大いに期待を煽った。

佛田監督はまた「今回のために、昔いっしょに仕事をしていたスタッフの方たちがスケジュールを空けて参加してくれたので、現場はまるで同窓会のように楽しい雰囲気でした」と語り、キャストだけでなくスタッフ同士もひさびさに会う者たちが多く、現場の雰囲気がとてもよかったことをふりかえった。

撮影の裏話を聞かれた酒井は「後上が映画の撮影に臨み、変身ポーズしている初々しい姿は面白かったですよ。大人が一生懸命ヒーローごっこをやっている、純粋な"子どもごころ"がとてもよく現れていていましたね。そして、20年ぶりにしっかりと変身をする白川と小田井はカッコよかった! この人たちカッコいいんや!って改めて思いましたね。結成してからずっとマヌケな姿しか見てなかったから(笑)」とすこし毒舌を交えながらも、メンバーそれぞれの頑張りとスター性を称えていた。また「僕は純烈をやってからすっかり太ってしまいましたが、変身すると"細く"なります。これはなぜだかわかりませんが、やはり変身スーツには不思議な力があるんですね(笑)」と、年月を経て恰幅が良くなったことをギャグにしつつ、自身もまたカッコいいヒーローとして特撮の世界に帰ってきた喜びをかみしめるコメントを残した。

小田井は本作を多くの人たちに観てもらいたいと熱意を燃やし「やっぱり、タイトルに『スーパー戦闘』と入っていますから、全国のスーパー銭湯さん、健康ランド、そしてあらゆる温浴施設でこの映画のポスターを貼ってくださるよう、公式サイトで呼びかけておりますので、ご協力していただければ」と、全国各地にある温浴施設でポスター掲示の大宣伝作戦を打ち立てたい野望を明らかにした。

スーパー銭湯の平和を守る純烈ジャーは、変身アイテムの「マイクチェンジャー」と"温泉の女神"との出会いによって変身する。マイクチェンジャーを構えた4人は、現役時代さながらのキレのいい変身ポーズを決め、純烈ジャーに変身を完了した。

最後にマイクを手にした酒井は「2021年は『鬼滅の刃』『シン・エヴァンゲリオン』『シン・ウルトラマン』とヒーロー作品のライバルがいっぱい。これに負けないよう、『純烈ジャー』がヒットしてくれたら、主題歌を歌っている僕たちは『日本レコード大賞』イケるかもしれない! そうなってくれるように、みなさんぜひ劇場に足を運んでください!」と2021年のナンバーワンヒーローになりたいという大きな夢をぶち上げながら、明るい笑顔をのぞかせた。

小田井もまた「アカデミー賞を取りたいという、新たな目標ができました。ぜひレッドカーペットを歩いてみたい。歩くだけでもいいんです(笑) 作品自体は、みなさん今まで見たことのないエンターテインメントですからね」と、作品の面白さをアピールしながら、映画賞をも狙える内容だと強い自信をうかがわせた。

白川は「昔は子どもたちのヒーローだった僕らは、今ではマダムたちのヒーローとして頑張っています。この作品は、いろんな世代の人たちに楽しんでいただける映画になっているので、みなさんぜひ劇場へお越しください」と、親、子、孫と三世代にわたって愛されるヒーローになる意欲と共に、映画を楽しんでほしいとにこやかに語った。

後上は「スーパー銭湯、健康ランド、町の銭湯などあらゆる温浴施設にポスターを貼っていただけるかもしれないと思うと、胸が躍ります。温浴施設業界と共に、この映画がどんどん広まっていけば嬉しいと思います。応援、よろしくお願いします!」と元気よくコメント。現在"コロナ禍"のために苦しい状況にある全国の温浴施設がふたたび活性化し、多くの人たちが楽しいひとときを過ごせる機会がまたやってくることを願っていた。

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