――1年間にわたる撮影を終えたときはどんな気持ちだったのでしょう。

最終回の撮影が終わったとき、その1年間が"一瞬"のように思えました。とても濃密で、大変だったはずの1年でしたけれど、無我夢中で突っ走っていたものですから、終わってみると、あっという間に感じられました。

――『アギト』が終わってから、かつての共演者の方たちとふたたびお会いしたことはありましたか?

升さんと、とあるテレビドラマでご一緒したことがあります。また2016年に『アギト』のBlu-rayが発売された際、映像特典として美杉先生、真魚ちゃん、太一と「美杉家座談会」をやりました。太一とは10数年ぶりの再会で、あんなに小さかったのに今ではすっかり大人になってしまって、びっくりしました(笑)。莉奈ちゃんとは、その後『仮面ライダージオウ』で共演することができました。

――2019年に放送された『仮面ライダージオウ』第31、32話ですね。このエピソードでは、翔一が真魚と一緒にレストランを営んでいる設定で、アギトに変身した翔一が"アナザーアギト"に挑むというニクい展開がありました。18年後の津上翔一を演じた際、どのような思いで取り組まれましたか。

ふたたび津上翔一を演じるにあたっては、あえて過去の『アギト』を観返しませんでした。昔の翔一を意識せず、年月を経て人間的にも成長を遂げた「現在の翔一」を表現したかったからです。それでも台本を読み、現場でスタッフさんと再会したとき、「ああ、翔一ってこんな感じだったなあ」と懐かしく思い出したりしましたね。昔のイメージを残しつつ、18年が過ぎた現在の翔一を思いっきり演じることができました。

かつて劇場版『PROJECT G4』に警視総監役で特別出演された藤岡弘、(仮面ライダー1号/本郷猛役)さんが、僕(翔一)の肩を叩いて励ましてくださったときは、体が震えました。仮面ライダーの持つ大切な何かを託されたような"重み"を感じたんです。このときの強烈な思い出があったから『ジオウ』で翔一が常磐ソウゴ(演:奥野壮)に「アギトの力」が備わったライドウォッチを託す際、僕のアイデアで奥野くんの肩に軽く手を置いてみたんです。同じ仮面ライダーとして、藤岡さんからの"魂"を後輩へとつないでいくことができたのではないかと思っています。

――放送開始から20年という節目を迎えた現在、賀集さんは『仮面ライダーアギト』という作品とどう向き合おうと思われていますか。

正直『アギト』が終わって何年間かは、これから俳優を続けるにあたり「どうやったらアギトや仮面ライダーから"卒業"できるだろうか」を考えてきました。自分にとって一番のライバルは「仮面ライダー」だと思っていたんです。でも30歳になったころ「役者にとって"代表作"があるのは幸せなことなんだ」という事実にやっと気づきまして、そのあたりから『アギト』に対する思いも「若き日のよき思い出」から「役者・賀集利樹の"原点"」へと変化していきました。仮面ライダーアギト/津上翔一を演じたことはこれから先も永遠に残りますし、仮面ライダーが幅広い世代から愛されているのも、ずっと変わらないでしょう。それだけに、今では「仮面ライダーの世界にもっともっと関わりたい」という思いが強まっています。可能な限り、アギトとして、津上翔一として、仮面ライダーを愛するファンのみなさんのために何かお返しがしたいですね。

(C)石森プロ・東映