いよいよ本日最終回を迎える、『「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」Rhyme Anima』。座談会のラストには各ディビジョンのリーダーを演じるキャストたちのインタビューが到着した。

  • 木村昴

  • 浅沼晋太郎

  • 白井悠介

  • 速水奨

山田一郎役:木村昴、碧棺左馬刻役:浅沼晋太郎、飴村乱数役:白井悠介、神宮寺寂雷役:速水奨の4名に、本作を振り返ってもらった。

●ライブ、ドラマトラック……今までの積み重ねが集約されたアニメ

――改めて、アニメ化への感想を教えてください。

木村 アニメ化っていうのがすごく喜ばしくて、アフレコ開始当初、キャストみんなの士気がぐんと高まっていましたね。途中、コロナの影響でお休み期間が1カ月くらいあって、それ以降のアフレコはディビジョンごとの入れ替え制になり、しめくくりをみんな一緒にできなかったのは心残りでしたけど。ポジティブに考えれば、その分自分が演じるキャラクターに集中ができたのかなと思います。

浅沼 収録しているときはまだ完全に絵がはまっていなくて、本当に完成が楽しみでした。アニメ化したことにより収録する曲がどっと増えて(笑)。1曲収録したら、すぐに次の話数のラップ収録が来るし、ゲームのラップもあったので「明日録るのはアニメ? ゲーム? どっちだっけ!?」って頭の中がぐちゃぐちゃになったのを覚えています。

白井 今まで演じてきたキャラクターに表情があって動いているのが、やっぱり不思議と言うかすごく新鮮でしたね。3年間やらせて頂いていますけど、改めてキャラクターたちがこういう風に動くんだ、こういう場所に立っているんだと、目でわかるのがすごく楽しかったです。途中からアフレコは個別になってしまったんですけど、ディビジョンごとには録れていたので、シブヤ・ディビジョンも、楽しくポップにできた気がします。

木村 アニメの乱数は、白井さんのまんまでしたよね。これまでのライブで、白井さんが考えた「乱数らしい動き」を入れていたと思うんですよ。今回のアニメ化で乱数が動いたときに、白井さんのオリジナリティがアニメにもスパイスとして入っているような印象を受けました。乱数の飛び跳ねる感じとか「あ、白井さんだ」って。今まで、絵がない中でみんなが膨らませていたイメージの中に、乱数はちゃんといましたよね。だから、動いていることへの感動は、シブヤはひとしおなのかなって思いました。

白井 えぇ!? そんなことないよ(笑)。

浅沼 今までのライブや楽曲が逆輸入されているなと感じるところがあって。例えば左馬刻と銃兎がタバコの火を分け合うところは、俺と駒ちゃん(入間銃兎役:駒田航)がライブでやったやつだ、とか。『DEATH RESPECT』の冒頭の「三人まとめてあんたの病院にぶち込んでやるよ」のセリフは、そのままアニメでも台詞として使っていただいて。そういうところがありがたいなって思いましたね。

木村 作ってくださっている人達の、『ヒプノシスマイク』へのリスペクトが存分に注ぎ込まれているのは胸熱ですよね。

速水 実はこの作品って、このままアニメにしなくても楽しいんじゃないかなと思っていたんですよ。アニメ化することでゴールが見えてくるというよりも、むしろ僕達が自由にキャラクターを作って自由に演じていく……こういうのもありなんだなと思っていた作品でした。アニメでは僕らがやってきたこともしっかり投影してくれているんですけれど、セリフのタイミングやスピードなどがあらかじめ決められているから、口パクの処理の仕方とかに少し苦労しましたね。

――やはり絵のなかったアフレコとは勝手が変わってくる。

速水 そうなんですよ。「ああ、アニメって確かにこう録るんだったな」って。何年アニメをやっているんだって話ですけど(笑)。

木村 これって不思議な感覚で! これまで約3年間、動かないキャラクターたちに対して我々のテンポで演じてきたじゃないですか。僕たちの中に、このキャラクターってこういうテンポで、抑揚で喋るというのが染み付いているんです。だから絵が動くとなると、「あ、アニメってこういう録り方していたな」って。アニメの録り方を忘れるって言うか(笑)。絵に合わせたときに、これまでやってきたそのキャラクターっぽくなっているのかが、1、2話のアフレコの頃は不安で。周りの人たちに「一郎ってこんな感じでしたっけ?」って聞いていましたね(笑)。

速水 3次元から2次元に来た感じですね。僕らは、ある意味奥行きや高さを感じながら自由にセリフを喋っていたんですけど、アニメのアフレコで「あ、二次元に来た!」って。

白井 ただ、我々がこれまで積み上げてきたものがあるので、そこはスタッフさんも結構柔軟に対応してくださっていましたね。語尾も「自由に変えて大丈夫」と言ってくださったり、「ここはこう言わないと思います」って言ったら、受け入れていただいたり。それはすごくありがたかったです。

木村 台本で、一郎が弟たちのこと「ブラザー!」って呼んでいたんです。違和感があったので、「兄弟って言っていいすか」って聞いたら「どうぞ変えてください」って言っていただきました。

浅沼 左馬刻も急に丁寧な言葉になっていて、かわいくなっちゃっていたところがいくつかあったので、現場で都度相談して調整していきました。

●「俺たちの絆」で毎回終わることがエモかった

――収録していて印象的だったことを教えてください。

速水 3話に登場する美々海が本当に言いづらくて……(笑)。

浅沼 あぁー、言いづらかった! 僕にはその名前を言うシーンはないですけど、スタジオで、みんなでずっと「みみみ、みみみ」って言い合っていました。もし万が一、一二三と結婚でもしたら「いざなみみみみ」になっちゃうって(笑)。

白井 みが4つ! 言いづらい……。

浅沼 左馬刻はずっとたばこを吸っているので、セリフのタイミングを掴むのが大変でしたね。絵が煙を吐いているときに息を吸えないので、ふーって息を吐いてからセリフにいくんです。だから息継ぎが難しい場面もあって。

木村 イケブクロはテンダーロインズのリーダー運命塚を演じた津田健次郎さんが、今までいなかったキャラクターなのをいいことに、割とやりたい放題で(笑)。アドリブがめちゃめちゃ多くて、そのたびに笑っちゃうんですよ。こっちは真剣なシーンなのに、笑いすぎて全然進まなかったです。

――二郎が携帯の着信音を鳴らしてしまって、運命塚がツッコむところは、テンポが絶妙でしたね。

木村 運命塚の「お前かーい」とか「出るんかーい」はアドリブだったんですよ。もう、隙あればアドリブを入れてくる。

浅沼 アドリブといえば、左馬刻もボソボソと早口で喋ると尺が余っちゃうので、語尾に「この野郎」をつけ足したりしていましたね。

白井 それで言うと乱数は、尺が足りないところはだいたい語尾を伸ばせばいけましたね。

一同 (笑)。

白井 「~だよー!」って(笑)。尺合わせはやりやすかったです。逆に難しかったのは、乱数が裏の顔を見せる場面ですね。セリフ的には悪い”黒乱数”っぽいところでも「ここは普段どおりで」と言われるところもあって、どこまで黒い部分を出すのか、匙加減が難しかったです。その分、絵がついたときの”黒乱数”がどんなふうに描かれているのか楽しみでした。

――また、話数が遡りますが乱数はお化けが怖かったというのが、意外でした。

白井 そうですね。怖がっているフリかと思いきや、ガチで乱数はお化けがダメと聞いて、ちょっと人間らしいところもあってかわいいじゃんって、より好きになりましたね。収録は大変でしたけど。ずっと叫んでいましたからね、きゃー!きゃー!って。

――今回のアニメでは、OP、EDテーマ、また劇中RAPと、多くの新曲が発表されました。それぞれの曲についてはいかがですか?

木村 OPテーマが今までと違う曲調で、インパクトがあるなと思いました。誰にも耳なじみがいい曲になっている。

浅沼 夕方のアニメ感があったね。

速水 ロボット系アニメの。

木村 EDテーマもディビジョンごとに違って、見どころでしたね。最後、「俺たちの絆」で終わるのがエモくてお気に入りです。このアニメでディビジョンごとの結束力が強くなっているのかと思うと、「俺たちの絆」で締めるっていいなと。

――劇中RAPも毎回新曲で、かなりの数のラップを収録したと思いますが、印象的だったことは?

浅沼 バトルシーンが映像になることで、ドラマトラックに比べて、よりバトルらしいラップになっていたと思います。「ここを強くしてください」というディレクションがあったり、満身創痍の状態を演じながらラップしたり。ちょっと新鮮な収録でした。

木村 イケブクロのだと、お気に入りは6話の『3 Seconds Killer』ですね。爆弾を止めようとする状況で披露される曲だから、爆弾にかかった「カウントダウン ジャッジのときだ 3秒だけやるから そこどきな」ってフレーズがあって、すごく好きです。そのうちに「カウントダウン もう時は満ちた 一刻の猶予もねぇぞ 消えな」ともう少し強烈になって、曲の中でも切羽詰まった感じが出ているんです。

――好良瓶太郎さんの手がけたラップでしたね。一郎は、9話で左馬刻との因縁のバトルがありましたが、いかがでしたか?

木村 左馬刻とのバトルはいつもバチバチになりますね。キャラクター同士の因縁が強烈に込められた試合でした。

浅沼 うん。終わりもほぼ相打ちみたいな状態でした。

木村 あのラップは、結構トリッキーなビートと言葉のはめ方が、強く印象に残っています。これまで左馬刻が言っていたような物騒なフレーズを一郎がラップするから、相当怒っているんだなって思いました。

――確かに、一郎のイメージにはなかったフレーズです。

木村 一郎って、正統派でありつつ19歳なだけにほんのり香る幼稚さもあって、割と王道なワードチョイスをしていると思うんです。それがこのラップでは「死後硬直 遺体照会しようか?」って。左馬刻を相手に、かなり覚醒している感じがしました。

浅沼 左馬刻は、二郎と三郎を銃兎と理鶯に任せて、完全に一郎しか見えていないラップなんです。「少年兵相手の武器なんてねえ だろ? 理鶯?」って、ラップの最中に仲間に振るのって、ほぼ初めてで。でもそれが一郎にも火を付けるんです。「弟たちをコケにしてんじゃねえぞ」って。ダメージを蓄積して攻撃力を上げるのが左馬刻のアビリティだから、わざと一郎を挑発している面もあるのかなと感じました。

白井 シブヤとしてちょっと新鮮だったのが、8話の、帝統が拉致された先でかました『JACKPOT!』ですね。今までのシブヤは明るくポップな曲が多かったんですけど、この曲は重めで、強めな感じで。帝統のギャンブルにフォーカスした曲も、今までになかったですし、壮馬くんや野津山君とも「新鮮だったね」って話していました。

――乱数として、こうしたハードな曲調をラップするところには、難しさもあるのでしょうか?

白井 乱数はそこまでかっこつけなくてもいいので、キメはするけど、かっこよくなりすぎないようにというのはありますね。どちらかというと、5話のおばけをテーマにしたラップのほうが、乱数がビビっている要素を入れつつだったので、難しさはありました。

速水 10話のシブヤとのバトルは面白かったですね。乱数の寂雷に対する呼び方が「先生」「寂雷」「クソジジイ」「むさくるしい老犬」と、どんどんひどくなっていく。一二三が「キャラ変わった?」って驚いているけど「これが本来の飴村くんです」っていうシーンがすごく面白くて。

――乱数の変貌ぶりがあらわになっていましたね。

速水 対する寂雷も、乱数とのシーンだけ人格者じゃなくなるんですけど、そうした面があることで人間としてのバランスが取れているのかなって思います。

10話で『何を見て何を聞き何を思い君を駆り立てた なぜ君はそう成り果てた』ってラップがあるんですよ。ここはすごく乱数のことを責めているんだけど、同時にすごく心配しているんです。いがみ合っているけど、乱数のことをすごく思っている。乱数もそんな寂雷に対して全力でバトルを仕掛けてきますよね。シブヤとシンジュクの、今までの色々なものをすごく集約した、いいバトルだと思います。